フローリングの焦げは放置すると日にごとに症状は悪化するため、補修費用が上がってしまうだけでなく小さなお子さんに怪我をさせる危険性すらあり、決して後回しにせず早急に対処すべき損傷だ。
そこで今回はタバコなどで作ってしまったフローリングの焦げを、専門業者へ補修依頼した際の費用相場や、自分で安くかんたんに直す方法などを建築のプロである一級建築士が詳しくお伝えする。
さらにアパートやマンション特有の高額修理費のリスクや、火災保険を利用して自己負担を極力抑える方法なども併せて解説をしているので、ぜひ最後まで目を通して頂きたい。
この記事読むことで理解できること
焦げを放置すると危険な理由

フローリングの焦げを放置しておくとその損傷は見た目だけの問題ではなくなっていく。
焦げた箇所は既に強度を失っていて少し力が加われば削れやすい状態になっており、例えば掃除機をかけたり子供がおもちゃを走らせたりと、硬いものが当たれば焦げ部分が崩れていくのだ。
一方で人がその上を歩くことで表面が磨かれて硬化してしまい、補修の際に表面を削る作業がしにくくなることも考えられるため、直す費用の面でもデメリットがあると言えるだろう。
そしてもし焦げが崩れてささくれなど鋭利な状態になれば、足の裏や小さなお子さんの怪我にも繋がりかねない。
焦げを放置することは様々なリスクを持っていることを承知しておいて欲しい。
フローリング焦げの補修費用は?

フローリングの焦げの修理を専門業者へ依頼した際の費用は、損傷部分のみの補修かフローリングの張替えになるかで大きく変わるが、部分補修なら15,000円〜50,000円、フローリングの張替えとなれば200,000円〜が費用の相場となるだろう。
ただし注意して欲しいのが賃貸のアパートやマンションでは、そこからさらに高額になることがある点だ。
賃貸では退出時に契約で定めた原状回復の補修が行われるが、これを貸す側である大家や管理会社が手配すると、どうせ借り主が払うのだからと補修業者から届いた見積もり金額そのままで進めることが多く、かなり割高なケースが見受けられる。
さらに補修業者が値切られないことを良いことに高めな金額にしたり、間に入る管理会社が人件費を上乗せしたりと、直接補修業者に依頼するよりも高額になる構造が出来上がっている。
賃貸の場合は相場以上に費用がかかる可能性が高いことを承知しておこう。
DIYで手軽に直す方法

フローリングの焦げを最も素早くしかも安価に直す方法がDIYによる補修だ
現在は多くの補修キットがホームセンターやネットで手に入り、目立たなくする程度なら作業自体もそれほど難しくはない。
ここでは焦げの程度に分けての補修方法を解説したい。
浅く薄い焦げの場合
表面を薄く焦がしただけで色も黒くはなっておらず、茶色い程度なら簡単に補修することができる。
しかし着色をいかに丁寧にやるかで仕上がりが大きく変わるので、焦らずじっくり行うようにしよう。
手順
①焦げの周りにマスキングテープで養生をする。

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②サンドペーパー(240番前後)で焦げを削り取る。

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③焦げが落ちたら補修ペンで色付けをする。
乾燥すると色が変化する上に補修用のペンは色が薄いものも多いので、何度か重ね塗るつもりで行う。

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④仕上げに全体にワックス掛けをすると補修跡が目立ちにくくなる。
サンディングをした際に予想以上に凹んでしまった場合は次項の方法で補修する。

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広めや焦げが濃い場合
焦げが深くまで達している場合は多めに削ることになりフローリングが凹んでしまうため、表面を平らに戻すひと手間が加わる。
仕上がりとなるべく元の床に近いようにするには、いかに平らで段差がないようにするかと最後の色付けにかかっているため、たっぷりと作業時間を確保して行うようにしたい。
手順
①焦げの周りにマスキングテープで養生をする。
②サンドペーパー(80番前後)で焦げを削り取る。
深さがあったりささくれが出来ていたりして、サンドペーパーだけでは削れない時は彫刻刀で少ずつ彫り、最後にサンドペーパーをかける。

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③凹み部分にパテを盛り、乾いたらサンドペーパー(240番前後)をかけて平坦にする。

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④補修ペンで着色する。
⑤仕上げに広くワックスを塗る。
賃貸でのトラブルを防ぐには

手軽にしかも低コストでできるDIYは非常に魅力的だが、残念ながら完全に色柄を既存のフローリングと合わせることは困難で、実際には補修跡がはっきりとわかる仕上がりとなる。
これが持ち家で目立たなくなれば十分と考えているなら良いが、賃貸の場合は事情が変わってくる。
貸す側である大家や管理会社は次に借りる人の印象を第一に考えるため、完全に焦げたことがわからないように補修しようとする。
つまり補修跡がわかるようなDIYでは無意味であり、結局は管理会社や大家手配の補修が行われ、高額な費請求を避けることはできないのだ。
それどころかDIYで補修したパテや塗料を剥がすための、余計な費用が上乗せされる可能性さえある。
賃貸では安易にDIYには手を出さず、借り主側でも補修を手配できないかを入居時の契約約款などで確認した上で、一度補修屋のような専門業者に相談してみることをお勧めする。
補修のプロフェッショナル補修屋とは

フローリングの焦げ補修を専門業者に依頼するなら、リペアのプロである補修屋がお勧めだ。
まずはその高い補修技術の一例を動画でご紹介する。
行っているのはフローリングのへこみ補修だが、焦げを削った後の作業と同様なので参考になるだろう。
特に最後の色柄描きと艶を合わせる技術の高さにご注目頂きたい。
補修屋とはあらゆる素材の表面にできた傷や凹み、汚れなどを完璧に消し去る技を持ったプロフェッショナルだ。
よく聞くリフォームの場合は、程度によるがフローリングに損傷があれば張替えを行うことも多く、完全に直すという点で効果は高いがその分費用は高額で工事の日数もかかることになる。
一方補修屋の場合は焦げなど損傷部分に絞りピンポイントで直すため、非常に安価で済み日数もほとんどが1日以内で終わる。
日頃気になっている傷などを気軽に修復し元通りにしてくれる補修屋は大変お勧めである。
費用相場
既にお伝えしたが専門業者へ依頼した際の技術費用相場は、焦げの範囲や深さにもよるが15,000円から50,000円ほどになる。
焦げやその周りを含めての補修の難易度、作業時間などによって費用は大きく変わるため幅があるが、目安としては2時間程度の作業なら20,000円、3時間の補修なら30,000円前後といったところだ。
数センチのタバコの焦げ程度なら2時間以内で大抵は終了するが、例えば焦げは浅くてもフローリングの色柄が複雑で再現に時間がかかるなどすれば費用もアップする。
また新たに材料を取り寄せる費用や遠方で出張費が必要になる場合もあるので、正確な金額を知るには一度見積もりをしてもらった方が間違いないだろう。
補修屋に依頼するメリット
補修屋に依頼する最大のメリットは仕上がりがDIYとは全く違うということだ。
床補修の仕上げで行う色付や柄を描く作業で、既存の床と変わらず補修した跡が全くわからないようにするには、かなりの技術と経験が必要になる。
残念ながらDIYで同様のレベルで作業を行うことは不可能であり、賃貸はもちろん持ち家であっても満足できる仕上がりにするには、腕の立つ補修屋に依頼する以外に方法は無いだろう。
そしてもう一つのメリットは補修範囲の広さにある。
補修屋はあらゆる素材と損傷、そして補修材と方法において幅広い知識と経験を持ち合わせている。
このため一度に一点を直すのが精一杯のDIYと違い、補修屋なら一度来てもらえれば焦げ以外にも床や壁、ドアにある損傷も一緒に直してもらう事ができる。
これは時間や手間を大いに削減できることになり、依頼する方によっては非常にありがたいことではないだろうか。
金額だけでなく補修屋とDIYの違いを冷静に判断し、総合的にメリットのある方法を選ぶことをお勧めする。
安心できる業者の見分け方

補修屋に普段頼み慣れない方にとっては、例え安価で済むと言われても依頼に不安を感じるかもしれない。
そこでここでは安心して補修を依頼できる業者の見分け方をご紹介したい。
どうせ頼むならしっかりした仕事をしてもらい、今回の補修以降も末永く付き合える補修屋を選んで頂きたい。
見積もりや工事内容を説明するか
意外に思われるかもしれないが、補修屋の中には見積もりや工事の内容をきちんと説明しない者がいる。
普通の真面目な業者は当然説明をするのだが「様子を見ながら行うので」などともっともらしい言葉でごまかし、どんな内容の金額になっているかを教えないのだ。
これでは依頼すべきか検討することができないばかりか、工事にも大きな不安が残ることになる。
見積もりをきちんと説明しないのは経験不足で作業の見通しが立たないか、手抜きをしてもバレないよう教えたがらないかどちらかの疑いがある。
見積もりを受け取る時は金額だけでなく、見積もり内容やどういった作業を行うかをきちんと説明するかを確認するようにしよう。
アフターサービスがしっかりしているか
補修では時間が経って乾燥するとパテが凹んだり、日の当たり具合によって色の違いや傷が見えてきたりすることがある。
これらは補修ではしばしば起こることなのだが、重要なのは気になることがあったらしっかりとアフターケアをしてくれるかどうかだ。
補修ではその日の内に作業が完了し代金の支払いまで終わることが多く、代金を受け取ったらその後は知らんぷりという業者が存在する。
こういったことを避けるためにも、飛び込みの業者やポストにチラシが入っていたような業者ではなく、名の知れた会社や信頼出来るところからの紹介などで依頼先を決めるようにした方が安全だろう。
補修実績が見て確認できるか
補修という仕事はどの業者も同じ腕を持つわけではないので注意が必要だ。
せっかく専門業者に依頼をしても素人と大差ない出来栄えで、トラブルになる事例が後を絶たない。
こうした被害を防ぐためには依頼先を検討する際に、その業者が実際に行った補修事例を目で見て確認することが非常に大切で、例えば自社サイトでその画像を公開するなどしていれば大いに参考になるだろう。
DIYよりも費用をかけたのに全く意味がなかった、という事態にならないよう慎重に技量を確かめるようにしたい。
火災保険を活用して焦げを格安で修理

フローリングの焦げ補修にかける費用を抑えるのであれば、自身が加入する火災保険をぜひ確認して欲しい。
火事になっていないのに使えるのか?と不思議に思われるかもしれないが、近年の火災保険は台風や大雪と言った自然災害や盗難による被害など、住宅に関する損害を補償する総合的な保険になっていることが多い。
そこで保険がどのような場合に使えるのか、そして保険を利用して補修する際の業者選びの注意点を解説したい。
火災保険で補償されるケース
火災保険には「不測かつ突発的な事故による汚損・破損」という項目があり、うっかり建物を傷つけてしまった場合に補償されるもので、フローリングの焦げも補償される可能性がある。
発生の原因と日時がはっきりしていることが条件で、損傷した部分の機能が失われている場合に対象となる傾向が強い。
この項目があるかどうか契約時の書類や証券等で確認し、どうしても不明の場合は保険会社に問い合わせてみると良いだろう。
賃貸では借家人賠償責任担保特約
賃貸では契約時に建物ではなく家財の火災保険に加入していることが一般的で、前述の「不測かつ突発的な〜」が付加されていない場合が多い。
一方で加入している家財保険に「借家人賠償責任担保特約」が付加されていると、フローリングの焦げが補償される可能性が出てくる。
これは大家に対して借りている側が損害賠償をしなければいけない場合に補償してくれるもので、最近の賃貸契約では加入するケースが増えている。
この場合もまずは賃貸契約時の書類を確認し、不明の場合はやはり保険会社に問い合わせをしてみよう。
保険を利用する際の業者選びの注意点
火災保険を利用して補修を行う場合、その損傷の原因や状態が保険の条件に当てはまっていることを、しっかりと保険会社に書類で伝えなければならない。
しかしこれはどの補修屋でも慣れているものではなく、せっかくプロに頼んだのに書類の不備で保険が利用出来ない事もあり得るので注意が必要だ。
当たり前だが補修の腕と保険申請の技量は別のものなので、保険を使って補修を行う際は必ず申請の実績を確認し、豊富な経験を持つ補修屋に頼むようにして欲しい。
まとめ

フローリングの焦げは見た目が悪いだけでなく、放置すれば被害が拡大し補修費用の増加や怪我などに繋がるため、早急に対処すべき損傷だ。
もしDIYが可能であれば、素早くしかも安価に焦げを目立たないようにすることができるので、積極的にトライしてみると良いだろう。
一方、DIYで補修した跡がわからないようにするのは困難なため、賃貸においては無駄になる可能性があり、高い技術を持った補修屋に依頼した方が結局は安く済むことも考えられる。
まして保険を利用して費用の自己負担を抑えられれば、プロに依頼しない理由は無いはずだ。
ぜひ匠の技を持った補修屋に相談し、大切な住まいの醜い焦げを消し去って頂きたい。

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。