コンクリート壁のDIY補修方法を紹介!プロに依頼する費用も掲載

日本の戸建て住宅は木造建築がメインだが、駐車場の壁面や土留めの擁壁などコンクリート壁が使用されている箇所も多い。コンクリートは頑丈で耐用年数が長いイメージが強いが、年数が経つとひび割れなどが出るため心配になるケースも多い。

今回は、コンクリート壁に発生する損傷の種類を解説し、DIY補修とプロによる補修の判断基準もお伝えする。火災保険を活用し費用を抑えて補修する方法も掲載しているので、自宅のコンクリート壁のひび割れや穴などに悩んでいる方は、ぜひ参考にしていただきたい。

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コンクリート壁損傷の種類

まずはコンクリート壁に発生することが多い損傷の種類を3つ解説する。ご自宅の損傷パターンによって、後述するDIYで用意する道具や手順が変わってくる。ご自宅の状況と照らし合わせてチェックしてみてほしい。

 

クラック・ひび割れ

コンクリートは伸縮性が乏しい材料のため、地震などの外力や乾燥収縮によってひび割れが生じるのは基本的に避けられない。コンクリート壁の損傷としては最も発生確率が高く、見かけることが多いタイプだ。クラックとひび割れは同じ意味で特に使い分けはない。

1mm以下の細かいひび割れは、「ヘアー(髪の毛)クラック」とも呼ばれ、構造に影響が少ない損傷に分類される。放置してもその時は問題無いが、症状が進行してより見た目が悪くなったり、構造に影響が及んだりする可能性もある。

また、壁の一部にひび割れが集中している場合などは、施工上の不備や部分的な破損が考えられる。徐々に進行する症状のため発見するのが難しいが、定期的に目視でチェックしたり、写真を残したりして破損を早期発見するようにしたい。

 

穴

普段生活しているうえで、コンクリート壁に自然に穴が空くケースはあまりない。発生するケースとして多いのは、器具などを固定していたビスやボルトが緩んで抜けてしまうパターンだ。こうした穴はそもそも構造に影響がないため慌てる必要はないが、雨にさらされる場所の場合内部の鉄筋が錆びてしまう可能性がある。外部の場合はテープなどを貼って養生するのが良いだろう。

その他の発生パターンとして、製造過程で発生する気泡(ジャンカ)が考えられる。コンクリート内部の気泡によって表面が薄くなっていて、その箇所が崩れて穴が露見するパターンが多い。

細かいジャンカが発生するのは構造上仕方ない部分もあるが、3cm以上の大きい物については注意が必要だ。コンクリートの施工時はジャンカを減らすための工程があるのだが、しっかり気泡が抜けたか目視で確認するのは難しい。ジャンカが多く見られる場合は、プロの診断を受けるのをおすすめする。

 

剥がれ

剥がれ

コンクリート壁は基本的に単一素材であるため剥がれが生じづらいが、表面をモルタルや塗装で仕上げてある場合は剥がれが出やすい

このような剥がれはコンクリート自体の強度に影響を及ぼさないため壁が崩壊する可能性は低いが、放置するとどんどん広がってしまう。補修費用が増えてしまうため、DIYでもプロへの依頼でも早めに着手するのが良いだろう。

 

コンクリート壁のDIY補修は可能?

コンクリート壁のDIY補修は可能?

建物の構造に関わることが多いコンクリート壁のDIY補修は一見ハードルが高そうだが、軽微な物に関しては比較的挑戦しやすい。

しかし、コンクリート壁自体の強度に影響があるような重篤な損傷についてはプロに依頼すべきであるここでは、DIY可能な損傷とプロに補修を依頼すべき損傷について見分け方を解説する。

 

DIY可能な損傷

前述したようにコンクリート壁は経年劣化や地震などの外力によって細かいヒビが生じてくる。コンクリート内部まで到達していない、表面的なひび割れや凹みなどはDIY補修しても問題無いケースが多い。目安としては幅1mm以下の細かいひび割れならDIYに挑戦してもよいレベルだろう。

また、物をぶつけてできた浅い凹みや、ビスを抜いた後の穴なども構造に影響が少ないためDIY可能なレベルだ。面積が小さいほど仕上げに必要な技術も少なくなるため、素人でも比較的きれいに仕上げられる。症状の進行を止めることができるのも大きなメリットのため、軽微な損傷については積極的にチャレンジしてほしい。

 

プロに依頼すべき損傷

前述したような細かい損傷以外、構造に影響を及ぼす損傷についてはプロに診断と補修を依頼してほしい。例えば幅1mmを超えるひび割れはコンクリート壁の内部に到達している可能性が高く、表面をふさいだだけでは強度が保てない場合がある。

また直径3㎝以上の穴なども構造上の危険が考えられるため、一度プロに診断してもらった方が良いだろう。

外壁や駐車場、擁壁コンクリートなど雨風にさらされる場所で、損傷個所から錆が染み出している場合も要注意だ。コンクリート壁の内部には強度を保つための鉄筋が入っているが、損傷個所から入った雨風で錆びてしまっている可能性が高い。

錆びた鉄筋が膨張し、コンクリート壁が大きく破損してしまうケースも少なくない。放置すると危険なうえ、損傷がどんどん広がって補修費用も高騰することになる。見つけたら速やかにプロに相談すること。

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コンクリート壁の補修方法

コンクリート壁の補修方法

実際にコンクリート壁をDIY補修する際に必要な道具と手順を解説する。補修材やモルタルが乾くからと慌てず、一つずつじっくりと作業してみてほしい。

また、モルタルや補修材はアルカリ性であることが多く、肌に付着すると肌荒れを起こすことがある。どの作業も防水の手袋をして、なるべく直接触れることのないように心けること。

 

クラック・ひび割れの補修

≪必要な道具≫

・バケツ

・防水手袋(キッチン用品でもOK)

・スポンジ(家庭の食器洗い用でもOK、メラミンスポンジは避けること)

・コンクリート補修材

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≪作業手順≫

①バケツに水を汲み、濡らして絞ったスポンジでひび割れ周辺のホコリ・汚れをふき取る。

②補修材の先端キャップをひび割れのサイズに合わせてカットし、なるべく奥まで充填する。表面の浅い部分だけだと季節ごとの膨張伸縮ではがれやすくなる。多少はみ出しても構わないので、なるべく圧力をかけて充填すること。

➂②ではみ出した補修材を濡らしたスポンジでふき取る。汚れたスポンジで再びふき取ると汚れを伸ばしてしまうため、一回ごとにすすいだ綺麗な状態でふき取ること。また、力を入れすぎると補修材をえぐってしまうため、軽い力でサッとふき取るのがコツだ。

 

穴の補修

≪必要な道具≫

・バケツ

・スポンジ(家庭の食器洗い用でもOK、メラミンスポンジは避けること)

・防水手袋(キッチン用品でもOK)

・養生テープ

・塗りコテ

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・壁用コンクリート補修材

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・コンクリート密着剤

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≪作業手順≫

①ひび割れと同じように濡らしたスポンジで穴周辺のホコリと汚れをふき取る。穴の内部がぽろぽろと崩れる場合は、手で簡単に取れる部分まで取っておくこと。残っていると補修材がはがれる原因となる。

②穴の内部にコンクリート密着剤を塗布する。はみ出すと補修材が取れなくなり手間なので、養生テープを周囲に貼っておくと良い。刷毛で塗り込むタイプなどもあるが、スプレータイプで塗布するとすき間なく塗りやすい。

➂コテを使って補修材を穴に塗り込む。コテを使うのが難しければ、防水手袋をした手で直接盛り付けてコテで仕上げるのが良いだろう。なるべく圧力を加えながら、穴内部と密着させるように盛るとはがれづらくなる。仕上げはコテの平らな面を使って、余計な力を加えないように並行になぞって仕上げる。

仕上げが終わったら、補修材の説明書で指示されている時間養生をする。砂埃などがかかる環境の場合はビニールをかぶせておくと汚れずに済む。雨がかかる可能性がある場所も同様に養生しておくと失敗がないだろう。ただし、基本的には雨天時や雨の可能性がある日の作業は避けた方が良い。

 

剥がれの補修

≪必要な道具≫

【3-2:穴の補修】と同様

≪作業手順≫

剥がれている箇所や周辺を手で触ってチェックし、簡単に剥がれてしまう箇所はすべて撤去する。剥がしてみて錆や大きなひび割れが見つかった場合はプロに依頼したほうが良いため、道具などを揃える前にチェックしてみてほしい。

②以降は【3-2:穴の補修】と同様の手順。

 

プロに依頼する場合

プロに依頼する場合

前述したように、幅の広いひび割れやサビが出ているような重大な損傷についてはプロに依頼してほしい。

しかし、依頼する業者によって補修技術に差があり、仕上がりにも大きく影響することがある。ここではどのような業者に依頼すべきか?という点と、大まかな費用相場について解説する。業者を探す前に必ず目を通して参考にしてほしい。

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コンクリート補修に対応している専門業者を探す

プロに依頼するなら、必ずコンクリート補修を営業項目に掲げている専門の業者を探してほしい。建築業界は横のつながりがあるため、普段コンクリート補修に対応していない業者も、下請けを探せば依頼を受けることができる。

仮に作業する下請け業者がコンクリートに精通していても、依頼する会社のマージンが発生するため費用が高くなるだけだ。

また、コンクリート補修は専門の知識が必要になるため、タイルや左官など多少コンクリートを扱う程度の業者では正しく対処できない可能性がある。

見た目だけきれいにするのは簡単だが、数年でまた不具合が出てしまっては意味がない。1級建築士やコンクリート技師など、コンクリートに関する資格の保有者が居るかどうかなどもチェックしてみてほしい。

水回りや内装のリフォーム会社も依頼を引き受ける可能性はあるが、コンクリート補修は専門性が高いため必ず精通した業者を選ぶこと。

遠方からの出張だと交通費などが別途かかるケースもあるが、近くに専門業者が居ないからといって総合リフォーム店に依頼するのはなるべく避けたほうが良いだろう。

 

コンクリート補修専門業者の費用相場

ひび割れや穴などコンクリート補修の費用は、損傷具合や補修の方法によって変動が大きい。ただし、費用の予想がつかないと依頼する際に不安が大きいため、3つのパターンで大まかな相場を解説する。あくまで目安として、依頼する前に正確な見積もりを取ってほしい。

細かいひび割れや欠けなど大掛かりな作業と材料を必要としない補修については、1人の職人が1日で補修できる範囲なら30,000円~が相場といったところだ。補修用の材料を充填して仕上げる工法で、前述したDIY補修でも対応できる範囲だが、プロに依頼すれば当然仕上がりが良くなる。玄関回りなど目立つ場所のひび割れなどは検討して見ると良いだろう。

構造に影響があるレベルのひび割れ補修は、1日対応可能な範囲で最低でも50,000円~が目安となる。ひび割れが進行しないように特殊な浸透接着剤を注入する工法のため、素人がDIYで行うのはほぼ不可能だ。表面だけ塞いでも再発する可能性が高いため、専門技術を持ったプロに依頼してほしい。

細かいひび割れや色あせなどにより見た目が悪くなった際は、全体的な塗り直しをする方法もある。使用する材料や工法によっても変わってくるが、費用の目安は3,000円~4,000円/㎡だ。

ただし、面積が少ない場合は割増料金となることも多いため、必ず見積もりを取ること。全体が新しくなり新築時の輝きを取り戻せるため、構造に影響のない損傷の場合はおすすめの方法だ。

 

コンクリート補修に火災保険が使える!?

コンクリート補修に火災保険が使える!?

コンクリート壁は火災による被害のイメージが少ないため意外だが、住まいにかかっている火災保険が適用できるケースがある。火災保険は住まい全体をカバーしているため、条件をクリアできれば適用される可能性がある。火災保険の活用を検討する際に注意すべき点を2つほど解説する。

 

火災保険が適用できるケース

コンクリート壁の補修で火災保険が適用できる可能性があるのは、「不測かつ突発的な損傷」の場合だ。例えば、台風などによる飛来物が壁に衝突し傷がついてしまったケースや、車をぶつけられてしまった場合などが考えられる。

保険を適用するためには損傷が発生した原因と日時がはっきりしている必要があるため、発生した状況や日時をメモして写真を取っておいた方が良い。補修費用のことを考えて肩を落とすのではなく、まずは保険証書を確認して見るといいだろう。

 

保険申請実績のある業者を選ぶ

火災保険の利用を検討する場合は、前述したように技術面にも配慮しつつ、保険申請の実績を持つ業者を選定してほしい。保険申請は保険会社ごとに定められたフォーマットがあり、破損状況や見積もりなどをまとめて提出する必要がある。慣れていない業者だと書類作成に時間がかかり、工事になかなか着手できないケースも考えられる。せっかく見積もりを取っても、工事を待っている間に症状が進行して状況が変わってしまう事もあるだろう。

中には保険申請に対応していない業者もいるため、見積もりを依頼する前に保険を活用する旨を伝えて確認を取ってほしい。万が一嫌な顔をするような業者だったら、技術力の有無にかかわらず依頼を避けた方が良いだろう。

 

まとめ

まとめ

コンクリート壁の損傷は軽微なものなら比較的DIY補修しやすいため、積極的に挑戦してみてほしい。見た目を整え、症状の進行を抑えるという点でもメリットは大きい。

ただし、大きな穴や幅の広いひび割れ、錆びが出ているケースなどは重篤な損傷の可能性が高いため、早めにプロに依頼すべきだ。その際は水回りや内装などのリフォーム業者でなく、コンクリート専門の業者を選ぶこと。

火災保険が適用できるケースもあるため、本記事を参考に保険証書をチェックしてみてほしい。うまく活用すれば費用を抑えてプロに補修してもらえる場合もある。

コンクリートは頑丈で耐用年数が長いイメージが強く放置しがちだが、メンテナンスが必要なことを把握して保守に取り組みたい。

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【記事監修】 山田博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士

一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。

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