マンションの雨漏りは原因が発見しにくい上に責任の所在も複雑になりがちで、解決に時間がかかる厄介なトラブルだ。
原因が上の部屋にあるケースも多いが相手に賠償を断られれば泣き寝入りの危険性もあるし、対応が遅れて下の部屋にも被害が及べば今度はこちらが責任を負うことに成りかねない。
そこで今回建築のプロである一級建築士がご紹介する緊急対応の方法を知って頂ければ、被害を最小限に抑え迅速な解決に向かう上で必ず役に立つはずだ。
また記事の最後には被害に遭った時に役立つ保険の知識もご紹介しているので、ぜひ最後まで目を通して欲しい。
この記事読むことで理解できること
雨漏りと水漏れの違いとは?
まずマンションの部屋の天井から水が漏れ出てくる現象は、その原因によって「雨漏り」と「水漏れ」の2つに分かれる。
「雨漏り」はその字の通り雨が建物の損傷などから内部に入り、部屋の天井や壁に漏れ出てくることを指す。
一方「水漏れ」は住宅の給排水管などからの漏れや、トイレや洗濯機など水周り設備から何らかの理由で溢れ出た水が室内に漏れてくること現象だ。
「雨漏り」で一括りにしてしまいがちだが、被害の原因究明や保険を利用したりする際にはきちんと使い分けないといけないので、ここで改めて確認して頂きたい。
マンションの雨漏り主な4つの発生原因
雨漏りは前述の通り雨が何かしらの建物の損傷から内部へ浸入し、室内へ漏れ出てくる。
実際には雨漏りの原因は特定が難しい場合も多く、マンションのような隠蔽された部分が多い建物だと長期に渡って雨漏りが直らないこともある。
ここではマンションの雨漏り原因の代表的なものを挙げるので、早期発見に役立てて頂きたい。
ベランダ(防水層劣化/コーキング割れ)
ベランダはマンションの雨漏り原因の筆頭だ。
例えばバルコニー床の表面にある保護塗膜がひび割れ、更に下のウレタン塗料やFRPなどの防水層も劣化で割れが発生すると、すぐに雨水が内部へ入り込んでしまう。
また排水口にゴミが流れ込んで詰まりを起こし、劣化したジョイントから雨漏りが発生することもある。
このような内部配管の詰まりは、場所の特定に時間がかかるため被害が長期化しやすい。
さらにベランダを囲う腰高の壁の上に被せてある笠木と、手すりや壁とのジョイントコーキングが割れて浸入口となるケースや、床防水と腰壁のジョイントから雨水が浸入したりと、原因になる場所が非常に多いため、普段からの点検が非常に重要になってくる。
屋上(防水層劣化/排水口の詰まり)
屋上もベランダ同様に雨漏りの発生原因としては良く聞く場所だ。
こちらの床も何かしらの防水層が施工されているので、経年劣化などによるひび割れが原因となることも多い。
しかもベランダと違って屋根が無く日光や風雨に常に晒されているので、痛みは更に速いと言えるだろう。
また広さがある上に設備や構造自体のジョイントも多く、その原因を突き止めるには時間がかかりがちなのも特徴だ。
さらにここの排水口は広い屋上の水を受けるため集まるゴミも多く、定期的に清掃やメンテナンスを行わないと詰まりを引き起こしやすいので注意が必要だ。
外壁(塗膜劣化/ひび割れ)
外壁タイルや塗膜が劣化しコンクリート壁に貫通したひび割れを雨水が通り、室内への雨漏りとなるケースもある。
直接壁に染み出してきたり、コンクリートと内装の隙間を落ちて足下に出てくることもあるが、それほど大量ではないため壁内に留まりカビの原因となることも多い。
また雨漏り被害だけでなくコンクリート内部の鉄筋を錆びさせてしまい、強度の低下や壁の欠落を起こす危険性もある。
窓周り(コーキング割れ・剥離)
窓周りの隙間にはコーキングが打ってあるが早ければ10年前後でひび割れを起こし、さらに経過すれば貫通や剥離が発生し雨漏りの原因となってくる。
特にサッシ上部の割れはサッシ枠自体が内部への橋渡しをしてしまうので、台風などで強い風と共に多くの雨が降れば、一気に雨漏りが発生する危険性がある。
また戸建ての住宅と違い壁内に浸入した雨水の逃げどころが無いので、その殆どが室内に入ってくるという恐ろしさも持っている。
マンションの水漏れ主な5つの発生原因
雨とは別に生活排水や水道水が部屋内に漏れてくるのが水漏れだ。
配管や水周り設備などその発生原因は多岐に渡るが、大きく分けると人為的な不手際のものと、配管や設備の劣化や故障などになる。
いずれにせよ天候に関係なく突然発生する上に原因の発見が難しい場合も多く、その責任問題も含めて非常に厄介なトラブルと言えよう。
ここではその代表的な原因をいくつかご紹介するので参考にして欲しい。
配管の詰まりと漏れ
マンションでは上階の床下に様々な配管が通されている。
これが劣化や施工不良、あるいは異物の詰まりなどで漏水し、下の部屋に水漏れを起こすことがあり、特に排水だと汚れや臭いがあるためダメージは大きい。
途中に床スラブがあるため一気に大量の水が漏れてくることは少ないが、厄介なのは見えない内部に配管が隠れているので発見に時間がかかることだ。
上階の床を剥がすなど住人の協力が必要になるが、断られたり不在だと応急処置すら行えない。
また古いマンションの中には天井裏に上階の部屋の配管が通されているケースがあり、この場合の水漏れは量が多くなるため被害が大きくなりがちだ。
トイレの詰まり
上階の部屋でトイレに、大量のトイレットペーパーや異物を流して詰まらせ水が溢れてしまい、階下の水漏れになるケースは非常に多い。
水だけなら良いが汚物が混じってしまうとダメージが一層大きくなるだろう。
マンションは様々な住人がいるため、大量のペットの糞や吸い殻、食べ残しなど詰まらせそうな物を平気で流す人間もいるのだ。
またタンクに水の入ったペットボトルを入れるという節約術があるが、流れる水の量が少ないと流す力が弱まり詰まりを発生させることもある。
もし心当たりがあれば自身が発生原因を作らないよう気をつけて頂きたい。
キッチンや洗面台からの詰まり
キッチンや洗面台自体から水漏れすることは実は少ないのだが、ここで注意したいのは配管を詰まらせる原因を作りやすいことだ。
キッチンの場合は料理かすなど異物を流して詰まらせることや、油などを流して排水管内に付着して詰まらせることもある。
油をそのまま流す方はいないと思うが、炒め物をしたフライパンを洗い流すだけでも少しずつ配管内に付着する。
使用者が詰まりの原因を流している意識がないのが怖いところだ。
また洗面台であれば髪の毛などのゴミが、少しずつでも日々の積み重ねで詰まりを起こしてしまう。
洗濯機からの水漏れ
洗濯機の給水・排水ホースの取り付けが甘く外れて水漏れしたり、排水ホース内に異物が詰まり排水が逆流して水漏れを起こすケースも多い。
さらに怖いのは、洗濯機をスタートさせて出掛けてしまうことで、延々と大量の水が流れ落ちてくることになる。
また古いマンションの中には排水管が細い物件もあり、そこで大きめの洗濯機や全自動で一度に大量の水を排水するタイプを使うと、排水管にわずかな汚れの付着で溢れてしまうこともある。
いずれの場合も、洗濯機の水漏れの被害を大きくする要因となっている。
浴室のタイル地の割れ
水漏れになりそうなイメージの強い浴室だが、配管のトラブルを除けばそれ自体が原因になることは実際には少ない。
現在のマンションの浴室は殆どがユニットバスとなっており、水が漏れるジョイントが少ない上に例えそこのコーキングが劣化しても、漏れ出る水の量は非常に少ないからだ。
ただし染み出た水がカビの原因にはなるので割れを発見したら補修した方が良いだろう。
一方で古いマンションで見かけるタイルの造成風呂は、その目地割れから水漏れする場合がある。
特に浴槽や洗い場は多くの水が流れるので、そこから漏れれば階下の水漏れに繋がるだろう。
また新しくユニットバスに入れ替えると、新旧配管のジョイントが施工不良で水漏れすることもあるので、上階がリフォームした場合はしばらく注意してみると良いだろう。
雨漏りや水漏れの前触れをキャッチしよう!
雨漏りや水漏れの被害を最小限にするには早期発見が最も有効だ。
それらが室内に現れるということは、天井裏や壁の中ではより多くの水が溜まっており、かなり進行していると状況と言って良い。
なおさら早めに手を打つことが室内はもちろん、隠れた部分の被害も食い止めることになる。
ここではその兆候など早期発見の為のチェックポイントをお伝えしよう。
規則的に発生している音
最も察知しやすいのが音である。
特に夜の寝床に就く時など静かな時に、いつもと違う音を感じたなら注意してみよう。
一聴すると水滴の落ちる音とはわからないが、普段は聞かないような音で現れることも多い。
何かを軽く叩く音のようだったり、きしみのようだったり様々だが、規則的に発生するのが一つの特徴だ。
もし天井裏の点検口があれば除いて確認したり、しばらく続くようなら管理組合などに相談してみるのも良いだろう。
内装のシミ・浮き・カビ
天井や壁などの内装にシミが出てきたら要注意だ。
漏れてきた水が汚れていれば乾くとシミになるのではっきりわかるし、奇麗な水でもクロスが浮いたりふやけたりするので気をつけて見てみよう。
特に夜照明を点けてみると小さな浮きでも影ができてわかいやすいので、もし発見したら広がっていかないか監視しよう。
また窓枠からの雨漏りはカーテンに隠れて気付くのが遅れることも多いので、強い雨が降った後は両脇のカーテンの溜まりをどかして確認してみると良いだろう。
家具の裏や押し入れの奥も発見が遅れがちな場所なので、掃除を兼ねて定期的にチェックするよういにしよう。
シミはもちろんカビが発生していれば十分に雨漏り・水漏れの可能性がある。
責任の所在は?修理費用は誰が払う?
マンションの雨漏りや水漏れで最も厄介なのが責任の所在だ。
まずどこで発生したか、そして何が原因かが重要になるのだが、その線引きが非常に難しい。
さらにマンション特有の専有部分と共用部分の問題も出てくるので、責任が複数の相手になることも珍しくない。
そこでまず専有部分と共用部分とは何かを整理し、その上で代表的な原因においての責任について解説したい。
どこで発生したか?(専有部分/共用部分)
専有部分=部屋の中になる。
従って内装である方の床や壁、天井は専有部分となる。
また共用部分は専有部分以外のもので、マンションの構造体の柱や天井、床、基礎、あるいは区分所有者全員で使用する入り口や廊下、エレベーターや給排水設備などがこれに当たる。
注意したいのは玄関ドアや窓、ベランダは実は共有部分であり、所有者の専用使用権が認められている部分だが、同時に管理責任も負うことになっている。
例えばベランダの清掃を怠りそれが原因で雨漏りが発生した場合はその所有者の責任となる。
これらの区分けとその責任については、管理組合の規約によってマンションごとに定められているので、改めて確認しておくと良いだろう。
また必ず一者の責任になるとも限らず複数の割合責任になることもあるので、注意して頂きたい。
何が原因か?(老朽化/施工不良/人の過失)
【建物の老朽化の場合】
建物の防水や配管が老朽化して漏水を起こし部屋に被害を発生させた場合は、専有部分か共用部分かによって変わってくる。
例えば部屋の床下にあるその自室用の配管は専有部分に当たり、これが老朽化して被害を発生させた場合は所有者の責任になる。
一方建物の外壁や廊下、屋上や各部屋までの給排水管は共有部分であるため、ここが原因となった場合は管理組合(厳密には区分所有全員)の責任となる。
ただし前述のようなベランダや窓、玄関扉など、専用使用権が与えられている共用部分は老朽化が原因なら管理組合の責任となるが、所有者が掃除をしなかったなど管理責任が組合わさった場合は、割合に応じた負担になることもある。
また注意したいのは雨漏り・水漏れが発生しているのを気付いていたのに放置し被害が広がった場合は、その部屋の所有者にも責任が発生することがあるので、軽微でも発見した場合は速やかに管理組合などに連絡をした方が良いだろう。
【施工不良の場合】
施工時のミスなどによって雨漏り・水漏れが発生した場合は、当然施工業者の責任となる。
基本的には品確法に基づく引き渡しから10年間が限度となるが、不良の程度によっては不法行為とみなされ20年まで責任追及をすることも可能だ。
また新築物件で平成21年施行された住宅瑕疵担保責任保険に施工会社に加入していれば、例え施工会社が倒産していたとしても補修や賠償を求めることができる。
【人の過失の場合】
水漏れの原因が人為的なもの、例えば洗濯機の排水ホースが外れてしまったりトイレに異物を詰まらせてしまった、などの場合はその部屋の所有者が責任を負う。
ただし所有者と使用者が別の場合は、原因を作った者が使用者であれば当然その者の責任となる。
また発生原因が人為的な詰まりと共用配管の老朽化の複数に股がると、住人と建物の管理者で責任の割合に応じた賠償になることもある。
ただし相手が個人の場合は賠償を拒むケースもあり、トラブルになることも少なくない。
賃貸マンションの場合
マンションにおいては部屋を所有ではなく賃貸している場合もあるだろう。
これも建物の老朽化などが原因なら管理組合、管理会社に補修などの責任が生じ、人為的な原因や施工不良の場合はその対象者が責任を負う。
また先に述べた雨漏りや水漏れを放置して被害が広がった場合は、被害者であっても責任が発生する点は賃貸でも同じなので注意しておこう。
マンションで雨漏りが発生した際の正しい緊急対応
実際に雨漏りや水漏れが発生した場合はできるだけ素早い対応が重要になる。
水が漏れる範囲が広がる可能性もあるし、一戸建てとは違いすぐに自分で修理などを手配できない場合もあるからだ。
また対処を怠ると自分の部屋から階下に被害が広がった時に、損害賠償を求められてしまうこともあるので応急処置は必ず行うようにしよう。
管理組合と管理会社へ連絡
まず行うことは管理組合や、組合が管理を委託している管理会社へ連絡することである。
日頃から連絡先を確認して電話を入れやすくしておくと良いだろう。
また発生するのが昼間とは限らず、夜など連絡がつかないような場合はどうしたら良いか確認しておくことも重要だ。
管理会社が夜間用に24時間対応の水道業者を指定してあれば安心だろう。
夜間対応先が無かったり、自主管理の物件の場合は万一の場合の対応先を自分で探しておくようにしよう。
天井・壁からの水が広がらないようにする
次に被害が広がらないように手を打たなければならない。
まず水が落ちているところにバケツを置きこれ以上広がらないようにし、濡れた床は雑巾で拭き水が床に染み込まないようする。
床のフローリングは水を吸ってしまうと乾く時に変形を起こしてしまうからだ。
壁も同様にクロスが変形してしまうので拭くようにしたい。
またブルーシートは床に敷いて水が染み込むのを防げるし、家具などに被せて水濡れを防ぐこともできるので、もしもの時用に1枚あると便利だろう。
電気製品の漏電対策
部屋の中にある電気製品が濡れてしまえば故障の原因や漏電の危険性が出てくる。
雨漏りや水漏れが発生した場合は、その周辺にある電気製品はコンセントを外し可能なら別の部屋へ移すと良いだろう。
また漏電遮断器が作動し繰り返しブレーカーが落ちると電気製品は故障をしかねないので、別の部屋にあるものも電源を落としコンセントを抜いておくことをお勧めする。
また照明の漏電を防ぐため昼間であればブレーカーを落とすようにし、真夏や夜などで難しい場合は極力スイッチを入れないようにすると良いだろう。
状況の記録
マンションの雨漏り水漏れは調査業者が原因を究明することになるが、発生状況や被害を記録することをお勧めする。
発生時の状況がわかればなるべく早い解決と被害の復旧に役立つだろう。
また保険会社に被害を補償してもらう際の申請書類の作成に使えるだけでなく、原因や責任を巡ってトラブルになった時にも出番があるかもしれない。
発生した場所の様子や状況や水の色、その時の音、天候などを写真や動画で記録し、メモも取っておくようにしよう。
修理手配は慎重に
雨漏りや水漏れが発生すると被害を受けている方は、早く現状をどうにかしたいと思うことだろう。
しかし原因や責任の所在、保険でどこまで補償してもらえるか、などがはっきりするまでは修理を手配するのは控えよう。
管理組合や管理会社によっては修理業者を指定している場合もあり、慌てて修理してしまうとその費用が自己負担になってしまいかねない。
もちろん漏れがひどい場合は応急処置だけを手配し、本格的な修理は後日とする方法もある。
緊急の初期対応であれば後日その費用を、賠償責任のある相手に請求できるかもしれない。
発生原因の所有者への対応
天井からの水漏れだと上階の所有者が原因の場合もあるだろう。
しかし相手の部屋に行って調査しなければ確実にはわからないし、床下の配管の水漏れは本人も気付いていないかもしれない。
早く止めたい気持ちもあるであろうが、いきなり乗り込んで行っては協力を得られないばかりか、お互い感情的になるかもしれない。
焦る気持ちは抑えて管理組合や管理会社の人間に任せるようにしよう。
マンションの雨漏り修理方法と期間
マンションで雨漏りが発生し、修理が行われるとなった時、入居者としてどのような修理がどのくらいの期間行われるのか気になる方もいるだろう。
修理箇所によっては足場が作られたり、業者の方がマンション内を行き来するため、修理箇所ごとの修理内容や目安となる期間をお伝えする。
場所 | 修理方法 | 期間 | |
屋上 | 防水シートの修繕、塗装の塗り替え、ひび割れの修繕、 | 5日~1週間前後 | |
屋根 | 部分 | 屋根材の修繕 | 半日~1日 |
全体 | 屋根下地材の補修、屋根材修繕等 | 1週間前後 | |
外壁 | 部分 | コーキング修繕等 | 1日 |
全体 | 塗り替え、壁材交換 | 2週間前後 | |
ベランダ | 部分 | 防水層修繕、排水口割れや詰まり解消、サッシ周りコーキング等 | 1~2日 |
全体 | べランダ部分と併せて、周辺の壁、屋根の修繕 | 1~2週間前後 | |
窓 | コーキング | 半日~1日 |
上記は足場が作られるかどうかだけでも2、3日の変動があり、また天候によっても左右される。
知っておくべき保険こと
雨漏り水漏れの損害は責任を負う者の加入する保険で支払われる場合もある。
ここではマンションに関わる主な保険を解説するので、被害を補償してもらう際や意図せず請求される側になった場合の参考にして頂きたい。
ただし保険は保険会社やその商品によって補償となる条件は様々であり、またマンションの規約によっても変わってくる。
以下に紹介する内容は一般論になるので、必ず保険会社や管理組合に確認の上、実際の内容に従って頂きたい。
管理組合の加入する保険
雨漏り水漏れの原因が共用部分の場合は管理組合がその責任を負うことになり、その被害を賠償する保険として施設賠償責任保険がある。
雨漏りによって受けた被害の修繕や家財などの買い替え費用だが、同じ箇所から何度も水漏れを起こしたり経年劣化は対象にならないなど、保険によって対象となる条件はまちまちである。
殆どのマンションの管理組合が加入していると思われるが、自主管理のマンションは未加入の場合もあるので確認しておくと良いだろう。
個人賠償責任保険
雨漏り水濡れの原因が専有部分にある場合はその所有者が責任を負うことになるが、個人賠償責任保険へ加入していれば階下の被害を補償してもらうことができる。
火災保険や自動車保険にも付帯させることができるので、万一自分が加害者になってしまった場合に備えて加入を検討してみても良いだろう。
また近年は訴訟に発展するケースも出てきているので、弁護士費用も補償される保険にするのも有効だ。
水漏れ保険
水漏れの原因となる上階の所有者に賠償を拒否されたり、責任が複数の者に渡り合意に時間がかかったりすると、被害をそのままにして不便な生活を強いられることになってしまう。
そこで自身の加入する火災保険に水濡れ補償が付帯していれば、それを利用して修復する方法もある。
ただし雨漏りや建物劣化が原因の水漏れは補償にならない保険も多く、また建物だけでなく家財も対象にした契約にしておかないと家具や家電は対象にならないなど、しっかり内容を把握することが大切になる。
マンションの雨漏りで多い疑問Q&A
Q.最上階は雨漏り被害に合いやすい?
A.マンションの最上解の天井の上は屋上となっている為、もしも屋上になんらかの損傷が起きた場合には、最上階の部屋が一番大きな被害に合う。
最上階以外の階での雨漏りの心配と言えば、屋上以外からの外壁や窓、ベランダからである。
ただし、水漏れに関しては上階からの原因がほとんどの為、水漏れ問題であれば最上階は被害にあいにくい。
屋上からの雨漏りの場合は、もちろん管理側に責任がある為、築年数と共に、定期メンテナンスについても把握しておきたい。
Q.管理側が雨漏り修理をしてくれない場合どうすれば良い?
先に解説したように雨漏りによる被害の責任は、どこで、何が原因で起きたかで変わる。
雨漏りの原因箇所が共用部分の設備など明らかに管理側に責任がある場合は、
今回解説した責任の所存や、後に紹介する法律についても参考にして、修繕を再度要請していただきたい。
専有部分であれば、保険でどこまで補償となるかなど、明確になってから修理に進んでいただきたい。
Q.知っておくと良い雨漏りにおける判例や法律とは?
例えば、新築マンションの一室を購入して間もなく発生した雨漏りは、建設を請け負った施工業者へ依頼し修理してもらえる。その根拠となる法律が「品確法」である。
下記は雨漏りに関して押さえておくと良い法律や裁判についての記事である。是非参考にご覧いただきたい。
「雨漏りの原因究明を!訴訟、裁判事例から見る対策を徹底解説!」
Q.水漏れ調査費用とは?保険適用される?(管理側向け)
原因を明確にする為には専門業者による調査が必要である。調査の内容によって調査費用は、無料の目視調査から数十万円するサーモグラフィー調査まで様々だ。
この調査費用を保険でまかなう為には火災保険に「水濡れ原因調査費用保険金」を付託しておく必要がある。
調査内容や費用を詳細に解説している記事をお伝えする。
「依頼する前にチェック!雨漏り調査と修理の費用相場を徹底解説」
まとめ
マンションの雨漏り/水濡れの原因には上階の所有者という第三者や、自分では管理ができない共有部分などがあり、自分の注意だけでは防ぎきれないものがある。
逆に自身が知らぬ間に加害者になってしまうリスクもあり、事前にしっかりした知識を持っておくことが重要だ。
今回挙げた注意点を参考にマンションの規約や加入している保険を再度チェックし、いざ発生した場合に被害を最小限に抑える為に役立てて頂けたら幸いである。
建築に関わる専門知識、経験を活かし、建築や内装に関わる「ヒト」「モノ」「サービス」を効率的かつ有効に結びつけるため、建築関連のオウンドメディアを運営。その他WEBコンサルティング事業、コンテンツ販売事業を展開。ホームページはこちらより。