扉の歪みで閉まらない!原因別の直し方と蝶番調整法を完全伝授

扉の歪みで閉まらない!原因別の直し方と蝶番調整法を完全伝授

扉の歪みをそのままにしていると、きちんと閉まらず中の物が飛び出したり、通る人に大怪我をさせたりと非常に危険だ。

そこで扉の歪みや傾きの原因を素早く突き止め、簡単に直す方法を建築のプロである一級建築士が詳しくお伝えする。

さらに扉の傷を完全に消してしまう専門業者や、火災保険を使ってお得に直す方法など、扉の損傷を解決する様々な方法を紹介しているので、ぜひ扉のトラブル解決に役立てて欲しい。

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歪み傾きはすぐに直さないと危ない

歪み傾きはすぐに直さないと危ない

収納の扉に歪みや傾きをそのままにしていると、しっかり閉まらず地震で中の物が飛び出し、壊れたり床を傷付けたりする恐れがある。

また人が通る玄関ドアなどにも同様の問題があれば、急に閉まって人に大怪我をさせたり、鍵がかからず泥棒の侵入を許したりする危険もある。

扉の歪みや傾きは単に見た目の問題ではなく、非常に多くの被害を引き起こす原因となるのだ。

被害が起きてから後悔をしないよう、扉の不具合があるならすぐに直すよう心がけて頂きたい。

 

歪みや傾きの原因と直し方

扉の歪みや傾きを素早く直すには、まずその原因を的確に突き止める必要がある。

そこでこれら不具合の代表的な原因の確認方法と直し方を以下にご紹介する。

 

まず蝶番の緩みを確認

最も代表的な原因が扉と枠を留めている蝶番のビスの緩みである。

長年使っていると少しずつ負荷がかかり続け、徐々にビスが緩んで扉が傾きを起こす。

またドア本体や枠の木材が乾燥で収縮し、ネジ穴が広がって緩んでしまうこともある。

見分け方はまず扉を閉めた状態で正面から見て、扉と扉、あるいは扉と枠の合わせ目の幅が均一でないようなら、蝶番の緩みが疑われる。

次に閉めた扉を横から蝶番側に押した際にガタつくようなら、蝶番ネジの緩みの可能性が高いため、この後で紹介する直し方を試そう。

 

蝶番ネジの締めと調整

蝶番ネジの締めと調整

まず蝶番にある固定用のネジを枠側、本体側ともにしっかり締めよう。

次に調整用のネジが付いている蝶番なら、それぞれのネジで調整できる方向を確認した上で、扉下やドアノブ側の隙間が均一になるよう直していく。

ネジはわずかに回しただけで扉が大きく動くので、少しずつ回し様子を見ながら調整をしよう。

ただし枠は厳密な真四角になっていることはほぼ無いため、正面から見て四方の隙間をきれいな均一にするのは不可能に近い。

またあまり隙間を揃えることばかり優先すると、奥にぴったりと閉まらないなど他の不具合が出てしまうことにもなる。

枠も扉本体も多少の歪みは付き物なので、あまり完璧に調整しようとせず閉まればそれで良しという程度に考えておこう。

 

乾燥などによる扉本体の歪み

乾燥などによる扉本体の歪み

一枚の木の板を組み合わせた無垢材の扉で特に多いのが乾燥による本体の歪みだ。

硬質な樹種で入念に乾燥した無垢材以外は僅かに水分が残っており、それが乾燥すると繊維が縮んで歪みを起こす。

これは無垢材ほどではないが、中が空洞で合板を貼り合わせたフラッシュ扉でも起こりうることで、決して歪みと無縁ではない。

もし扉を閉めても部分的に奥までピタッと閉まらず隙間が空いてしまうようなら歪みの可能性が高い。

その際は扉を横から見て縦のラインがまっすぐか確認し、反りや歪みがあるようなら次項で紹介する対策を行おう。

 

本体の歪みの解消法

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扉本体に歪みがある場合はまず前述の蝶番のネジ締めと調整を試してみる。

それでも解消しないなら扉と枠が当たる部分にある、ゴムやスポンジなどの戸当たりの厚みを変えてみよう。

戸当たりで検索するとライン状や丸型のなど様々な形状の物が見つかるので、今の戸当りから少し厚めのものに張り替える。

適当な戸当りが見つからない場合は、今のものに強力タイプの両面テープ挟んで調整することもできる。

これらの対策を行っても隙間の不均等が解消されないようだと、DIYで行える歪み解消範囲を超えてしまっている。

専門業者に相談し削りなどで調整してもらうようにしよう。

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直らない場合は他の原因も探る

上記の調整方法を試しても隙間や傾きが改善されないなら、扉や枠以外の原因が考えられる。

専門業者へ依頼する前に念のため確認してみよう。

 

ラッチの不具合と調整法

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ドアの側面に出入りする突起のラッチボルトがあるが、これが受け側の穴=ストライクに届かなかったり、ストライクからずれて入らなかったりして、ドアが閉まらないことも多い。

まずドアと枠の隙間を覗きながら何度か開け閉めをして、ラッチがストライクに届いていないのか、フチなどに当たって引っかかっていないかを確認する。

位置がずれて入っていないならストライクにあるネジで位置調整を行う。

上下左右だけでなく穴の中央にもネジがあるタイプなら出具合も調整可能だ。

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また内部の滑りが悪くラッチの出が十分でないなら、シリコン系潤滑剤をラッチの隙間に吹き付けると出が良くなり改善される可能性がある。

ただしクレ556のような油系潤滑剤を吹いてしまうと、余計にホコリを付着させて動きを悪くしてしまうので注意したい。

これらを行ってもラッチの不具合が解消しない場合はドアノブやラッチ内部の不具合が考えられるため、以下の記事を参考に交換などを検討して欲しい。

・ドアが閉まらない時の直し方!すぐにできる簡単修理法を徹底解説

https://shufukulabo.com/the-door-does-not-close

 

床の浮きや反り

床の浮きや反り

室内ドアが床に擦って傷を付けているなら、ドアの傾きではなく床の浮きや反りの可能性もある。

床材も木製品のため乾燥で変形することは十分有り得るため、前項の蝶番調整で改善されないならドアの下の隙間を覗いてみよう。

床が盛り上がっていたりジョイントが浮いていたりが発見できれば、原因が扉ではないことがわかる。

ただしDIYでこれを直すことは困難であり専門業者の手を借りるしかない。

万が一には床材下の腐食の可能性もあるため、早めに専門業者へ相談するようにして欲しい。

 

建物の動きによる枠の歪み

建物の動きによる枠の歪み

建物内部の構造体が動き枠の方が変形して、扉が擦れたりラッチがかからなくなったりする場合もある。

原因は乾燥や温度変化による柱などの変形や、地震、近隣道路の大型車が通る際の断続的な小さな揺れなど様々で、聞き慣れなかもしれないが決して珍しい現象ではない。

もし蝶番を調整したり扉を削ったりしても直らないならこの原因が疑われるが、残念ながら一般の方が直すのは困難なため、専門業者に相談するようにして欲しい。

 

5:その他の扉の歪み傾き調整方法

これまでご紹介した方法は、人が通るドアや食器棚、靴箱などの扉で可能なものだが、これ以外にも自分で歪みや傾きを直せる扉があるのでご紹介しよう。

いずれも高額な道具などは必要ないが、代わりに丁寧に行わないと扉や部品を痛めてしまう可能性がある。

必ず十分に時間を取って作業に当たるようにして欲しい。

 

クローゼットの扉

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部屋にあるクローゼットの扉は、頻繁に使っているものだと傾いてしまうことがある。

閉めた状態で扉同士や枠との隙間が均一でないなら、まず扉上部でレールにはまっている吊り車を確認しよう。

乱暴に開け閉めしているとレールから吊り車が外れて扉が傾いてしまうことがあるので、引き渡し時に受け取った説明書を読んで、再度レールにはめ込む。

説明書が無い場合は扉の上部や裏側にあるシールからメーカーや品番を特定し、メーカーサイトからダウンロードするかアフターサービスに問い合わせをして入手しよう。

品番はわからなくてもメーカーに扉の写真をメールで送ると特定もしてくれる。

また経年劣化などで破損しているなら、やはりメーカーのアフターサービスに部品を販売してもらい、交換を行おう。

ただし部品が廃盤になっていると修理で解決することは難しいため、専門業者に扉ごとの交換を相談してみよう。

 

ロッカー

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スチール製のロッカーの扉が閉まらなかったり枠と擦れていたりするなら、原因は扉や枠が歪んでいるか、蝶番が曲がっているかのどちらかであり、いずれも木槌で叩いて直すことができる。

直し方は単純で枠や扉のヘリが曲がったり歪んだりしている部分を木槌で優しく叩く。

コツは曲がっている部分だけを叩くのではなく、広範囲に少しずつ叩いて戻してあげることだ。

一箇所を叩き過ぎるとそこだけが凹んでしまい見た目が非常に不恰好になってしまう。

また蝶番が曲がっている場合も同様に木槌で叩いて戻すことができる。

ただしこれらの方法は別の傷や凹みを作ってしまう恐れがある。

外観も含めて綺麗に直したいのであれば、不用意にDIYを行わず専門業者に任せた方が良いだろう。

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こんな場合は専門業者へ頼もう

扉の歪みや傾きなどの中には直すのが一般の方では非常に難しく、初めから専門業者に頼んだ方が間違いないケースもある。

DIYは確かに安く済ませることができるが、失敗するとそれまでの時間や道具が無駄になるだけでなく、悪化をさせて専門業者の修理費用を高くしてしまうことさえある。

以下にご紹介するような状態は特に手を出さず、極力プロに任せるようにして欲しい。

 

扉や枠が劣化している

扉や枠が劣化している

扉が古く、ひどく劣化しているなら、いくら蝶番のネジを締めたり調整をしたりしてもすぐに再発する恐れがあるため、専門業者に任せることをお勧めする。

もし扉内部まで痛んでいれば材料として寿命ということも考えられ、何度も手間や時間をかけるより交換した方が安上がりに済む可能性もある。

また扉の劣化が重症なら鋭利な割れや扉の外れなどが発生し、使う人に危険を及ぼす恐れもあるため、その場しのぎの対処をすべきではない。

扉が劣化して歪みや傾きなどが発生しているなら、専門業者にドア交換などの処置をしてもらった方が、余計な被害や出費を避けることができるだろう。

 

本体の歪みが大きい

本体の歪みが大きい

扉の歪みが大きく調整で直らない場合も専門業者に修理を頼むようにして欲しい。

幸い無垢材は削りで修復できるのだが、これは一般の方では扉を痛めてしまう恐れがあり、腕の良い建具屋に任せるべき作業になる。

一方フラッシュ扉で歪みがひどいとさらに厄介で、削りをかけられないため業者用の工具などを使って矯正を行うか、残念だが交換をして解決をするしかない。

どちらも専門業者に頼んだ方が回り道をせず確実に直せることになるため、早めに相談することをお勧めする。

 

玄関ドアは最も難しい

玄関ドアは最も難しい

玄関ドアの傾きは蝶番にあるネジを回すことで調整がある程度まで可能だ。

製品ごとで位置は変わるが、多くが上下左右に動かすネジが付いており、少しずつ回して行けば元の位置に戻すことができる。

ただし動かせる範囲は限られており、このネジで調整しても改善されない場合は、専門業者に頼むことになる。

一方で歪みは一般の方が直せる方法はなく、木製扉なら専門業者が削りで何とか直せるだけで、アルミ製の玄関ドアは専門業者であってもかなり難しい。

玄関ドアの歪みは防犯性に直接影響するため、発見した場合は交換も視野に早急に専門業者へ相談をしよう。

 

賃貸を自分で直すのは危険

賃貸を自分で直すのは危険

賃貸のアパートやマンションで扉に歪みや傾きが自然に起きたなら、基本的には費用を負担する必要はないので、すぐに大家や管理会社へ連絡し直してもらおう。

むしろすぐに連絡をせずに悪化させて傷などを増やしてしまえば、善管注意義務を怠ったとして補修費を一部負担することになりかねない。

また自分の不注意で歪ませたり傾かせたりしたなら当然直す責任を負うことになるが、間違っても費用を安く済ませようと自分で直してはいけない。

扉の歪みは一般の方が直すのは非常に難しく、蝶番の調整も一歩間違えれば床や枠を傷つける恐れもある。

借りている側で修理手配するのを禁じている物件もあるので自己責任にはなるが、費用を抑えるなら腕の立つ専門業者を探して修理を頼むのも良いだろう。

 

補修屋に扉の傷を消してもらう

BEFORE

BEFORE

AFTER

AFTER

もし扉に傷やシミなどもあるなら補修屋という専門業者に相談をしてみよう。

補修屋とは扉に限らず壁や床などの表面にできた損傷を、直した跡がわからないレベルで消してしまうリペアのプロフェッショナルだ。

歪みや傾きと一緒に傷やシミも直してもらえば、機能だけでなく見た目もきれいに復活させてくれるだろう。

以下に補修屋の仕事ぶりがわかる動画があるので、ぜひ一度ご覧になってみて欲しい。

 

補修屋の技術費用相場

補修屋の技術費用は傷んだ部分に絞って作業を行うため、非常に手頃な価格設定になっている。

以下に傷の種類別の費用相場をご紹介するので依頼の参考にして頂きたい。

もし正確に知りたい場合は、損傷のサイズがわかる写真をメールや問い合わせから送ると無料で見積もってくれる補修屋もあるので、一度相談してみると良いだろう。

・室内ドアや収納扉

補修内容技術費用相場
表面の浅い傷15,000円〜
ひび割れや凹み25,000円〜
剥がれや穴35,000円〜

・玄関ドア

補修内容技術費用相場
浅い傷補修30,000円〜
深い傷や凹み50,000円〜
鍵の交換(シリンダー部のみ)50,000円〜
全交換(カバー工法)250,000円〜

※材料の新規取り寄せ費、出張費などがかかる場合は別途

 

腕の立つ補修屋の見分け方

腕の立つ補修屋の見分け方

補修屋に依頼する際に気を付けて頂きたいのが、どの補修屋でも完全に傷を消せる訳ではないということだ。

補修屋の中には建築に関わる他業種の職人がアルバイトで行っている者もおり、当然ながら本職の補修屋とは仕上がりが雲泥の差となる。

そのため相手の腕をしっかり確かめてから選ぶことが大切で、例えば自社サイトで過去の補修の実績を画像付きで多数紹介していて、その仕事振りを目で確かめられるようなら大きな判断材料になる。

くれぐれも言葉だけの「豊富な実績」に惑わされないようにして欲しい。

 

火災保険でお得に扉を直す

火災保険でお得に扉を直す

扉の補修や交換などをお得に行いたいのなら、加入している火災保険を確かめてみて欲しい。

火事でもないのに火災保険を使うのか?と不思議に思うかもしれないが、現代の火災保険は台風などによる自然災害や盗難被害など、住まいの様々な損傷を幅広くカバーする総合保険になっている。

例えば扉の損傷が重い物をうっかりぶつけたり、お子さんがおもちゃを投げつけたりして出来たなら「不測かつ突発的な事故による汚損・破損」として、台風で物が飛んできてできたなら「風災」として補償される可能性がある。

ただし発生した原因や日時が明確であり、傷んだ箇所の機能に支障があると補償されやすいなど、いくつか適用の条件がある。

まずは加入時の書類などで確認し、不明な場合は保険利用の実績が豊富な専門業者へ相談して、保険が利用できるかを確かめてみよう。

 

まとめ

まとめ

扉の歪みや傾きを放置していると、使う人に怪我をさせたり泥棒の侵入を許したりする恐れがあるため、早急に直すようにしたい。

原因が蝶番にあるならご紹介した簡単に直す方法もあるので、まずはどこが悪いのかを確認してみよう。

ただ歪みがひどかったり劣化が進んでいたりするようなら、専門業者へ相談をした方が余計な出費をせずに済むことになる。

大きな被害を起こしてしまう前に大至急歪みを解消するようにして欲しい。

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【記事監修】 山田博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士

一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。

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