窓からの雨漏りは少量だからと軽く考えていると大きな損害を被ることになる。
内装被害や健康被害、そして住宅の耐震性さえ破壊してしまうのが窓からの雨漏りだ。
そこで今回建築のプロである一級建築士がご紹介する、応急処置と自分で行える修理法をご理解頂ければ、被害の拡大を防ぐことが可能になるだろう。
また記事の最後では専門業者に行ってもらう修理をゼロ円にする、火災保険の活用法も解説しているのでぜひ目を通して頂きたい。
この記事読むことで理解できること
放置すると恐ろしい雨漏り被害
窓からの雨漏りは水量が少なく被害もシミ程度が多いせいか、対応を後回しにしている方を見かける。
しかし放置するとじわじわと見えないところで建物や住む人を蝕んでいき、時間が経てば経つほど被害が大きくなっていく。
ここではまず雨漏りの代表的な被害を再確認して頂き、改めて早めの対処の重要性を認識してもらいたい。
内装のシミや剥がれ
窓やその周辺から雨漏りをすると壁紙のシミや剥がれが発生し、さらにはその下にある石膏ボードの変形や崩れも引き起こす。
これらは傷んだ場所だけ修理することが難しく、継ぎ目間の広い面積での張替えになるため予想以上の修理費となる。
また濡れてから数週間後にシミや変形が現れることもあり、片付けも一段落したところへ再度修理手配をすることになり、精神的なダメージも大きい。
さらに和室の窓周りから漏れてくると被害は深刻で、ヒノキの柱や長押、鴨居など白木の材料にできるシミは取り除く事がほぼ不可能になる。
せっかくの和室が非常にみすぼらしいものになり、入るたびに暗い気分となるだろう。
家具や家電の損失
窓の付近に家具や家電があれば当然それらが被害を受けることになる。
家具が濡れればシミや変形が発生して見苦しい姿になり、扉や引き出しが閉まらなくなれば修理はかなり難しく、殆どのケースが買い替えとなるだろう。
家電は濡れれば当然故障となり、最悪修理不能で新たなものを買う羽目になってしまう。
特にテレビやパソコンとその周辺機器は高額なものが多く、いずれも手痛い出費となりかねない。
また窓際に家具や家電を寄せて置いていると雨漏りが裏側に隠れて広がってしまい、発見が遅れて被害がより大きなものになるだろう。
台数がまとまると金額が非常に大きくなり、家計への影響が深刻なものになってしまうのが家具家電の被害と言える。
カビによるアレルギーや喘息
窓からの雨漏りが家具や家電の裏に回り込み、気付かぬうちにカビが発生すると家具家電はもちろん壁や床を汚していく。
さらに住む方のアレルギーや喘息の原因となる可能性があり、症状にお悩みの方にとっては非常に苦しいものになる。
また窓からの雨漏りが壁の内部に入りそこでカビが発生すれば、完全に隠れた場所のため原因不明のアレルギーとして悩むことになってしまうだろう。
漏電による感電
窓の下にはコンセント、横には照明のスイッチがいくつかは必ずあるのではないだろうか。
これらに雨水がかかれば当然のことながら漏電することになり、漏電遮断器が作動する。
ところが雨漏りが解消されないと何度も遮断器が作動することになり、家中の電気製品の故障に繋がるのだ。
さらに漏電箇所に濡れたまま触れれば感電する恐れがあり、最悪の場合は命にかかわる負傷の原因となるだろう。
特にコンセントは低い位置にあり、小さなお子さんの手が届きやすい為くれぐれも注意して頂きたい。
錆や腐れやシロアリ
窓からの雨漏りが壁の内部に入り込んでいる可能性は十分にあり、壁内の柱など構造材に腐れや錆を発生させ強度を大幅に下げることになる。
建物の寿命に繋がる耐久性はもちろん耐震性も低下し、住む人を守るという家本来の役割が失われることになる。
また湿気が籠もるとシロアリが発生する恐れがあり、壁内に巣食えば短時間で内部の木材は食い荒らされ、耐久性や耐震性の損失がさらに加速されることになる。
いずれも一度被害が発生するとその進行を止めるのは難しく、発生する前に手を打つことが非常に重要になる。
窓から雨漏りが発生したら行うこと
雨漏りの被害を抑える上で素早い対処に勝るものはない。
しかし天井からと違い窓からの雨漏りは徐々に漏れ出ることが多いため、対処を後回しにしがちだ。
しかし既にお伝えした窓からの雨漏り被害は少ない量でも確実に広がっていく。
ここでご紹介する雨漏りの対処をしっかりと行い、被害を最小限に抑えるために役立てて頂きたい。
被害が広がらないように
まず窓から雨漏りが発生した場合、その下に雑巾を重ね置き雨水が広がらないようにする。
床が濡れると乾く過程で床材が変形してしまうため注意しよう。
万一変形すると床の張り替えとなり、壁を剥がしての大工事になるため費用が高額になる。
さらに雨漏り周辺の家具や家電を可能な限り移動しよう。
初めは少量の漏れであっても、壁の内部の雨水が飽和状態になったり天候が急変したりすれば、漏れ出す雨水が突然増えることもあるので油断はできない。
漏れが増えてから重量のある家財を動かすのは困難なため早めに対処をしておこう。
状況を記録しておく
上記の対処を行い専門業者へ修理依頼の連絡ができたら、雨漏りの状況を写真で記録しておくようにしよう。
原因にもよるが修理費を保険で補償できるようなら、後日行う申請の際に使えるからだ。
併せて雨漏り発生時の日時や天候、状況の変化などをやはり保険申請で役立つためメモしておくと良いだろう。
片付けが終わって一段落してからだと、発生時は慌てていたため記憶がかなり曖昧になっている。
ぜひスムーズに且つ確実に保険申請が行えるように、出来る限り細かく記録を取っておくようにしよう。
集合住宅は管理会社へ連絡
アパートやマンションでは雨水の広がりを抑えると共に、早急に管理会社へ連絡を入れ対応の指示を仰ごう。
修理の依頼や保険の利用など、基本的に集合住宅の雨漏りは管理者側で対応するからだ。
ただ緊急に対処しなければ被害が広がってしまう場合は、こちらで専門業者へ応急処置を依頼しその費用を後日請求することもできる。
これらの対応については管理規約や契約約款などに書かれているので、一度確認しておくと良いだろう。
また雨漏りはいつ発生するかわからないので、普段から夜間や休日でも繋がる連絡先を控えておくようにしたい。
コーキングで雨漏りを止める方法
コーキングは住宅の修理では出番が非常に多い修理法だ。
道具も簡単に手に入る上に、応急処置程度であれば少し器用な方なら習得するのは難しくない。
外部の雨漏りだけでなく内部の隙間埋めでも活用できるので、一度しっかり施工方法を憶えておくと重宝するだろう。
コーキングの打ち替えと増し打ち
雨漏りの原因と思わしき箇所をコーキングで塞ぐわけだが、そこに古いコーキングが合った場合、修理方法が2種類ある。
古いコーキングを撤去した上で新たなコーキングを打つ「打ち替え」と、既存の古いコーキングの上に被せる「増し打ち」だ。
打ち替えは作業時間や手間は増えるが、増打ちに比べ非常に長持ちするので基本的には打ち替えがお勧めだ。
ただすぐに専門業者の修理を行う予定で、あくまで応急処置とするなら増打ちでも構わない。
また窓の枠上のコーキング奥には防水テープが貼られており、一般の方がこのコーキングを撤去する時に傷つけてしまうことが多い。
こうなるとせっかくコーキングを打ち直しても効果が半減してしまうため、この場合も増し打ちで良いだろう。
その代り増し打ちは短期間で取れてしまうことを十分に承知し、処置を行った後は必ず専門業者に状態を確認してもらうようにしよう。
コーキング修理の手順
既存コーキングの撤去
コーキングが接着している面をコーキングカッターで切り離し、ラジオペンチで引っ張り出したら接着面に残っているコーキングをきれいに剥がす。
この残りの剥がしを丁寧に行うことで新たに打つコーキングの付きが良くなる。
普通のカッターでは力が入りにくく時間がかかってしまうので専用のものがお勧めだ。
また長さがある場所を行う際は、刃がすぐに駄目になるので替刃も用意しておく。
・ラジオペンチ
マスキングテープで周りを養生
コーキングが付かないよう施工する周辺にマスキングテープで養生する。
コーキングの接着面にテープが入らないように注意しよう。
・マスキングテープ
プライマーを接着面に塗る
コーキングの付きを良くするプライマーを接着面に塗る。
慣れないうちは多めに購入しておきしっかり塗るようにする。
・プライマー
コーキングを打つ
しっかりと厚みを持って打つようにしよう。
この後のヘラでならす際に余分を取るくらいのつもりで、たっぷり打っておく。
若干高めだが変性コーキングがどんな場所でも打てるのでお勧めだ。
・コーキング
・コーキングガン
ヘラで成形し養生テープを剥がす
ヘラで形を整えながら養生テープを剥がす。
コーキングの表面は固まりが早く養生テープと付いてしまうため、少しならしては養生テープを剥がす、を繰り返していく。
固まる時間は種類や季節によって変わるが概ね2日から1週間程度となる。
・ヘラ
安全性に最も注意する
自分で修理を行う際はくれぐれも安全に注意して行って欲しい。
外側から見れば1階の窓の上でも十分に高さがあり、脚立の上からでも遠方が悪ければ大怪我をしかねない。
本職の職人たちは例え地面の上で作業する場合でも必ずヘルメットを被っているが、それはどんな場所でも現場には危険があることを良く知っているからだ。
豊富な経験がある彼らでさえ配慮をしているのだから、一般の方はそれ以上に注意しなければならない。
必ずヘルメットをかぶり2人以上で作業するようにし、2階以上の窓の修理は決して行わないようにして欲しい。
自分で行う修理は応急処置
自分で行うコーキングは応急処置と考えて頂きたい。
一見簡単に見えるコーキングだが、迅速で丁寧な作業、経験と知識に基づいた状況判断、そして不安定な場所でも確実な施工が行える技術など、プロとの差は歴然とあり仕上がりや持ちの良さが全く違ってくる。
自分で施工したことで安心してしまい、短期間で取れてしまっても気付かず雨漏りが更に悪化してしまう恐れもある。
その段階で専門業者に修理を依頼すれば、結局は費用が高くつくことにもなるだろう。
また雨漏りは表面的な損傷ではなく、むしろ内部に痛みが及んでいないかが重要であり、その確認は専門業者でないと難しい。
自身でコーキングを打った後は必ず、日を置かずに専門業者にしっかりした修理を行ってもらうようにして欲しい。
間違いない業者選びのポイント
雨漏りは早急に対処をしたい為、なかなかじっくり業者を検討できなこともあるだろう。
しかししっかり相手を見極めなければ高額な費用を請求されたり、手抜き工事されたりしかねない。
そこでここでは真面目な腕の良い業者を選ぶ上でのポイントを解説したいと思う。
工程を説明してくれるか?
工程とはどのような順番でどういった作業を行うかの予定であり、これを説明してもらうことで依頼主は工事の内容を把握することができる。
工程を知ることは見積もりとの整合性を確かめたり、手抜き工事を防ぐことにも繋がるのだ。
ただ工程を説明しないでおけば、工事を始めてから行わなくても良い工程が発生した際、その費用を減額せずにもらってしまえる、と考える業者もいる。
そういった業者に工程の説明を求めると「状況に応じて作業は変わるから」や「内部を詳しく見てみないとわからない」などとはぐらかしてくるので注意しよう。
確かにその通りではあるのだが、職人や材料を手配するために仮の工程を業者は必ず組んでいるはずなので、変わっても良いから教えて欲しいと伝えてみよう。
誠実な業者であれば丁寧に教えてくれるはずだ。
すぐに契約を迫らないか?
中には見積もりを出して数日以内や、場合によってはその場で契約を迫ってくる業者もいるが、こういった相手も注意したい。
「今なら安くできる」や「場所が良く宣伝になるので」などともっともらしい理由で急かしてくる。
しかし本当に腕の良い業者は仕事が途切れず入ってくるし、金額に根拠があるので安くすることでお客の気を引く意味が無い。
決断を急がせるのは余計に高い見積もりだったり、いらない工事を組み込んだあったりと、他と比べられると困るので急かしてくるのだ。
こういった業者を選ぶメリットは基本的になく、そのような仕事への取り組み方であれば工事のレベルもたかが知れていると言えよう。
飛び込み営業は避けよう
突然訪問や、ポストにチラシが入っているだけのような業者も避けた方が良いだろう。
名の知れた会社ならまだ検討の余地があるかもしれないが、名もない遠方の業者の場合は特に注意が必要だ。
そういった業者は適当に工事を行い代金を回収したら、後は音信不通になることが多い。
特に雨漏りは再発する可能性もあるためアフターサービスが非常に重要で、連絡してすぐに駆けつけてくれる距離にある方が何かと安心だ。
飛び込み業者は基本的に避けるか、必ず他からも見積もりを取って比較してから判断するようにしよう。
一式見積もりの危険性
見積もりの詳細が無く「雨漏り修理工事 一式〇〇円」と全てまとめて一式出しになっている場合は注意しよう。
これは工程を説明しない理由と同様で、詳しく書いてしまうと手抜きができなくなってしまうからだ。
確かに小さな工事であれば、短時間の手間代や会社にストックしてある材料の費用など、細かく金額を出すのが難しい場合もある。
ただある程度金額がする工事であれば、おおよそでも構わないので必ず明細を出してもらうようにしよう。
手抜き工事はもちろん、極端に割高な見積もりになることを防いでくれるだろう。
窓からの雨漏り6大原因
窓からの雨漏りは窓自体からだけではない。
特に窓と壁のつなぎ目から現れる雨漏りは、想像以上に様々な場所からやってくる。
窓周りに原因があると思っていたが、いざ調べてみたら原因がわからないという話しは実に多い。
被害を最小限にするには発生したら素早く対処するに尽きるが、そのためには原因を突き止めることが非常に重要になる。
雨漏りが発生した場合は以下を参考に原因を推測し、可能な応急処置を施した上で、一刻も早く専門業者に修理を依頼するようにしよう。
最も多いコーキングの劣化
最も多い原因は窓と外壁のジョイント部分のコーキングの割れからの雨漏りだ。
ここから浸入した雨水が、古い建物であればその奥にある防水シートの劣化による割れなどから浸水する。
一方建築年数が比較的新しい場合は外壁と建物本体との間に通気層があるため、外壁のコーキング割れから雨水が侵入しても、すぐに室内に漏れ出すことはない。
しかり通気層を流れ落ちた雨水が階下の窓に到達し、そこから室内へ雨漏りとなる事がある。
雨漏りをしている場所のすぐ外側をいくら調べても損傷がみつからない場合は、このケースが考えられるので上階の窓まわりを確かめてみよう。
発見しにくい外壁ひび割れ
外壁のヒビ割れから内側に雨水が入り込むことで雨漏りとなる場合もある。
前項で解説した外壁のすぐ内側が防水シートになっている古めの建物は非常に危険性が高く、防水シートに劣化があれば即室内へと浸水していく。
特に窓周りの外壁はヒビ割れが発生しやすいため、こちらも窓からの雨漏りの代表的な原因となっている。
また外壁の内側に通気層が設けられた比較的新しい建物は、ヒビ割れから侵入した雨水が流れ落ち、階下の窓の損傷から雨漏りとなっていく点はコーキング割れと同様だ。
窓まわりの雨漏りは上の方の損傷も探すようにするのがポイントと言えるだろう。
換気扇からの浸水
これも上記の外壁ヒビ割れと同様に雨漏りをしている窓の上に換気扇があると、その周辺のコーキングや外壁の割れから浸水し、流れ落ちてきて窓へと降り掛かっていく。
窓上部の内側には防水テープが貼られているが、これが劣化で割れていたり施工不良で隙間があいていたりすると、内側への雨漏りになる。
また平成15年7月1日以降に着工した住宅は全居室の換気が義務付けられ、窓周辺に換気口が取られている場合も多い。
当然その周辺のコーキングが割れたりすれば、雨水が浸入し窓周辺に雨漏りとして現れることになる。
この点や通気工法も併せると、新しい建物でも雨漏りのリスクは古い建物と同等以上にあると言って良いだろう。
窓自体の隙間
窓が古ければ本体に隙間があり雨漏りとなるケースもある。
特に引違い窓だと合わせの部分や、縦すべり出し窓の場合はパッキン部分が劣化して雨漏りを引き起こす。
このケースは雨漏りにすぐに気付く上に、室内から布や防水テープで水の浸入を止めるなどの応急処置も行いやすいため、被害が広がる前に手を打つことができる。
漏れる雨量が少ない場合もあるが、対処を怠ると室内側の木調枠を痛めてしまうので早めに交換などをした方が良いだろう。
出窓は屋根板金とパッキン
出窓の上部には屋根が付いているが、ここと外壁のジョイントコーキングが割れると内部の雨漏りとなる。
もともと屋根が雨を受けて雨水が滞留しやすい上に、屋根の傾斜が不足していたり凹みができていると、余計にコーキング割れから中に雨水が入り込みやすくなる。
さらに窓の枠とガラスのジョイントにあるパッキンが劣化することで、出窓内側へ雨漏りするケースも多い。
窓自体が張り出しているため各パッキンも雨や日光が常に当たることになり、どうしても劣化が早くなってしまうのだ。
また出窓の雨漏りは結露と間違えやすいので、水滴があった場合はしっかりと観察する必要があるだろう。
天窓雨漏りの原因
天窓は最も雨漏りをしやすい窓と言えるのではないだろうか。
常に紫外線や風雨に晒される環境にあるため、ガラスと枠の隙間にあるパッキンが劣化しやすく、この部分からの雨漏りが最も多い。
また雨量が多いと窓周辺の防水板金を越えて雨が浸水してきたり、周りの板金が腐食し穴が空いたりして雨漏りとなることもある。
意外なところでは天窓周りに枯れ葉やゴミや溜まってしまい、雨水を堰き止め溜まったものが防水の板金を越えて入り込んで雨漏りとなる。
とにかく原因となる損傷が多いため製造を取りやめているサッシメーカーも多く、それだけ不安要素の大きい窓と言えるだろう。
火災保険で雨漏りを0円修理
雨漏りは突然発生するため、その修理費は家計にとって手痛い出費となるはずだ。
しかしここで検討したいのが、火災保険を利用して修理費を補償してもらう方法だ。
火災保険というと火事の時にだけ使うものと考えがちだが、近年の火災保険は火事の際だけではなく、自然災害や落雷、盗難など、差別化の為に様々な補償が付加されている。
これに正しく条件が当てはまれば修理費の自己負担を減らすことができ、さらには全額補償となり0円で修理を行える可能性もあるのだ。
せっかく保険料を支払っている火災保険を、この機会にぜひ活用して頂きたい。
保険の対象となる条件
保険の対象となるのは台風や竜巻、大雪や雹、大雨や洪水など、自然災害によって建物が損傷し雨漏りが発生した場合だ。
原因が条件を満たせばその修理費が補償されることになる。
ただ経年劣化による雨漏りや、以前保険を利用して修理した箇所が再度雨漏りした場合は補償対象にならないなど、保険によって細かな条件が変わってくるので、利用する前に保険会社に確認しておくと良いだろう。
修理は実績豊富な専門業者へ
保険を利用する際に最も気をつけなければいけないのが、自然災害と窓からの雨漏りの因果関係をきちんと保険会社に伝えなければならない点だ。
現実的には自然災害で窓まわりが破損するケースは屋根やベランダに比べて少ないが、その原因が経年劣化か自然災害であるかは専門業者でないと判断は難しい。
しっかりした調査はもちろん建築の知識も必要なので、一般の方が一人でその作業を行うと否認されるリスクもある。
申請には修理の見積もりも必要になるので、ここは調査の段階から雨漏りの火災保険申請の実績の多い専門業者へ依頼する方が安全であろう。
業者修理の注意点
雨漏り修理で火災保険を利用する場合注意したいのが、保険会社の審査が終わっていないのに工事を始めたり、手付金を支払ってしまったりすることだ。
業者の中には「確実に審査は通るから」と着工や入金を急がせるところもあるが、非常に危険である。
工事が始まってしまったり、着工金を支払って職人や材料の手配をされたりすれば、万一審査が通らなくても後戻りできなくなり、自己負担で修理を行うことになる。
当然のことだが審査に絶対は無いため、必ず審査後の着工や入金で構わないという業者を選ぶようにしよう。
まとめ
窓からの雨漏りは対応が遅れれば建物や家財、そして住む人の健康などに大きな被害をもたらす。
万一発生した場合は早急に応急処置を行い専門業者へ修理を依頼して欲しい。
もちろん可能であれば安全に注意しながら自分でコーキング処理を行い、被害の拡大を防ぐのも良いだろう。
しかし自分で行えることはあくまで応急処置であると心得、しっかりした業者選びを参考に早いうちに専門的な修理を依頼するようにしよう。
もし火災保険が利用できれば修理費の自己負担を軽減することができる。
ぜひ再発しないよう十分な修理を行ってもらうようにしよう。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。