雨漏りが発生すると何より止めることが先決だが、防水テープは最もスピーディーに修理できる手段の一つと言えるだろう。
しかし具体的にどんな点に注意して貼れば良いのか、そして専門業者に依頼した場合といくら違うのか、そもそもDIYで十分なのか疑問は尽きない。
そこで建築のプロである一級建築士がお伝えする、防水テープでの屋根雨漏り修理方法と注意点を読んで頂ければ、長期的に安心で本当の意味で出費を抑える修理を行って貰えるだろう。
また最後には雨漏り修理費用の自己負担分を大幅に抑える方法をご紹介しているので、ぜひ最後まで読んで欲しい。
この記事読むことで理解できること
放っておくと危険!雨漏りの本当の恐ろしさとは?
雨漏りは放置しておくと大きな被害を生むことになる。
天井に染みができる程度と考え対処を後回しにする方もいるが、天井裏や壁の中に雨水が大量に溜まった上で漏れ出ていることを忘れないで欲しい。
しかも室内にある物は濡れることを想定していない場合が殆どで、水が降りかかることは例え少量でも大きな被害を生むだろう。
ここで改めて雨漏りの被害について認識して頂き、万一発生した場合は量が少ないうちに早急な対応を行って頂きたい。
内部の腐れやサビ、シロアリ被害
雨漏りの被害で最も深刻なのが建物の見えないところで起きてしまう構造材の損傷だ。
雨水に濡れることで木造であれば腐れやシロアリ、鉄骨であれば錆が発生し、侵食によって強度や耐久性を大きく損なうことになる。
しかも雨漏り発生時だけでなく、見過ごせばそれ以降も確実に被害が広がり、早いスピードで建物を蝕んでいくだろう。
例えどんな高耐震の住宅も骨組みが弱まっていれば、万一の際に住人の命を守るなど到底不可能になってしまう。
しかも表立って腐食がわかる頃には内部での損傷は相当進行しており、大規模な修繕が必要な状態となっているだろう。
くれぐれも天井に雨染みが発生した際には小さなうちに対処し、併せて内部の点検も行うようにして欲しい。
内装にシミや剥がれ、カビの発生
雨漏りで最も目立つ損傷が壁紙やその下地の石膏ボードといった内装の損傷だ。
壁紙はシミや剥がれ、ふやけによる波打ちなど非常に見苦しい状態となり、しかも濡れてから数週間後など時間が経ってから現れることも多く、なかなか被害が治らないことから精神的にも堪える被害と言えるだろう。
また下地の石膏ボードも濡れることで変形を起こし交換が必要となるが、壁紙と同様に被害を受けた場所だけ交換というわけにはいかず、区切りの良い広範囲の修理になるため費用の負担は予想以上に大きくなる。
こちらも小さなシミなどを見逃さず、即修理を行うことが最善の策となるだろう。
家具や家電の変形や故障
雨漏りによって家具や家電が濡れれば大きな被害を受けることになる。
家具はシミや変形を起こし、買い換えなければ哀れな姿のまま使い続けることになる。
家電に至っては最低でも修理が必要になり、程度によっては修理不能で買い替えとなるだろう。
最近の家電は高額なものが多い上に、パソコン周りのものであれば金額だけでなく大切なデータも失うことにもなりかねない。
また雨水が床の上を流れて行けば離れた場所の家具家電にも被害よ及ぼすため、やはり素早く漏れを止めることが重要となる。
家中の電気製品に被害が及ぶ漏電
雨漏りが電気製品にかかり漏電が発生した場合、ブレーカーにある漏電遮断器が作動し電気を遮断する。
しかし原因である水濡れは発見が難しい場合も多く、何度も遮断が発生し家中にある家電を故障させる原因となる。
また漏電している周囲の水に触れれば感電することもあり、家電だけでなく人の体にまで被害が及ぶ危険性がある。
痺れる程度なら良いが重篤な怪我をする可能性も十分にあるため、決して安心しないほうが良いだろう。
雨漏りの発生が多い!屋根の構造と耐用年数は?
屋根は雨漏りの原因として非常に多い場所だ。屋根はしっかりと防水施工がされていれば滅多な事がない限り雨漏りは起きない。しかし、いい加減な施工がされていたり、劣化が著しかったりすると雨漏りを起こしてしまう。
雨漏りが起きてしまうと家に甚大な被害を与えてしまうため、まず雨漏りを起こさない事が重要だ。当然のことだが、通常屋根は雨漏りしない構造になっている。では、屋根の構造や耐用年数はどうなっているか具体的にお伝えしていきたい。
屋根の防水構造と耐用年数
【屋根の種類】
建物の屋根はいくつか種類がある。
・切妻屋根
・寄棟屋根
・片流れ屋根
・入母屋屋根(上部は切妻造り(二方へ勾配)下方は寄棟造り(四方へ勾配))
・招き屋根(切妻屋根の一方の屋根面が長く、もう片方は短くした形状)
・陸屋根
上記が基本的な屋根の種類だ。屋根形状は設計者によって多少変わる場合もあるが、基本的に上記の形状で作られる事が多い。
屋根の種類によって構造が異なるが基本的に防水となる要の部分は同じだ。では、次に屋根の防水構造についてお伝えしていく。
【屋根の防水構造】
なぜ屋根は雨漏りしないか、それは防水シート(ルーフィング )などが敷かれている防水層があるからだ。
普段目にする屋根は瓦やスレート屋根、トタン屋根などが上面に葺かれている。これらは屋根の仕上げ材として葺かれているのであって根本的な防水にはならない。
屋根が雨漏りしない要となるのが防水シート(ルーフィング )などの防水層で、屋根の仕上げ材の下に敷かれている部分のことを指す。瓦やスレート屋根、トタン屋根などが劣化のない新品であっても下に敷かれている防水層に欠陥があれば雨漏りを起こすので、屋根の仕上げ材の葺き替えや塗装したから安心だ、とは思ってはいけない。
また、陸屋根の場合は屋根材を葺いて仕上げるよりもウレタン防水やFRP防水など防水塗装で仕上げている事が多い。この防水の場合もトップコートの下に防水層が設けられているので、この防水層に欠陥がでない限りは雨漏りを起こさない。ウレタン塗装やFRP塗装などの防水方法は、定期的にトップコートを塗装してあげれば防水層が長持ちし、大きな工事をする必要がない。
【屋根の耐用年数】
屋根の仕上げ材は性能や材料によって異なるが、およそ15〜30年ほどが耐用年数の目安だ。ただし、上記で説明した通り屋根の仕上げ材は根本的に雨漏りを防ぐ箇所ではない。
もちろん屋根の仕上げ材に劣化が生じると、その分水が防水層の表面に流れるため劣化が早くなる可能性がある。もし、屋根が割れてしまい防止層が表面に出てきてしまったら、屋根材を修理し防水層を保護する必要がある。
ただし、防水層の年数が20年以上経っている場合は、部分的に修理するよりも、新しい防水層を敷いて屋根を葺き替えた方がいい。防水層の年数が10年ほどなら、まだまだ耐用できるので屋根の仕上げ材のみの修繕で大丈夫だろう。
防水層の年数が15年経っている場合は、メンテナンスのタイミングとして微妙なところなので専門業者に劣化状態を確認してもらい、どんな修理をすれば適切か相談することをおすすめする。
防水シート(ルーフィング)の種類と選び方
【防水シート(ルーフィング )とは】
屋根の防水層となるところは防水シート(ルーフィング と呼ばれる)が敷かれている。
ルーフィング の種類は複数あり
・アスファルトルーフィング
・改質アスファルトルーフィング
の2種類が一般的なルーフィング だ。
【アスファルトルーフィング 】
フェルト状の原紙にアスファルトを染み込ませて作られたのがアスファルトルーフィング だ。ルーフィング材のグレードの位置は低めに設定されていて、最も一般的な防水材である。ただし後述でお伝えするが、改質アスファルトルーフィングに比べて接着性、耐久力に劣る素材だ。
【改質アスファルトルーフィング 】
改質アスファルトルーフィングは名前の通りアスファルトルーフィングを改良したもので、アスファルトルーフィングに合成ゴムや合成樹脂、その他に無機質混合物などを含ませて作られている。
そのためゴムアスファルトルーフィング(ゴムアス)とも呼ばれる。アスファルトルーフィングの欠点であった高温によるダレや低温に対しての脆さを改良し改善した素材になる。耐久性の向上と屋根を設置する釘との接着性が高い。
【その他のルーフィング 】
上記でお伝えしたルーフィングに透湿性や遮熱性など機能性を持たせたものもある。
・透湿ルーフィング
屋根材と防水層の間は隙間がなく風通しが決して良いとは言えない。また、屋根は直接太陽の熱を受けるので、湿気がたまりやすく結露が起きる事がある。このような状態を改善できるのが透湿ルーフィングで屋根に溜まった湿気を屋外に透過・放出する効果を持っている。
・遮熱ルーフィング
屋根は直接太陽の熱を受けるため夏のような時期の小屋裏の中はかなり暑くなる。熱は屋根から家の中に多く入ってくるため室内温度に関わってくるところだ。屋根から家の中に熱を伝えない効果として遮熱型のルーフィングがある。
ルーフィングが熱を反射するので室内環境を改善し、エアコン効率の効果が期待できる。また、遮熱ルーフィングはアスファルトルーフィングよりも透湿性能に優れ、屋根の湿気を逃がす効果もある。
【防水シート(ルーフィング )の選び方】
防水シート(ルーフィング)の種類は複数あるが、どのルーフィングを選べばいいか、と疑問に思うかもしれない。率直なところルーフィングは改質アスファルトルーフィングを選ぶことをお勧めする。
費用は高くなってしまうが耐久性・接着性を考慮すると改質アスファルトルーフィングの方が優れている。ルーフィングは屋根が葺かれた後だとやり直しがきかない。もしやり直すとなると、屋根を全て剥がし、また新しい屋根を葺かないといけないからだ。
我慢して安いルーフィングを使うよりも、少し高い改質アスファルトルーフィングを選んだ方が結果的に長く屋根を持たせる事ができるので、ルーフィングの性能は妥協せずに選んでいただきたい。
屋根の雨漏り原因と発生する場所を探る!
様々な被害を引き起こす雨漏りだが、その原因場所で最も発生率が高いのが屋根である。
複数の材料が入り組んでいるためジョイントが数多く、雨の入り口となる部分が非常に多いことが主な要因だ。
しかも日々風雨に晒され紫外線の影響も受けるため材料の劣化が非常に早い。
さらに雨が直接降りかかり浸入する水量が非常に多いため早急に食い止めたいところだが、材料が何層にも重なり内部を確認しにくいため原因究明に時間がかかりやすい。
このため、原因発見に時間のかかる非常に厄介な相手とも言える。
ここでは主な原因場所を挙げておくので早期発見に役立てて頂きたい。
瓦の割れ
瓦は粘土を使った本瓦やスレートの瓦が一般的だが、いずれも経年劣化や地震などで割れることがある。
このため瓦下に雨水が入るようになり、その下にあるルーフィングなどの防水シートにも損傷があると雨が内部に浸入する。
一見瓦が割れても下の防水シートが傷まなければ即雨漏りには繋がらないように思いがちだが、瓦割れの際に力が加わったり雨水が入り込むことで劣化を早めたりと、危険性は十分に高まっていく。
防水シートなどの施工不良も意外と多いため、瓦割れを修理する際はぜひ周辺の瓦までどけて点検をすると良いだろう。
また瓦の細い割れは地上から見上げただけでは見つけにくいため、屋根に上がる際は全面的な瓦の状態の確認も行うことをお勧めする。
棟瓦や棟板金の損傷
屋根の三角の頂上に当たる場所が棟と呼ばれ本瓦や板金で作られている。
これが割れや錆びによる穴が発生したり、ジョイントのコーキングが切れたりしてしまうと内部に雨が侵入してしまう。
こちらも内部に防水シートがあるのだが、軒瓦と同じ要因や経年劣化による断裂、地震による留め釘穴の広がりなど、建物内部への雨漏りへと繋がることは大変多い。
また軒瓦以上に下から見ているだけだと割れに気づきにくい場所なので、定期的に専門業者による点検をお勧めしたい場所だ。
トタン屋根の腐食
トタンは鋼板に亜鉛メッキを施した材料で、安価なことに加え加工がしやすいため過去に多くの住宅で取り入れられてきた。
しかし耐用年数が約15年前後と短く、早ければ10年未満でも腐食が始まり雨漏りを発生させてしまう。
しかもトタン屋根の古い住宅はその下の防水も十分なものとは考えにくく、雨漏りがいつ発生してもおかしくない状況だ。
差し当たっての雨漏り修理は可能だが、全体的な劣化も考えれば一時しのぎに過ぎないと言え、今後のことを考えれば葺き替えを検討した方が良いだろう。
陸屋根や屋上の防水層損傷
建物の最上部が陸屋根や屋上の場合はその床面がFRPや防水シート、あるいはウレタン塗装などの防水層が作られているが、これが経年劣化などで損傷することで雨漏りが発生する。
紫外線や風雨に晒されているため劣化はやはり早いと言え、概ね15年前後でひび割れが発生してくるので悪化する前にメンテナンスを行いたい場所だ。
また屋根と大きく違うのは周りがパラペット(立ち上がりの壁)で囲まれている形状のため、万一排水口の詰まりなどがあれば洗面器のように雨が溜まってしまう可能性があることだ。
こうなると浸入する雨量は他の原因箇所とは桁違いに多く、被害が最も大きくなる原因場所でもあるため最大限の注意が必要だろう。
谷樋の腐食
屋根の傾斜が合流する折り目の溝で雨を受けている板金が谷樋だ。
以前は素材に銅が頻繁に使われていたが、近年の酸性雨のおかげで腐食が発生しやすく雨漏りの原因となっている。
現在は酸性雨に強いガルバリウム鋼板が主流となってきているが、屋根の雨水が合流して流れることを考えるとやはり劣化は早いと言える。
また周りの環境によってはゴミが詰まりやすく、雨水が堰き止められ腐食などの穴から浸入し、谷樋自体からオーバーフローをして屋根の下に入り込んで雨漏りとなることもある。
一般の方には馴染みの薄い場所かもしれないが、専門業者の間では良く知られた雨漏り原因のため、修理はしっかりと行うことをお勧めする。
天窓のパッキンや板金の劣化
屋根の上に明かり取りや換気の目的で設置されているのが天窓だ。
風雨や紫外線によりガラスと枠のジョイントにあるパッキンが劣化したり、外枠全体を囲っている板金が腐食したりすることで雨漏りに繋がる。
屋根に開口を設けているため当然リスクは高く、近年では徐々に製造メーカーも減少しているほど雨漏りに対しては弱さを持っている。
一方で窓の室内側は空洞になっているため雨漏りに気づきやすく、また天窓周りの雨水の浸入場所は定番化しているため原因の特定も比較的早いというメリットはある。
ただ雨水が天井裏に入り込んでしまえば他の原因と同様に内部構造を腐食させる原因になるため、早めの対応が被害を抑えるポイントとなるだろう。
DIYでの雨漏り修理方法を解説
それでは防水テープやシートを利用してのDIYによる雨漏り修理の方法をご紹介したい。
雨漏り修理の方法の中では材料も手に入れやすく、ホームセンターなどで購入すれば最も早くできる修理となるだろう。
しかしその耐久性は専門業者の行う修理に比べかなり短いものになるので気をつけて欲しい。
修理の費用を最も抑える上では有効なDIYではあるが、再発をしてしまい気づかぬ内に内部被害が広がれば、むしろより高い修理費を支払うことになる。
ぜひ防水テープやシートを使っての修理は応急処置と捉えて頂き、早めに専門業者の修理を依頼するようにしよう。
小さな損傷に適した防水アルミテープ
防水テープはホームセンターやネットで簡単に手に入り、施工も容易で慣れればスピーディーに貼ることができる。
小さな穴から様々なジョイントまで施工可能な範囲は多く、即効性と併せて非常に雨漏りのDIY向き商品と言えるだろう。
屋外に使う場合は必ずアルミが表面に貼られており、しっかりと防水と謳われている商品を選ぶようにしよう。
一方欠点は貼ったところが目立つことで、屋根の見えやすい場所だと光の反射もあり確実に貼ったことがわかるようになる。
機能には影響の無いことだがどうしても気になる方は次の防水シートの方がお勧めである。
応用範囲の広い防水シート
サイズが大きく、小さな場所を貼る場合はコストも含めテープの方が有利だが、こちらの防水シートは大判サイズからの商品が殆どのため広い面に貼る場合に適しており、また様々な形にカットできたり余裕を見て大きめに貼れたりと利便性も高い。
価格がテープよりも高めだが広い範囲の貼りやすさは非常に優れており、色もアルミテープほど目立たずDIY向きのメリットが多い商品だ。
また伸縮性もあるため下の材料の動きにも追従し、変形や地震などの揺れで裂けたり剥がれたりする心配も少ない。
ただしこれも紫外線や風雨の影響は避けられないため、あくまで応急処置と考えておいた方が良いだろう。
貼る前に汚れや突起を除去しよう
実際にテープやシートで修理を行う前の注意点だが、貼る場所の汚れや油分を事前に拭き取っておくと接着の良さが全く違う。
薄めた中性洗剤を含んだ雑巾で拭き、その後さらに水拭きして十分に乾燥させた上で貼るようにしよう。
また貼る場所にささくれなど尖った部分があると防水テープやシートに穴を開けてしまう可能性があるため、紙やすりで軽く尖りなどを削ってあげると良いだろう。
ただし削るのはあくまで尖っている先端部分に限り、他の面を極力傷つけないように十分に注意して頂きたい。
瓦や板金は表面に劣化を防ぐ塗装などの加工がしてあり、これを剥がしてしまうとその部分から錆や劣化が発生してしまうため注意が必要だ。
ささくれの尖りがシートなどを破らない程度に削るだけにして欲しい。
ブルーシートによる応急処置
もし屋根の損傷範囲が広かったり原因箇所がわからなかったりした場合は、ビニールシートで覆い応急処置をすることも可能だ。
あくまで一時的なので早急に専門業者へ連絡し修理を依頼する必要があるが、差し当たっての雨の浸入量は減らすことができる。
設置方法は可能な限り屋根の頂上の棟をまたいで掛けるようにし、土のう袋に土や砂利を入れて重りにする。
風に舞いやすくサイズも大きいため必ず2人以上で作業を行い、屋根が十分に乾いた状態で安全に注意して行って欲しい。
屋根に敷いたブルーシートの上は大変滑りやすいため上に乗らないように作業する点もポイントだ。
もちろん根本的な修理にはならない上に強風にも弱いため、くれぐれも専門業者に修理をしてもらうまでの緊急の処置と考えて欲しい。
コーキングを使って防水する
DIYで手軽に扱えるのがコーキングだ。屋根のひび割れや外壁のひび割れなどを埋める時にコーキングで防水処理する事ができる。屋根のひび割れがあると下にあるルーフィングの劣化が早まるのでコーキングで埋めておくといいだろう。
ただし、屋根は高所作業にあたるため十分な安全対策を行って作業にかかる必要がある。屋根の勾配がきつい場合や苔が生えていて滑りやすい場合は、当サイトでは専門業者に依頼する事をお勧めする。
また、外壁のひび割れも放置しておくと壁の中にある構造材の腐食が起こしてしまうので、コーキングで防水しておくといいだろう。もし、外壁の塗装が劣化している場合は、コーキング処理だけでは不十分で外壁塗装も一緒に行う必要があるので注意していただきたい。
雨漏りが室内まできてしまった時の応急処置
おそらく雨漏りが発生していると気がつく時は、すでに水が室内まできている時だろう。早急に雨漏りの箇所を修理して直さなければいけないが、その頃はまだ雨が降っていて屋根に登って応急処置するというのはとても危険だ。
まず雨漏りが発生した時にしなければいけない事が室内に流れてくる水の対策だ。天井から水が落ちてくると床が濡れてしまうのでバケツなどで垂れてくる水を受け、バケツの周りには水しぶきで床が濡れないように新聞紙やタオルを敷いておくこと。
他にも天井から雨漏りしている箇所に糸を垂らした釘を刺して、垂らした糸の端をバケツに入れておくと水しぶきを抑える事ができる。
また、マスカーを使った対策もある。マスカーはテープとビニールが合わさった養生材で、よく塗装工事で使用される。雨漏りしている箇所を囲うようにマスカーを貼り、ビニールの部分を伸ばしてサッシの端のレール部分に水を流すようにする。サッシのレールの所には水が溜まりにくいようにタオルを置くといいだろう。
もし可能なら雨漏りが発生した時は屋根裏や1階の天井裏を覗いて、どこから雨漏りが発生しているかチェックしておく事をお勧めする。ここで雨漏りの発生箇所が判明できていると、雨漏り修理の作業がスムーズにすすみやすくなる。
サッシや窓枠からの雨漏り応急処置
サッシや窓枠から雨漏りが発生している場合は、タオルやビニールシートを敷いて濡れが広がらないようにしておく事が大切だ。また、カーテンもつけたままでは濡れてしまうので外しておくか濡れないように短く結いてまとめておくといいだろう。
サッシや窓枠からの雨漏りはどこから水が入っているか分かりにくく特定するのが難しい場所だ。もし、サッシや窓枠から雨漏りが発生している場合は、自分で雨漏り箇所を探そうとはせずに専門業者に依頼して雨漏り箇所の特定をしてもらう事をお勧めする。
屋根の雨漏り修理費相場を公開!
屋根の修理費はDIYと専門業者へ依頼するのでは大きく違う。
コストを優先するならDIYだが、専門業者の修理には経験と知識、高い技術裏打ちされた確かな完成度がある。
ここでは雨漏り修理の的確な判断のために、それぞれの費用相場とメリット・デメリットをまとめてみたいと思う。
出費が抑えられるDIYは1万円以内
DIYの費用
材料 | 金額 |
防水テープ(50mm✕5m=0.25㎡) | 734円 |
防水シート(28cm✕1m=0.28㎡) | 5,940円 |
※金額は記事作成時のもの
上記以外に必要な施工面の汚れを取る雑巾や中性洗剤は家庭にあるもので十分で、紙やすりが必要になったとしても数百円の追加で済むため、圧倒的にコストパフォーマンスが高い。
一方デメリットとしては主に以下の点が挙げられる。
・修理が長持ちするかはプロの修理の方が有利
・表面的な修理になり内部損傷などを見落としがち
・安全面に大きな不安がある
いずれの点でも後々費用が高くつく可能性があり、家のメンテナンスの中でも難易度の高い雨漏り修理をDIYで行うこと自体にリスクがあると理解して頂きたい。
安心で長持ちの専門業者修理は2〜3万円
専門業者による雨漏りの防水テープやシートによる修理費用は概ね2〜3万円程度が相場だろう。
損傷の程度にもよるが見た目の範囲が小さくともこの程度はかかるため、一般の方にとって割高感は否めないだろう。
しかしメリットとしては
・適切な下処理と丁寧な作業で行われ修理が長持ちする
・安全に十分配慮して作業が行われる
・内部やその周辺の損傷など広く確認してもらえる
と言ったことが挙げられ、再発防止はもちろん将来的な雨漏りの予防も行える点は大きい。
雨漏りが発生するということは屋根全体に劣化が始まっており、今後も雨漏りが発生する度にDIYを行うことを考えれば決して高額とは言えないだろう。
雨漏りを直すなら屋根全面修理するのが確実!業者と費用相場は?
屋根から雨漏りしている場合は、実際のところ部分修理で直せない可能性が高い。応急処置で一時的に雨漏りが止まる事もあるが、後々の事を考慮すると根本的に屋根をやり直した方が安心だ。
というのも応急処置で問題とするところは、目に見えて雨漏りが発生しているところが止まっただけで、実際は少量でも雨が侵入している可能性があるからだ。また、雨漏りの怖いところが侵入した水の流れが変わると別の場所で雨漏りが発生する可能性があるという事だ。
長い間水が侵入していると柱など木の構造体が腐食してしまうので、気が付いた時には大規模の修繕が必要になり高い費用がかかる事もある。このような事がないように雨漏りは一時的に止まるような応急処置ではなく、根本的に雨漏りを直す事ができる処置が大切だ。
屋根からの雨漏りは、屋根の全面葺き替えをすれば高確率で直す事ができる。屋根の葺き替えは足場の設置が必要になるので、このタイミングで新しい雨樋の設置や外壁塗装を行うのもお勧めだ。屋根の全面葺き替えの相場は、屋根の㎡数や仕上げ材によって異なるが、およそ足場込みで80万円〜が費用相場だ。
屋根の業者によっては既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせるカバー工法を勧めてくる場合もある。カバー工法は解体の必要がなく工期の短縮や費用を抑えられるメリットはあるが、雨漏りしている屋根にカバー工法はお勧めしない。
なぜなら雨漏りしている屋根をそのまま残す形になるからだ。カバー工法で雨漏りは止まるかもしれないが、雨漏りが起きている箇所は残ったままでは根本的な解決には至らないだろう。
悪徳業者に騙されない!雨漏りの屋根修理業者の選び方
屋根の業者の中には悪徳業者もいるので注意していただきたい。よくニュースで報じられているように、大した工事もしていないのに多額な工事費用を請求される被害が多くなっている。
通常一般の方は屋根を登らないため、屋根が現状どうなっているか確認する事ができない。それをいい事にいい加減な事を言って必要のない工事を行う事や被害がないのに嘘を言って工事をしようとする業者がいる。酷いケースでは意味のない工事をしていく業者もいる。
屋根の悪徳業者の常套句は「屋根が剥がれていますよ」や「無料で点検します」などだ。無料で点検するというのは悪徳業者の手口なので十分に気をつける必要がある。
もちろんその中には優良な業者もいる。では、どうすれば見分けられるのかというと、下記のポイントをチェックしていただきたい。
・屋根の現状写真を見せてくれる
・どうなっているか詳しく説明し、どのような対処が必要か具体的に話してくれる
・こちら側の質問を丁寧に答えてくれる
・正式な見積書を渡してくれる
・工事請負契約書を交わす
・工事料金の支払い後、領収書を発行してくれる
上記のポイントを押さえている業者は優良業者の可能性が高いので、業者選びの時は必ずこのポイントを確認しておく事が大切だ。
特に気を付けていただきたいのが、現状がどうなっているか口頭で説明をもらうのではなく、ちゃんと写真を撮ってもらいどんな状態か目で確認する事が大切だ。
また、業者を選ぶ時は複数の業者に依頼して相見積もりをする事をお勧めする。相見積もりは「適正な金額で適切な工事がされるか」を判断できるものだ。見積もりの中で不明点があったら業者ごとに説明をもらうのもお勧めだ。知識があり実績がある業者は具体的で分かりやすく説明をしてくれるものだ。
ヘルメットや屋根用靴で安全対策
DIYを行う上で最も注意して頂きたいのが安全面だ。
特に屋根は足元が傾斜している上に滑りやすく、例え1階の屋根だとしても落ちれば大怪我や最悪命に関わる可能性も十分にある。
もしDIYを行う場合は1階の屋根までにし、ヘルメットを着用の上で足元が十分に乾燥していることを確認して行って欲しい。
また普通のスニーカーは底面が硬く屋根上では滑りやすいので、今後も上がるようなら専用のものを購入するのも良いだろう。
いずれにせよ安全の配慮にやり過ぎは無いので十二分に対策を取って欲しい。
火災保険を利用して出費を抑える!
雨漏りの修理は突然の出費となることが多く、家計の負担が大きいことも有り得るだろう。
そこで検討して頂きたいのが火災保険の利用だ。
火災保険と言うと火事のときにだけ利用するものと思いがちだが、実は台風や竜巻、大雪や大雨などの自然災害で建物が損傷した際の修理費を補償してもらえる場合がある。
適正に補償されるならせっかく保険料を支払っている火災保険を積極的に利用すべきであろう。
火災保険が適用できるケース
火災保険の補償が雨漏りの修理に適用されるのは、前述の通り自然災害による損傷が原因で雨漏りが発生した場合だ。
経年劣化や人が壊してしまった場合などは対象外になるので注意してほしい。
また修理の金額が◯◯万円以上など条件がある場合も多く、特に今回ご紹介している防水テープの修理では金額の下限を満たさないことも考えられる。
もし保険が適用されるケースであれば、一緒に他の損傷も修理するのも賢い保険の利用方法だろう。
さらに母屋だけでなく敷地内にある物置やカーポートなどの損傷も対象になることもあるので、もし心当たりのある方は保険申請に詳しい専門業者に相談してみると良いだろう。
実際の申請の手順
1.保険会社に連絡をし、雨漏り修理の保険利用を予定している旨を伝え申請書類を送ってもらう。
2.申請書と状況報告書を作成し修理の見積もりを添えて保険会社に送る。
3.保険会社から派遣される損害保険鑑定人の立会いで雨漏りの原因や被害の状況などを説明する。
4.保険会社が申請書類や鑑定人の報告をもとに審査を行い、承認されれば保険の適用となる。
申請する上での注意点とは
申請する上で最も注意しなければいけないのが、詳細で的確な被害状況報告書を作成することであり、ここでしっかりと原因が自然災害にあることを伝えなければ保険を適用されない結果となるだろう。
ただ残念ながら正確で十分な報告書を作るのは一般の方には非常に難しい作業となる。
せっかく利用できるはずの保険を無駄にしないよう、申請経験の豊富な専門業者に相談することをお勧めする。住宅損傷の火災保険活用 ー 無料調査はこちら」
雨漏り原因の調査から修理の見積もり作成、報告書の作成まで一貫して任せられた方が安心であろう。
まとめ
屋根からの雨漏りは早急に直したい損傷であり、そのため専門業者をあれこれ検討するより自分で直した方が早いと考える方もいるだろう。
その点で防水テープやシートは素早く手軽に修理が可能な上に費用が抑えられ、非常にDIY向きのツールと言える。
しかしDIYの多くが短時間で劣化し剥がれてしまい雨漏りが再発することも多く、これでは果たして本当に安く済んだのかわからない。
まして作業中に怪我でもしてしまえば損失は大きいものとなるだろう。
ぜひDIYは応急処置であり仮に行うなら十分に安全に配慮し、後日必ず専門業者に点検を依頼するよう心得て欲しい。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。