今やペットは家族の一員。かわいい愛犬が暮らしやすいお部屋にしたいと思うのは当然のことである。
しかしながら、ペットを飼うと床のフローリングが傷つくのも事実。そろそろリペアかリフォームか…とお考えの方に向けて、自分での補修方法や、専門業者に依頼するポイントをお伝えする。
また、火災保険の活用についてや、愛犬と人間がともに暮らしやすく、傷つきにくい、傷ついても補修・交換しやすい床材とはどんな商品があるのかをお知らせしたい。
この記事読むことで理解できること
ペットによるフローリングの傷の修復方法は2つ
自分で補修する(メリット・デメリット)
フローリングの傷を自分で補修することを考えてみよう。インターネットショップで検索したり、ホームセンターで探したりすると、クレヨンの様なフローリング補修材がある。
これは、フローリングの色に最も合った色で傷を埋めて、はみだした材料は削るといった簡単なものだ。また、固形の塗料を熱で溶かして埋めるタイプのものもある。傷が深い時におすすめだ。
自分で補修するメリットはなんといっても補修費用価格が安く済む事と、商品さえ購入できればいつでも補修ができる手軽さである。
デメリットは補修の精度だ。補修の難しい点は、補修箇所と既存箇所とのギャップ埋めである。補修の経験が少なければ、見れば補修した個所はすぐ分かるので、美しく仕上げるには不向きだと言える。
専門業者に依頼する(メリット・デメリット)
世間一般には馴染みがないが、「補修屋」という職業がある。文字通り、補修をする専門職だ。
「仕事での補修のニーズってそんなにあるの?」と思うかもしれないが、正直非常に多くある。補修屋さんで補修可能なものは、フローリングや家具の様な木製商品、陶器、鋼製建具等多岐に渡る。
傷はもちろん穴や凹みもパテ埋めしてきれいに直してしまう。特に建築業界ではひっぱりだこで、腕のいい職人さんはずっと仕事が入っている状況である。
メリットはなんといっても補修後の美しさ。近づいて見ても、補修したかどうか全く分からない場合がある。補修屋さんの工程は、パテ埋め、削り、色の調合、スプレーガンにて吹き付け、筆で木目の書き込み等巧緻である。
一方デメリットは業者探し・工賃・日程抑え・作業時の臭い(気になる人は)。知り合いの紹介やネットの評判で信頼できる補修屋さんを探してみよう。
賃貸の場合は自分で補修しない方が良い
賃貸の場合は、お部屋自体が商品なので、仕上がりを考えると自分で補修しない方がよい。素人補修だと見た目ですぐに分かってしまう。
結局、専門業者に依頼することになるのだが、その場合自分で補修した個所の撤去も費用に上乗せされて高額な請求になる場合がある。したがって、自分で補修しない方が無難である。必要経費と考え専門業者に依頼しよう。
自分で部分補修する方法を解説
引っ掻き傷や凹みの補修手順
フローリングの引っ掻き傷程度であれば、クレヨンタイプの補修材で大丈夫だろう。
数種類の色のクレヨン形状の補修材の内、最もフローリングにあった色で塗るだけ。はみ出した材料は付属のスクレーパーで削って平らにする。
凹みがあるときはやっかいである。電気のコテ(ホットナイフ)と固形塗料がセットになった補修キットを使うのがよいだろう。この補修キットを使用した際の補修手順を見てみよう。
①補修箇所の汚れやホコリを取り除く
②フローリングに合った固形塗料の色を選ぶ
③コテを温める
④温めたコテを固形塗料にあて、熱で固形塗料を溶かして傷(凹み)に流し込む
⑤塗料が固まったところで付属のスクレーパーで削って平らにする
⑤木目を書き込むペンが付属されていれば木目を書き込む
慣れてくれば2種類の固形塗料の色をコテで溶かして、混ぜて極力フローリングの近い色をオリジナルで調合することもできる。
尿シミの落し方手順
フローリングの尿シミを補修するのは高度な技術が必要であり、素人ではなかなか難しい。無垢フローリングなら表面を丹念にサンドペーパーで削ればきれいになる可能性もある。
複合フローリングの場合は表面塗膜を剥がしてからシミ汚れを漂白剤で洗って、近似色にて塗装する方法がある。
いずれにしても、よほどうまくやらないと仕上がりは決して満足のいくものにならない。特に漂白剤を使用すると材料が傷んでしまい、結局フローリングの張替えになる可能性もある。専門業者に任せることを強くお勧めする。
専門業者であれば、下記の様にきれいに補修してくれる。
優良な業者に依頼するポイント
実績が確認できる
業者探しはやはりネット検索になるだろう。業者のホームページで必ず確認したいのはその実績だ。その実績が写真で確認できる業者、それもできるだけ多くの実績がある業者に依頼したい。
見積もりや補修内容を丁寧に説明してくれる
電話やメールで問い合わせをしてみよう。補修作業の内容をきちんと説明してくれたら安心だ。また、作業費用の見積内容も説明してくれるところがやはり安心である。
費用・工期はどのくらいかかるのか
補修工事がどのくらいかかるのかは、補修する傷などの具合や補修するものの材質、そして個所数による。
もちろん傷の具合がひどい、特殊な材質、個所数が多いと時間がかかってしまう。そして、補修費用は多くの場合。「どのくらい時間がかかったか」または「補修範囲での単価」などで設定されている。目安としては1箇所15000円~が相場である。
よって、事前に補修費用を把握するためには、できるだけ正確に補修する傷や個所数を業者に伝える必要がある。メールでのやりとりで、自分で撮った写真(損傷のサイズがわかるように)を添付して相談してみよう。
写真送付にて見積もりが可能である。このように内装材のリペアは現場調査なしで、見積もりを無料で行ってくれる。
ペットがつけた傷の補修も火災保険の適用となるのか?
火災保険は一般的に火災が発生した場合に補償される保険と思われているが、実際には様々なケースにおける建物の損傷に適用される。
火災以外にも保険が適用される「不測かつ突発的な事故」だ。「手が滑り花瓶を落として床に穴が空いた」「引越し準備のため、テレビ台を動かした際、テレビが倒れて破損してしまった」など故意でない住宅の破損は火災保険の補償の範囲となる。
一方、ペットがつけた傷は「不足かつ突発的な事故」といえるかどうかがポイント。日常的な爪とぎでは対象にならず、雷で突然怖がって暴れまわったあげく壁にぶつかって穴をあけた、という破損は保険会社によっては偶発的な事故とみなされ、保険対象になる可能性もある。
ここで注意しなければならないのは、どの業者に依頼しても同じように火災保険を適用されるとは限らない、という事だ。
住宅の損傷が不測且つ突発的な事故によるものであると保険会社へ認めてもらうためには、申請が必要となる。申請に必要なものは「調査報告書」と「工事見積書」であり、この2つが、保険会社が納得できる内容であれば認定してもらうことは難しくない。
しかし、この2つの書類は一般の工事会社では作成することができない。保険会社に認めてもらえる書類を作成するには、「補償の対象となる理由」「適切な工事価格」など長年の経験と知識が必要となる。つまり、火災保険申請の多くの実績がある工事会社でなければ申請したとしても認定されないのが現実である。
したがって、火災保険の適用を考えている場合は、火災保険の申請実績が豊富にある業者に依頼する事をお勧めする。
傷防止アイテムや愛犬・愛猫も喜ぶ商品紹介
ペット専用床材
犬がフローリングの上では滑ってしまい、脱臼や骨折などのけがをすることがあり心配である。フローリングの傷や汚れが気になり、リフォームをしようとお考えの際は、ペット用のフローリングを選択するとよい。有名な商品としては大建工業株式会社のワンラブフロアがある。
ペット用フローリングは室内小型犬の歩きやすさに配慮し足腰のことを考えた床材であり、小型犬の肉球の滑り抵抗を考慮した製品となっている。また、汚れや傷がつくにくい表面加工を施している。
タイルカーペット
タイルカーペットをフローリングの上に敷くと犬は滑りにくくなることはもちろん、おしっこ等で汚れた時はその1枚を外して洗うことができるのでとても便利だ。
ズレ防止のために、おくだけで吸着するタイプを選ぶとよい。また、マンションにお住まいなら、下階に伝わる音も軽減する効果もあるのでなお安心である。
フロアコーティング
犬が滑りやすいフローリングにコーティングをするという方法がある。コーティングをすると滑りやすくなるのでは?と思われるかもしれないが、ペット用のフロアコーティングは室内犬の歩行に最適になるように開発されたコーティングであり、健康に対する安全性も兼ね備えた優れものである。
もちろん、コーティングなので、おしっこやひっかき傷からフローリングを守る効果もある。
まとめ
今やペットは家族の一員であり、ペットにも住みやすい家にしたいと思うのは当然である。一方ペットがいるが故の傷や汚れなどの家の悩みも当然の様に発生する。
傷や汚れをうまく処理して、ペットとの暮らしをストレスの無いようにするため、補修や予防の知識を是非もっておきたいものである。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。