「フローリングに黒いシミが!」これは腐食?補修法や対策を解説!

「フローリングに黒いシミが!」これは腐食?補修法や対策を解説!

この記事にたどり着いた方は、キッチンや洗面台のフローリングに黒いシミを発見された方だろう。ホコリが固まった汚れと思い、拭いたが取れず、「これは何だ?」という思いが沸き上がる。

拭いても消えない「黒いシミ」は、フローリングの表面が腐食に至る第1歩である変色だ。腐食はフローリンにとってダメージが大きく早期の段階で手を入れないとフローリンの張替えや根太への影響もある怖い現象で、フローリングの腐食と対応について解説する。

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腐食の実例と原因

腐食の実例と原因

腐食によるフローリングのダメージを補修する際に、腐食の実態を把握していなければ、適切な補修を施すことが出来ないと言わざるを得ない。当に、敵を知り己を知れば百選危うからず、ということだ。

ダメージの実例

シミの実例(写真1.)と腐食の実例(写真2.)を以下に示す。木材は表面に保護層が無いと水分や油分が表面を覆えば、覆われた部分がそれらを吸収する。水分や油分が少量で十分乾燥するならば、シミの発生は防止できる。

ただ、水分等を拭き取る、乾燥状態を保持する等の対応策を講ぜず、放置が継続し、繰り返し水分等で覆われれば、その結果、水分等で覆われた部分はシミ状に変色が生じる。

更に、この状態で水分等の補給・飛散の継続や高湿度の状態が続くと腐食に至る。

写真1.フローリング上のシミの例

写真1.フローリング上のシミの例

写真2.フローリングの腐食の例

写真2.フローリングの腐食の例

フローリングの表面に異常が無いのに床が沈む場合がある

フローリング表面のシミや腐食は、表面だけであれば補修で事なきを得るが、表面上はダメージが無いのに床の下部構造がダメージを受ける場合がある。床が沈み込むというのが代表的な現象で、家屋に重大な影響を与える場合がある。

例えば、床下が高湿度で結露しやすく、地面に晒されている場合にはシロアリが住み着くことで床下部がシロアリに食われて腐食状を呈する場合である。

根太や大引きが腐食し、スカスカの状態になるとフローリング上を歩行するとその重量に耐えられずに沈み込む。

腐食させないための対策

腐食部を補修して腐食が無かった状態に戻すより、フローリングの腐食を発生させないことが最良の対策である。大きな手間を掛ける前に小まめに手を入れる方がトータルの負担が少なるので、腐食を補修した後でもここを参照して欲しい。

水分や湿気に注意

フローリングは木材製であり床下の構造材料も木材製であることが多い。前述の様に腐食の原因系は水分が大きく関与するので、フローリング上が水で濡れた状態で放置されない様に心掛けよう。

お茶等がフローリング上にこぼれたら、すぐさま拭き取るという習慣を身に着けることが有効だ。特に、キッチンやトイレ・洗面場所は水分が飛散しやすく床面に水だまりが生じやすいので、キッチンペーパーやタオル類をその場に常備しておくと習慣が身につく。

ワックス仕上げを忘れずに

無垢材のフローリングに多い無塗装のフローリングの場合には定期的なオイル塗装が必須だ。水滴がこのフローリング上に形成されて放置していると木材に水分が浸透してシミが生じる。この様な現象が繰り返されると腐食へ進行する場合がある。

フローリングの表面に保護層としてUV硬化樹脂が塗装されているものがある。ツヤツヤした外観を備えたフローリングで表面の平滑度が高い。このUV硬化樹脂の保護機能は高く、水を弾くので多少の水滴ならフローリングが水を吸収してシミになることはない。

ただ、時間の経過と共に保護膜の劣化と薄膜化が生じる。そこで、ワックス掛けを行うことで保護層の劣化防止に心掛けてほしい。窓際の日光に晒される部分のフローリングの色が変化するが、これは、日光で表面部分が劣化した事例だ。

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DIYでの腐食の修理・補修

DIYでの腐食の修理・補修

フローリングを日常的にメンテナンスしてくことの利点は理解できても、忙しさに感けて“今日はいいや”ということになるのが正直な感想だろう。そして、気が付くとフローリングに黒シミを見ることになる。

点状の黒シミの対処法とは?

洗面場所やキッチンの様に水分がフローリング上に飛び散りやすいところでは、点状の黒いシミ状のダメージが発生する。多くは、カビの発生による異変だ。カビであれば、カビ取りスプレー剤(注1)を用いることで対処できる。

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ただ、注意点として風呂用のカビ取り剤の使用だ。フローリング用より強力な場合があり、表フローリング面にダメージを与えることがある。この様な製品を使用する場合には、事前に局所的に試して異常がないことを確認して欲しい。

面積を有するシミに対する補修に対しての方針

点状のシミとは異なり写真1.に示す様な面積を有するシミには、どの様に対処すればいいのであろうか?このタイプのダメージに対しては、専門家に依頼した方が満足できる仕上りが得られる。

専門家が行うのと同様のプロセスを経れば、外観上修復は可能だが、周辺部との違いが際立ち、専門家に修復の依頼をせざるを得ないことになる。

小さな傷なら専門家以外でも修復可能だが、シミや腐食に関しては専門家に依頼すべきだ。

専門家に依頼した方がいい腐食

専門家に依頼した方がいい腐食

フローリングの腐食は、床下の構造にもダメージを与える可能性がある。床下部分に損傷を受けると家屋自体の寿命に影響を与える場合があるので、DIYで補修可能と考えがちだがあるレベル以上の腐食は専門家に依頼することをお勧めする。

フローリングの腐食という現象で、一番考えなければならないのは床の下部構造への影響だ。フローリング表面のみの腐食であれば、DIYでも修復は可能だが、床の下部構造が腐食していると専門家の領域となる。

図1.に代表的な床構造を示す。木造戸建てでは、大引や根太は木材製なので水分や高湿度環境に置かれていると腐食しやすい。フローリングの見た目には問題が無いのに、フローリングが沈み込むことがある。この原因として床の下部構造の腐食が考えられる。

マンションのようなRC構造では、コンクリート下地に緩衝材等は存在するもののベタ敷きの場合と支柱で支えられる構造がある。これらは腐食には強いが、フローリングの交換(張替え)は、大引き・根太構造と同等の手間がかかるので、専門家の領域と考えていい。

図1.代表的な床構造

図1.代表的な床構造

専門家に依頼した場合の費用

専門家に依頼した場合の費用

出来栄えの美しさは専門家ならではの仕事だ。ただ、依頼する方としては、費用が気になることも確かで、事前に概略の費用の見通しが付けば依頼しやすい。

ここでは、専門家に依頼した場合の費用についてお伝えする。

費用に影響を与える要因は、①工法(重張り・新規張り)、②材料(無垢材・複合材・シート材)、④床面積、⑤リフォームの範囲(床のみ・床下含む)と種々あるが、ここでは6畳の広さで床のみを概略の費用を示す。

新規張り  無垢材又は複合材  15万円-25万円

重ね張り  無垢材又は複合材  10万円-20万円

新規張りは、既設のフローリングを除去して、新しいフローリン材を床(根太や緩衝材等)に貼りなおす工法で、重ね張りは、既設のフリーリング上に新規のフローリング材を貼る工法で、重ね張りの方が安価にできる。

優れた専門家の探し方

優れた専門家の探し方

ネットを検索すれば、数多くの専門家を見つけることが可能だ。だが、これらの専門家が全て優秀と言えるだろうか?パレートの法則と言うマーケティングの経験則がある。売上の8割は2割の顧客がたたき出すというものだ。

この経験則はあらゆる分野で活用できる。例えば、ネット検索で見つかったフローリングの補修のプロの集合も玉石混交と考える必要がある。そこで、優れた専門家の探し方について解説する。

専門家選定のタブーとは?

始めに、優れた専門家を選定する場合にやってはいけないタブーについて説明しよう。以下に箇条書きで示すので、これらに相当する方法で間違っても選定しないでもらいたい。

①1社のみに対して費用の見積依頼での選定

②費用一式〇〇円という細目の無い見積を提出する専門家の選定

③見積書や契約書の無い口約束で工事する専門家の選定

優れた専門家を選定するには

優れた専門家を選定するためには、前述のタブー集の逆の行動が必須だ複数社に見積依頼を出し、見積の記載事項を工程別・材料別にすることを依頼し、口約束で仕事を依頼しないで契約書や見積書を必ず入手することが最低条件となる。

上述の条件をクリア―した専門家の中から、再度セレクションを行う訳だが、加点されるポイントを以下に示すので、これらに相当する専門家の採用をお勧めする。

①コストダウンやグレードアップ(同一コスト)提案のできる専門家

②見積書を細目別に記載できる専門家

③実績を紹介してくれる専門家

④作業場や事務所の5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)が行届いている専門家

セレクション時の注意点

上記の条件に該当する専門家であれば、優秀な専門家といえるが、更に言うなれば、コストに影響するので、近隣の専門家が好ましい。出張費やトータルの作業時間の削減が可能だ。

更に、他に比較して極端に安価な専門家は、避けた方が賢明だ。腕に自信がある専門家は安売りをすることは無い。ただ、その理由を聞いて、納得できるものであれば良い。面談で人物の人柄・人情・相性を確かめることも重要だ。

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賃貸物件での場合の注意

賃貸物件での場合の注意

自宅であれば、自分のスケジュールで補修を依頼できるし、費用や出来栄えに関しても自分の責任の範疇になる。だが、賃貸物件では賃貸借契約や原状回復義務に関連して色々な制約があるので、腐食を発見しても自分での補修は避けるべきだ。

もしも、自分で補修を行っても、素人であれば補修跡が残ってしまう、また補修を失敗してしまう可能性がある。そうなれば貸主とのトラブルの原因となってしまう。

ただし、貸主側に補修をお任せすると、部分的な補修で間に合う場合であっても、全面張替えを行う可能性が高く、また手数料が上乗せされた金額で請求される場合もある。

賃貸の場合、補修費用をできるだけ抑えるのであれば、この後に解説している保険活用(損傷が補修内容に含まれている必要がある。)で補修するか、自分で補修業者に依頼する。(補修したことがわからいレベルの腕の良い業者)事である。

但し、賃貸契約内容によっては借主依頼の補修は契約違反となる場合がある為、契約内容を確認し、リスクを考慮してご判断いただきたい。

原状回復義務とガイドライン

賃貸物件への入居に関する契約は、オーナーと賃借人という私人間の契約になるのでガイドライン(注2)の内容が当然に適用される訳ではないので、取り交わす契約書と国交省で定めた賃貸住宅標準契約書(注3)と比べることが必要となる。

注2)国交省HP 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

注3)国交省HP 「賃貸住宅標準契約書」(改訂版)のダウンロード

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000019.html

原状回復義務に関してガイドラインでは、以下の範疇の損耗や毀損を補修して元の状態に戻すこととしている。このことより、経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれているものとしている。

原状回復とは、

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

賃貸物件に住居するならば、日頃の清掃を欠かさず、丁寧に扱えば、物件の損耗・毀損は経年変化の範囲に収まる。また、日常的な清掃を行うことで、物件の異常を早期に発見できるメリットがある。

借主負担or貸主負担のラインとは?

原状回復の定義は上述の通りだが、具体的な線引きは何処にあるのだろうか?要件が、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用という定量化しにくい課題なので具体例を示そう。

例えば、禁煙指定の部屋にヘビースモーカーが入居して、常習的な喫煙で壁紙にヤニと臭いがこびり付いた場合は借主の負担となるが、室内の清掃で拭き取れる程度の汚れならば借主の負担でなく貸主の負担となる。

フローリングの腐食に類する事例であれば、窓ガラスに結露して、フローリング上に水溜まりができることがある。これを放置しておくとカビの発生や腐食に至ることがある。これは、結露による水が床面に落下してできた水溜りを放置したことが起因で借主負担とされる。

保険でフローリングの腐食に対する補修費用が捻出できるの?

保険でフローリングの腐食に対する補修費用が捻出できるの?

個人向けの損害保険である火災保険は様々な事故や災害に対応している。

ただし、その災害や事故を対象とするオプションに加入していることが前提になる。火災保険でフローリングの腐食の補修費用が補償されるかを考えてみよう。

火災保険の商品も賃貸用と持ち家向けがあるので、夫々の場合を検討してみよう。

賃貸物件では保険で補償は可能か?

賃貸借契約で原状回復義務が入居者に課せられるが、ガイドライン(注2)に準拠すると入居者の通常の使用による損耗や経年変化等は原状回復義務の範囲外となる。だが、賃借人の故意・過失等による損耗・毀損は、入居者の費用で原状回を行う必要がある。

賃貸の場合には、入居に際して火災保険への加入を勧められる。この火災保険には様々なオプションが用意されており、その一つに借家人賠償責任補償保険がある。これは、オーナーに対する入居者の責任を実現させる保険だ。

入居者としては、家財に対する火災保険に加入することになるが、借家人賠償責任補償保険にも特約として付加すれば、原状回復工事の費用を補填できることがある。

例を示すと、フローリングに腐食が発生してしまうのは、長期間に亘り水分がフローリング上に存在している場合だ。例えば、冷蔵庫や洗濯機の下部のフローリング上に水滴が継続的に滴り落ち、乾燥しないまま長期間放置されて状態だ。

この例でいうと、賃貸物件の入居者が借家人賠償責任保険に加入しているのならば、フローリングの補修費用が補填される可能性がある。入居者が気付かないうちにフローリングの腐食が進行し補修が必要となり、原状回復工事を行った場合の費用が補填される。

持ち家では保険で補償は可能か?

火災保険は、過失や故意に起因する損害は補償の範囲外としている。損害保険の基本的な理念が過失や故意でない出来事で生じた損害を補償することにあるからだ。腐食の様に長期の時間の経過が必要な現象は、偶然・突然・突発・不測の要件を満たさない。

例えば、台風で風雨が強いときに、窓を閉め忘れて雨水が部屋に吹き込みフローリングが被害を受けたとしても、窓を閉め忘れたという過失が原因という理由で補修費用に関して保険での補償は得られない。

ただ、台風で風雨が強く、隣家から屋根瓦が飛散して窓ガラスを突き破り、雨水が部屋に吹き込みフローリングにダメージを与えた場合には、隣家の屋根瓦の飛散という突発・不測の事態が原因ということで補修費用は保険で補償されることになる。

保険で補償される事例のバリエーションとして、吹き込んだ雨水が冷蔵庫とフローリングの隙間に入り込み、清掃はしたものの、完全に水分を除去できず、冷蔵庫下部に存在している僅かな腐食部が時間の経過と共に拡大した場合は、保険金請求をする価値がある。

まとめ

まとめ

木製部材にとって湿気は大敵だ。湿気により腐食が始まり、促進されてしまう。

また、湿気は木材の大敵であるシロアリを誘発することもある。フローリングに腐食の痕跡を認めたならば、しっかりとした対応をして欲しい。

また、対応を終えたら、日頃の手入れと湿気に関心を払って欲しい。風通しを良くするちょっとした手間を掛けることで、湿気によるダメージを大幅に減らすことが可能になる。

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【記事監修】 山田博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士

一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。

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