店舗のドアが傷んでいるなら早急に直さないと売上に大きな影響が出てしまいかねない。
ドアは店の顔であるため見た目が悪ければ新規客は減り、動きにも不具合があればリピート客も逃すことになるだろう。
そこで店舗のドアを素早く修理してきれいな状態にする具体的な方法と価格を、建築のプロである一級建築士が詳しくお伝えする。
またこれを機会に自動ドアへ交換する場合や、住居部分へのドアも補修する費用相場も紹介している。
ぜひ参考にして頂き、早く大切な店舗をきれいな姿に戻してあげて欲しい。
この記事読むことで理解できること
店舗のドアの痛みは売上に影響大
店舗のドアが古かったり傷んでいたりすれば、入ろうかどうしようか迷っていたお客様は引き返してしまう恐れがある。
やはり未知の店に入るのは緊張するものがあり、そこに見た目の悪いドアがあればやはりやめておこうという気持ちにさせてしまうだろう。
またせっかく来店してくれても、入ろうとしたドアに動きが固かったり不快な音がしたりすれば、いくら店内の品揃えやサービスが良くてもネガティブな目で見られることになる。
しかも店を出るときに再度固さや異音を感じれば、悪いイメージが残ってリピート率に大きな影響を与えるだろう。
ましてお客様にドアの不具合で万一怪我でもさせたら、店を畳むことにもなりかねず安易に考えては非常に危険だ。
店舗のドアは非常に重要であり、売上や存続に直結しているということを十分に理解して頂きたい。
ドア補修の費用相場と工期
ドアの不具合や傷などを直す具体的な方法と、その価格、作業時間をご紹介する。
中には自分でできる補修もあるが時間を十分に取る必要があり、しかも仕上がりがいまいちになる可能性が高い。
そのためここでは忙しくなかなか時間が取れない方や、クオリティの高い補修をしたいという方向けに、専門業者へ依頼したケースを中心に解説する。
※ご紹介する費用相場には他に、ドアの補修費や出張費などが別途必要になる場合もあるのでご了承頂きたい。
開閉スピードはクローザー調整
ドアの開閉のスピードが急に早くなったり開けたところで止まらなかったりするなら、上部に付いているクローザーの調整や交換で解消できる。
特に調整はドライバーやスパナだけでできるので、できるなら以下の記事を参考に自分で行ってみよう。
・ドアクローザーが止まらない!調整と取り付け方法を全て教えます
https://shufukulabo.com/door-closer-does-not-stop
高い場所の作業は難しいという方や、壊してしまわないか不安だという方は、もちろん専門業者に頼むことも可能だ。
ただし行き来の時間も考慮すると職人を数時間拘束してしまうので、調整だけだと作業内容のわりには高額になる。
もしクローザーが古くなっているようなら交換してしまう方が、長い目で考えると費用を抑えられることになるだろう。
作業内容 | 費用相場 | 作業時間 |
クローザー調整費 | 10,000円〜15,000円 | 15分〜 |
クローザー交換 | 20,000円〜30,000円 | 30分〜 |
快適にするドアノブ交換
ドアノブはお客さんが直接触れるため、傷や汚れがあればもちろん古びたものも非常に印象が悪くなる。
特に女性のお客様はさわる部分に敏感なので、もし嫌われれば売上に影響大なのは店舗経営をされている方は良くご存知だろう。
動きが悪い場合はラッチという側面の金具の隙間に、鍵穴用の潤滑剤を吹き付けてみると改善されることもあるので、まずは試してみよう。
それでも直らない場合は残念だが交換を視野に専門業者へ修理を依頼することになる。
ドアノブの形状にもよるが、バラして修理するよりも交換してしまった方が安上がりなケースもあるので、事前に両方の見積もりを取ると良いだろう。
作業内容 | 費用相場 | 作業時間 |
ドアノブ修理 | 25,000円〜 | 30分〜 |
交換:握り玉、レバーハンドル | 30,000円〜 | 30分〜 |
交換: サムラッチ、プッシュプル | 45,000円〜 | 1時間〜 |
・握り玉
・レバーハンドル
・サムラッチ
・プッシュプル
印象に直結する傷やへこみ補修
店の印象に最も影響するのがドア本体の傷やへこみだ。
いざ入ろうとドアの前に立てば細かなところまで見えるため、傷などを見つければ入る前の楽しい気分が一気にトーンダウンしてしまう。
こちらは部分的なものならドアを交換しなくても専門業者に直してもらうことができる。
後半で詳しくご紹介するリペア業者であれば、一般の方には難しい金属製ドアでも、直した跡が全くわからないように補修してくれるのでお勧めだ。
補修内容 | 技術費用相場 | 作業時間 |
浅い傷補修 | 15,000円〜 | 30分〜 |
深い傷や凹み | 30,000円〜 | 1時間半〜 |
再塗装でイメージアップ
傷とともに店舗のイメージを大きく損なうのが色あせや汚れだ。
ドアに近づいたときには傷以上に汚らしい印象を持たれるし、もし遠目からわかるようなら入り口前に立ってもらう機会さえ失ってしまう。
こちらは小さければ部分的な塗装で直してもらうことが可能で、また全体が古びているなら全塗装でリフレッシュすることもできる。
センスよく再塗装をすれば周りの目を引くため宣伝効果も期待できるだろう。
補修内容 | 技術費用相場 | 作業時間 |
部分塗装 | 20,000円〜 | 1時間〜 |
全塗装 | 50,000円〜 | 1日〜 |
ドア交換でリニューアル
ドアの痛みが多数ある、または年数が経って隙間や歪みが出ているなら、思い切って交換してしまうのも良いだろう。
こまごまと不具合が出るたびに専門業者へ依頼するより、新しくしてしまった方が手間暇をかけずに済むしトータルでは安く済むことになる。
最近では、ドア枠はそのままで上から新しいドアを被せる「カバー工法」が一般的で、非常に手軽に交換が可能だ。
壁を壊すなど大掛かりな工事を必要とせず工期もおよそ1日なので、定休日の内に終わらすことができ店舗の営業に支障がない点もお勧めの理由だ。
工事内容 | 費用相場 | 作業時間 |
全交換(カバー工法) | 250,000円〜 | 1日〜 |
DIYが可能なドアの補修
ここまでご紹介してきた補修の中には、一般の方でも行える作業もある。
以下の記事でその方法を紹介しているので、もし時間が取れてDIYに自信がある方ならご覧になった上で挑戦しても良いだろう。
ただし作業には十分な時間を確保して頂き、きれいな仕上がりを求める場合は必ず専門業者へ任せるようにして欲しい。
・ドアのDIY完全カタログ!簡単リメイクからドアの作り方まで完全網羅
https://shufukulabo.com/diy-complete-catalog-of-doors
・ドアの傷を自分で直す!かんたん修理方法とその費用を徹底解説!
https://shufukulabo.com/door-kizu-repair-0312 )
自動ドアへの交換方法と費用
今回の修理を機会に自動ドアへ変えることを検討される方向けに、工事についての基本的な情報をご紹介する。
自動ドアはユニット化されているものが多く製品自体はそれほど特殊ではないが、交換工事は周りの壁や床の状態によって内容がまちまちであり、予想外に高額になってしまうこともある。
具体的に検討する際は、一度専門業者に見積もりや工事方法の提案を出してもらった上で考えることをお勧めする。
自動ドアの種類
自動ドアには大きく分けると中小規模の店舗で良く見かける引戸型と、大型商業施設やホテルなどで見かける円形型の2つがある。
店舗用として一般的な引戸型には片引きと引分けがあり、開口部の広さが変わるため店舗の規模や人の出入りの頻度によって選ぶ。
美容院などのように来客数が一定で特に混雑することがないなら片引きでも十分だが、飲食店のように混雑時に人の出入りが多くなるなら、画像のように開口が広い引分けが適している。
ただし引分けは設置スペースを取るので、難しい場合は片引きでドアが引き込まれる壁をガラスにし、反対側から人が出てくる姿がわかるようにする方法もある。
かかる費用と交換相場
自動ドアへ交換する際の製品代と工事費を含めた費用相場をご紹介する。
製品代はガラス面を広くすればそれだけ製品代がかかるが、特に注意したいのが設置スペースを確保するための開口部を作る工事で、物件ごとに非常に費用の幅がある。
現在のドアの幅に自動ドアが納まらないなら壁を壊すなどの工事費と、壊しても建物強度が大丈夫かの確認を早い段階で行うべきだろう。
工事内容 | 費用相場 | 作業時間 |
片引き自動ドア | 700,000円〜 | 3日〜 |
引分け自動ドア | 900,000円〜 | 3日〜 |
※製品代、工事費、既存処分費を含む。壁の撤去改修費、出張費などは別途
小型店舗なら住宅用自動ドアもお勧め
ネイルサロンや治療院などのように予約制で来店が少人数だったり、あえてプライベート感を出したりしたい店舗なら、住宅用の自動ドアに変えるのもお勧めだ。
特に現在のドアが住宅用なら工事は非常に小規模で済み、工期や費用がガラスの自動ドアに比べてかからない。
設置後のメンテナンスも割安であり、対応できる工事店も多いのでいざという時に素早く直してもらえるというメリットもある。
通りすがりの人は入りにくいというデメリットはあるが、業種によっては十分現実的な選択肢となるためで、思い当たる方はぜひ検討してみよう。
工事内容 | 費用相場 | 作業時間 |
電動引戸玄関へ交換 | 450,000円〜 | 3日〜 |
重要なメンテナンス・保守点検
自動ドアに関しては設置時の費用も重要だが、その後の維持管理にかかるコストも十分に確認した上で導入を検討したい。
特にモーター系の故障や可動部分の消耗品は通常のドアより費用がかかることになる。
予め代表的な費用をご紹介するので交換するかどうかの参考にして欲しい。
またメーカーや取付け業者が年間数万円で請け負っている維持管理契約を結んでおくと、消耗品は無料になったり工事費などが割安になったりするので、工事の見積もりを取る際は合わせて確認すると良いだろう。
工事内容 | 費用相場 | 作業時間 |
滑車交換 | 30,000円〜 | 1時間〜 |
ベルト交換 | 40,000円〜 | 1時間〜 |
センサー交換 | 50,000円〜 | 1時間半〜 |
モーター交換 | 100,000円〜 | 2時間〜 |
※出張費が必要な場合は別途
住居部分へのドア補修費用
店舗併用の住宅だと居住部分へ行き来するドアがあり、お客様から見えるようならその損傷や劣化も見逃せない。
店側の人間が思っている以上にお客様は店内を隅々まで観察しており、あまり粗末な状態であれば店舗のイメージダウンにも繋がる。
例え見えない場所にあっても開け閉めするときに異音がするようなら、やはり良い印象は持たれないだろう。
専門業者へ補修を頼んだ場合の費用を以下にご紹介するので参考にして頂き、なるべく早くきれいな姿に戻してあげよう。
工事内容 | 費用相場 | 作業時間 |
表面の浅い傷 | 15,000円〜 | 30分〜 |
ひび割れや凹み | 30,000円〜 | 2時間〜 |
表面剥がれや穴 | 35,000円〜 | 3時間〜 |
ドアノブ交換(室内用) | 25,000円〜 | 30分〜 |
部分塗装 | 20,000円〜 | 1時間〜 |
全塗装 | 50,000円〜 | 3時間〜 |
ドア交換(室内用) | 70,000円〜 | 2時間〜 |
※材料費、工事費、既存処分費を含む。枠や壁の補修費、出張費が必要な場合は別途。
信頼できるリフォーム業者の選び方
ドアをリフォームしようと専門業者を検索すると多くの業者が見つかるが、中には安かろう悪かろうの者も多い。
せっかく費用をかけて直しても、別の不具合が発生してトラブルになる例もあり注意が必要だ。
そこで信頼できるリフォーム業者の選び方で、特に有効な3つをご紹介する。
工程や見積もりをしっかり説明
当たり前過ぎて意外に思われるかもしれないが、工事の工程や見積もりの内容をしっかりと説明しない専門業者が存在する。
工程とはどのような作業をどの順番で行うかであり、これを事前に知ることで依頼した通りの工事が行われているか確認する事ができる。
また見積もり内容をしっかり把握することは金額が妥当か検討する上で重要であり、もちろん約束した材料が使われているかを確かめることにも繋がる。
しかし隙きさえあれば手抜きや材料を落として、儲けを増やしたいと考えるたちの悪い業者は、「臨機応変に対応する」や「様子を見ながら判断する」などもっともらしい言葉で説明を避けようとする。
見積もりを受け取る際は金額だけでなく、丁寧に説明するかをしっかりと見極め、わかりやすく教えてくれる業者を選ぶようにしよう。
アフターケアが最も重要
ドアの工事は完了しても材料が落ち着くまでに固くなったり音が出たりすることがあるため、後々までしっかりと対応してくれることが重要だ。
しかし業者の中には代金を受け取った後の仕事は儲けにならないと、工事後に連絡をしても対応を後回しにする者や、中には音信不通になる者までいるので注意しなければならない。
そこで依頼先を検討する際は、飛び込みやポストにチラシが入っていただけのような素性のわからない相手は避け、信頼できるところからの紹介や近くに会社があるなど、工事後もしっかりと連絡が取れるような専門業者を選ぶようにすると良いだろう。
利用者の声が聞ける
いざ工事を頼もうとしてもその業者の腕の良し悪しがわからず、不安になる方も多いだろう。
そこでお勧めなのが、自社サイトで過去の工事の実例を画像付きで掲載していたり、依頼した人の感想を姿がわかる形で紹介していたりする専門業者だ。
やはり業者の技量は目で確かめられた方が確実であり、さらに工事の感想を語ってもらうことは、堅実な仕事をしていなければ出来ることではない。
逆に文字だけの「豊富な実績」や「お客様の喜びの声」では、一見きちんと仕事をしているように思えるが、本当の姿がわからない。
くれぐれも宣伝文句だけに惑わされず、その腕が目で確かめられるような相手を選ぶようにしよう。
傷や汚れを手軽に消すリペア業者
ドアが表面的に傷んでいたり汚れていたりするだけなら、交換ではなくリペア業者にきれいな姿に戻してもらうことも可能だ。
リペア業者とはドアに限らず壁や床など、建物の様々な場所にできた傷や凹み、シミや汚れなどを、跡がわからないレベルで消してしまうプロフェッショナルだ。
しかも傷んでいる場所に絞って作業を行うため、非常に手頃な価格でしかも短時間で直してもらえるメリットまである。
以下にリペア業者の仕事振りがわかる動画を紹介するので、ぜひご覧頂き相談してみることをお勧めする。
火災保険で格安にドアをリフォーム
店舗のドアを格安で修理や交換をするなら、加入している火災保険を確かめてみて欲しい。
火事でもないのに火災保険を使うのか?と不思議に思うかもしれないが、現代の保険は火事だけでなく台風などの自然災害や盗難被害など、住まいの様々な損害を補償する総合保険になっている。
もしドアの損傷がうっかり荷物をぶつけてしまったり、台風で飛んできた物が当たったりして出来たのなら、補修費用の一部が保険金として下りる可能性があるのだ。
ただし適用には発生した日時や原因がはっきりしており、ドアの機能に支障が出ていると補償されやすいなど保険ごとに条件がある。
まずは契約時の書類で確認し、不明な場合は保険での修理実績が豊富な専門業者へ相談をして、保険が利用できるかを確かめてみよう。
まとめ
店舗のドアは傷んだままにしておくと、お客に悪い印象を与え知らぬ間に売上を落とす原因になってしまう。
しかも不具合から怪我でもさせてしまえば、店の存続にも関わる大問題に発展するだろう。
もし損傷などに気づいたなら早急に専門業者へ修理を依頼するようにしよう。
ただしリフォーム業者は世間にあふれており、その腕の差が大きい上に見分けるのが非常に難しい。
ぜひ金額だけで判断するのではなく、ご紹介した信頼できる専門業者の見分け方を参考にして、満足度の高いリフォームを実現して欲しい。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。