窓際の結露が下のフローリングに垂れ変色しているなら大至急補修するべきだ。
湿気が原因の損傷は放置すれば1分1秒ごとに悪化し高額な補修費用に繋がる。
今回は結露によって発生したフローリングの痛みを簡単にDIYで直す方法を、建築のプロである一級建築士が詳細にお伝えする。
またわかりにくい賃貸での結露被害の責任問題やリスクについても解説しているので、後半の有効な予防策と併せてぜひご一読頂きたい。
この記事読むことで理解できること
フローリングの結露被害を放置する危険性
フローリングの結露による損傷を放置することは大きな危険性を持っている。
まず一つ目は結露被害は症状の進行が非常に速い点だ。
単なる凹みなどと違い原因となる湿気がそこに留まるため、カビや腐れを併発し際限なく状態が悪化していく危険性がある。
初期段階の補修なら2〜3万円で済むところが、症状が進行しフローリングの張替えに発展すれば、軽く数十万円の出費に発展してしまうだろう。
もう一つは賃貸で結露被害を放置すると損害賠償請求をされかねない点だ。
結露は自然に起きることなので、フローリングが傷んでも自分に責任はないという認識をお持ちの方もいるが、それは非常に危険だ。
賃貸は善管注意という世間一般で払われるべき注意を持って使う義務があり、結露を放置して被害が拡大したとすればその責任を問われることになる。
結露を拭いたり換気を行ったりしても防げなかった場合には責任はないと主張できるが、何もせず状態が悪化したとなれば損害賠償請求をされる可能性があるのだ。
いずれにしても結露でできたフローリングの損傷は、時間と共に出費が増していくと考え大至急対処することをお勧めしたい。
症状別にDIY補修法を解説
窓際に結露で発生した損傷を、最も素早く安価に直せるのがDIY補修だ。
現在はDIYの補修キットが多く発売されており、ネットやホームセンターで簡単に購入できる。
ただし間違った方法で補修してしまうと逆に悪化する恐れがあるため、ここでは症状別に適したDIY補修法をご紹介したい。
しっかり状態を確認して頂き、時間を十分に確保してじっくりと取り組んで欲しい。
表面のシミは中性洗剤で消す
結露の水分によって表面にシミができているだけなら、中性洗剤で簡単に消すことができる。
中性洗剤を少量垂らしたぬるま湯に布を浸して固く絞り、優しく何度もシミを拭いてあげれば綺麗になる。
中には漂白剤で拭くことを紹介しているサイトもあるが、床を痛める確率高く変色の危険もあるため避けた方が良いだろう。
カビはアルコールで消す
表層にできたカビならアルコールをスプレーボトルへ入れて吹きかけ、その後に乾いた雑巾などで拭き取ると綺麗になる。
アルコールで濡らしたまま放置してしまうと、フローリングが変色する危険性があるので素早く拭き取るようにしよう。
何度か拭いても取れない場合は、カビがフローリングの内部やワックスの下に入り込んでいる可能性がある。
これをDIYで消すのは困難なため、早めに専門業者へ相談するようにしよう。
フローリングが変色していたら補修ペンで直す
カビやシミを取り除いた後もフローリング自体が変色しているようなら、市販の補修ペンで目立たなくすることができる。
手順
①布で変色している部分の汚れなどをしっかり拭き取り、ドライヤーで十分に乾燥させる。
②補修する周りにマスキングテープを貼る。
③変色部分に色付けをしていく。
初めは薄く塗るようにし何度も重ねて濃くしていく方が、失敗がない。
④乾燥したらマスキングテープを剥がし広めにワックスを塗ると、さらに目立たなくなる。
剥がれはパテで補修しニスで仕上げ
結露被害の発生から時間が経つと、フローリング表層材が剥がれてしまうことがある。
範囲が小さければ市販の補修キットで直すことが十分に可能だ。
ただし剥がれた表層材の下が腐食をしているようだと、表面だけ塞いでもその後も内部で腐食が広まってしまう。
わずかでも腐食の兆候がある場合はDIYを行わず、専門業者に見てもらった方が安全だろう。
手順
①剥がれて浮いている表層材をカッターで切り取った上で、全体に240番辺りのサンドペーパーをかけバリや凹凸を極力無くす。
②補修をする周りにマスキングテープを貼る。
③パテを少し多めに盛り、約一日程度乾燥させる。
④固まったらサンドペーパーで削る。
初めは240番辺りの目の粗さから始め、徐々に細かい目で仕上げていく。
⑤最後に補修ペンで着色し、仕上げに広くニスを塗ると見た目が良くなり今後の保護にもなる。
DIYと業者補修の判断基準
DIYは安価で済む一方、失敗のリスクが常に付きまとい、場合によっては最初から専門業者へ依頼した時よりも高額な出費となりかねない。
そこでここではDIYを行う上でのリスクと、無理をせず専門業者へ依頼した方が良いケースをご紹介する。
結果的にどちらが確実で出費を抑えられるかをしっかり見極め判断をして欲しい。
DIYに潜むリスクを知る
まず大前提としてDIYでは見た目を完全に修復できないということを今一度理解頂きたい。
特に補修した跡がわからないように復元するには、多くの知識と経験を備えた補修屋のようなプロでないと難しく、DIYでは補修前より目立つ結果となることも多い。
特に賃貸で退出時の原状回復費を安くしようとDIYを考える方がいるが、補修跡がわかるようなDIYでは全く意味がない。
部屋を貸す側は次に借りようとする人の印象が悪くならないように、完璧な仕上がりの補修を求めている。
そのため安易なDIY補修は無視され、結局貸す側の手配する専門業者の補修が行われ費用は請求されることになる。
これでは原状回復費を安くするどころか、DIYでかけた道具や材料の費用は無駄になってしまうだろう。
賃貸はもちろん来客に見られても恥ずかしくない仕上がりを求めるなら、DIYは避け損傷を完全に消し去る技術を持った補修屋のようなプロに相談した方が、結果的に費用を抑えることを知っておいて欲しい。
プロに依頼した方が適切なケース
では専門業者に補修を依頼した方が良いケースを具体的にご紹介しよう。
まず見た目を完全に修復したいならプロへの依頼は必須だ。
前述した賃貸だけでなく、持ち家の場合も友人に見られても良いレベルに修復したいのであれば、DIYは避けたほうが良いだろう。
「目立たなければいい」とは言っても慣れない方のDIYの仕上がりは見苦しい場合が多く、過度な期待は禁物だ。
またフローリングの痛みが広範囲であったり深くまで及んでいたりするなど、部分的な補修では改善が見込めない場合もプロの技術が必要となる。
DIYで行える補修はあくまで化粧のように損傷を見えなくするだけであり、フローリングが深くまで傷んでいる状態を根本的に直すことはできない。
さらにどこまでフローリングが傷んでいるのか、また補修ではなく早急な交換が必要なのかといった状況判断も一般の方では難しいだろう。
損傷が深くまで達していたり広範囲であったりするようなら、プロへ相談するのがベストであると理解して欲しい。
フローリング補修でお勧めの補修屋とは
フローリングに限らず補修という仕事は、依頼する業者の種類によって費用が大きく違うので注意が必要だ。
例えば良く聞くリフォーム業者は、いわゆる工務店が行うため比較的大きな工事を得意としている。よって損傷箇所の補修で済むところが高額なフローリングの張り替えになってしまうこともある。
また賃貸で貸す側が手配する補修は、どうせ借りた人間が払うからと業者の割高な言い値で請求される上に、管理会社のマージンが乗ることもあって最も高額になりやすい。
そこでお勧めなのが損傷部分をピンポイントで直す補修屋だ。
傷んだ部分だけを直す上に直接作業をする職人とのやり取りのため、マージンも発生せず他の業者に比べかなり手頃に直すことができる。
まずはその仕事振りを紹介した動画があるので、ご覧頂き検討の材料にして欲しい。
補修屋の技術費用相場
補修屋の技術費用相場は1箇所あたりおよそ15,000円〜となる。
ただし損傷の状態によって変動するため、正確に知りたい場合は一度見積もりをしてもらうと良いだろう。
補修屋の中には損傷の状態や大きさがわかる画像をメールすれば無料で見積もりをしてくれるところもあるので、気軽に依頼してみよう。
補修内容 | 技術相場金額 |
フローリングの浮き、剥がれ | 40,000円〜 |
フローリングの傷、凹み | 25,000円~ |
フローリングのシミ | 30,000円~ |
※損傷サイズにより増額の場合あり。材料新規取り寄せ・出張費等は別途費用。
補修屋に依頼する2つのメリット
補修屋に依頼する上では費用以外に大きな2つのメリットがある。
まずは仕上がりがDIYと全く違い、補修した跡が全くわからない点だ。
既に述べたようにDIYで補修跡を全くわからないようにするのは不可能だが、腕の確かな補修屋であれば補修跡が全く残らないように直すことが可能で、満足はもちろんトータルで考えた時の費用削減も大きい。
そしてもう一つがその守備範囲の広さだ。
補修屋はあらゆる素材と損傷、その直し方に精通しているため、フローリングに限らず壁やドア、玄関、キッチンなど、あらゆる場所にできた表面上の痛みを消し去ることができる。
そのためフローリング以外にも気になっている傷やシミなどがあれば、同時に依頼することで時間やコストの削減が期待できるだろう。
仕上がりの確実さと効率の良さを併せ持つ補修屋は、住まいの傷を気軽に直す上で最もお勧めの選択肢である。
失敗しない補修屋の選び方
補修屋を選ぶ際に気をつけて頂きたいのが、どの補修屋も腕が同じという訳ではないことだ。
直した跡がわからないレベルで補修するには、多くの素材や損傷についての知識と、実際に作業をしてきた豊富な経験が必要だ。
しかし補修屋を名乗っていても他の建築の仕事をしている職人が小遣い稼ぎで行っている場合もあり、中にはDIYと大差ない腕の者もいるため注意しなければならない。
そこで補修屋の腕を見分けるためには、その実績を写真など目に見える形で確かめることが大切だ。
例えば自社サイトで補修の事例を画像と共に紹介などしていれば、かなり安心できる材料になるだろう。
くれぐれも口先だけの「経験豊富」に惑わされ、無駄な出費をしてしまわないよう気を付けて頂きたい。
結露被害を予防するテクニック
フローリングの結露被害を最小限にするためには、結露の発生を抑えることも大切だ。
濡れるたびに拭くのは手間のかかることだし、あまり使わない部屋など気付かない場所で発生してしまうこともあるからだ。
そこでここでは結露を防ぐためのお手軽グッズと、生活の中でできるちょっとした工夫をご紹介したい。
手軽に解消できる結露防止シート
窓の結露の原因は外気と室内の温度がある場合に、ガラスや枠の表面で室内の空気が急激に冷やされることにある。
これを防ぐには窓の断熱性を高め、外の冷たさが室内側に伝わらないようにすると解消できるが、窓の交換はコストが非常にかかるし、賃貸のように勝手にできない場合もあるだろう。
そこで役立つのが市販の結露防止シートで、これをガラスの室内側に貼ることで冷気が伝わることを防ぎ、結露の発生も抑えてくれる。
ネットで検索すると手頃な価格で多くの商品が見つかる上に、貼るのも決して難しくはないので一度試してみると良いだろう。
できれば5mm以上の厚みのものが効果が高くお勧めだが、厚手のものは模様があったり気泡が入れてあったりとデザインの好みが別れる商品が多い。
どうしても薄手の透明のものを貼りたい場合は、手間はかかるが二枚重ねると効果が高まるので試してみて欲しい。
結露の元を知り換気で防ぐ
結露の多い冬場は空気が乾燥しているイメージがあるが、実はリビングや寝室などは多くの湿気の発生源があり、そこから出た湿気が冷えた窓に触れることで結露が発生する。
例えばストーブ上のヤカンやキッチンでの料理、意外なところでは石油やガスのファンヒーターからも水蒸気が発生しており、特に石油は1リットル燃やすと1リットルの水分を吐き出す。
さらに人の体からも常に水蒸気は出ており、何人かで寝ている寝室で朝起きてみたら窓が結露でびっしょり、という経験をされた方は多いだろう。
このため結露を防ぐには換気を行い室内の湿気を含んだ空気を外へ吐き出すことが非常に有効で、定期的に窓を開けたり換気扇を動かしたりするなどして、こもった室内の空気を入れ替えてあげると良いだろう。
また就寝中の寝室のように換気ができない場合は、ドアを締め切りにしないで少し開けておくだけでも多少だが効果が期待できる。
家の中に結露の原因があるのは仕方のないことだが、僅かな手間の換気を行うことで結露はかなり軽減できるのでぜひ試してみて欲しい。
火災保険で内装補修が補償される場合がある
今回のような結露被害では難しいが、予測できない事故で建物を痛めてしまった場合には火災保険で補修費用を補償できる可能性があることを御存知だろうか。
例えばうっかり物を落として床に傷を作ってしまったり、子供がおもちゃで壁に穴を開けてしまったりしたケースだ。
これらは加入されている火災保険に「不測かつ突発的な事故による汚損・破損」という項目があると対象になってくる。
実際に補償されるには発生した原因や日時がはっきりしていたり、損傷箇所の機能に支障が出ていたりなど条件があるが、適用されれば最小限の出費でプロの補修を受けることができる。
ぜひお手元にある保険の証券や契約時の書類を確認してみて欲しい。
ただし保険を利用して補修を行う場合、依頼する相手は慎重に選ばなければならない。
補償を受けるには損傷の原因や現在の状態を保険会社に書類で正確に伝えなければならないが、これは業者と言えども慣れていないと承認されないことがある。
保険の利用経験が少ない補修屋に依頼してしまうと、本来保険が使える傷なのに承認してもらえず、せっかく支払ってきた保険料が無駄になりかねない。
くれぐれも依頼先は保険申請の実績を確認した上で選ぶよう注意して欲しい。
まとめ
結露によるフローリングの被害は一刻を争う危険な損傷だ。
DIYによる補修が可能なら至急対処して頂き、損傷範囲が広かったり賃貸の損傷であったりする場合は早めに専門業者に相談することをお勧めする。
特に腕の確かな補修屋なら完成度の高い補修を手頃な価格で行うことができる。
しっかり修復を行い、再発をしないよう防止策を心がけ、大切な住まいを守って頂きたい。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。