フローリングのシミを見た目の問題だけだとそのままにしているなら大変危険だ。
シミは時間と共に確実に悪化し、その範囲を広げながら大切なフローリングを蝕んでいくからだ。
そこでフローリングにできたシミを素早く簡単にDIYで補修する方法を、建築のプロである一級建築士が詳細に解説する。
さらに専門業者に補修を依頼した場合の費用相場や、ペットのおしっこ被害を防ぐグッズの紹介など、シミに関する様々な情報もお伝えしている。
シミが悪化し補修が効かず、フローリングの張り替えといった莫大な費用がかかる前に、素早く補修するため役立てて頂きたい。
この記事読むことで理解できること
フローリングのシミはすぐに拡大を防ごう
フローリングのシミは放置していると確実に状態が悪くなるため、大至急対処をしなければならない。
原因となっている成分が気温、湿度などによって変化し、シミはじわじわとその侵食範囲を広げるため、手遅れになればこのあとご紹介するDIY補修が不可能になってしまう。
さらにフローリングの深い部分にまでシミが及べばプロでさえも消すことが難しくなり、フローリングを剥がして貼り直すという大工事に発展する。
当然費用は跳ね上がり、この後ご紹介する補修費用では済まない大変な金額がかかることになるだろう。
ぜひフローリングのシミは軽傷なうちに補修を行い、大切な我が家をきれいな状態に戻してあげて欲しい。
フローリングのシミ補修の費用相場
ここでは様々な専門業者のシミ補修の費用相場をご紹介する。
金額はシミの原因や大きさによって変動するが、特にペットのおしっこのシミはフローリングの深くまで浸透することが多いため高額になりがちだ。
金額を正確に知りたい方は、メールでシミの写真を送れば無料で見積もりをしてくれる業者もあるので、一度相談してみると良いだろう。
シミの種類 | 費用相場 |
フローリングのシミ | 50,000円〜 |
ペットのおしっこのシミ | 100,000円〜 |
※張り替えになった場合は費用が異なる。出張料が別途必要な場合もあり。
原因別シミを取り除くDIY補修方法
フローリングのシミを消すにはその原因に応じた補修方法を行う必要がある。
特にフローリングの補修は間違った方法で行ってしまうと、余計にフローリングを変色させ、取り返しのつかない事態を引き起こす。
今回ご紹介しているのは比較的一般の方でも簡単に行える補修ではあるが、不慣れで心配な方は専門業者へ依頼した方が安心だろう。
水シミ跡は中性洗剤で消す
キッチンや洗面台の周りに水滴の跡がシミとなって残ることがあり、原因は洗剤の泡が多いが水が落ちただけで出来る場合もある。
消すにはまずバケツに水を入れ台所用の中性洗剤を数滴垂らし、布を浸してからしっかり絞って拭くときれいになる。
これを何度か繰り返しても消えない場合は、ワックスが変色していることが考えられるため、次項のワックスの再塗布を試して欲しい。
観葉植物の跡はワックス再塗布
観葉植物の植木鉢から水がこぼれてフローリングに跡を作ってしまったら、まず前述の中性洗剤を薄めたもので拭く方法を試して欲しい。
表層だけのシミならそれで消えるのだが、植木鉢の水こぼれは気づくのが遅れがちでワックスが変色していることも多く、その場合は水拭きでは落ちない。
そこでワックスを一度剥がして再度塗る方法を試してみよう。
普段のワックスかけにも応用できるテクニックなので、ぜひ覚えることをお勧めする。
手順
①市販のワックスはがし剤をスポンジに付け、フローリングに均等に塗ってそのまま2〜3分待つ。
②ワックスが浮いてくるのでヘラを使って丁寧に削り取る。
③濡らして絞った雑巾で何度も拭き、古いワックスをしっかり取り除いたら1日以上乾燥させる。
④この段階でシミが無くなったかを確認し、シミが消えているような新たなワックスをスポンジで塗る。
周りの床の様子を見て足りないようなら2度塗りを行うが、その場合は1〜2時間程度時間を空けしっかり乾燥させること。
もしワックスを剥がしてもシミが消えていないようなら、フローリングの塗装か表層材が変色している。
その場合は「3-4:結露のシミは塗装で解決」で解説している塗装を試してみよう。
黒カビはエタノールで拭く
カーペットや家電をどかしたあとに発見される黒ずんだシミはカビであるが、まだ表面にできているだけならDIYで消すことができる。
まずは水滴の項でご紹介した水で薄めた中性洗剤で拭く方法を試し、それでも取れないようなら市販の清掃用無水エタノールを吹き付けて拭いてみよう。
ただこれらの方法ではフローリングの中にまで入り込んだカビは取り除けない。
塗装をすれば見えないようにはできるが、それではカビを完全に除去したことにはならず、不衛生なままだ。
中性洗剤やエタノールを試しても消えないカビは専門業者へ相談した方が良いだろう。
結露のシミは塗装で解決
窓際の結露によるシミは放置していると変色だけでなく腐食も発生する緊急事態だ。
まずは水で薄めた中性洗剤で拭くことを試し、効果が無い場合は深くまで侵食している恐れがあるため、表面を削った上で塗装を行う。
ただし同じ結露のシミでも程度によって補修方法が異なるため、以下の記事を参考に適切なやり方を確認した上で取り掛かって頂きたい。
「窓際の結露でフローリングが変色!簡単DIY補修完全マニュアル」
https://shufukulabo.com/condensation-at-the-window
重曹や漂白剤で拭くのはNG
シミということでお風呂やキッチンの掃除で用いる重曹や漂白剤を使えるように考えてしまう方もいるが、それらは絶対に使わないようにしよう。
重曹は一見滑らかなためフローリングでも使えそうに感じるが、クリームクレンザーのように細かい粒子を含んでおり、無数の傷を付けてしまうことになる。
また漂白剤やカビキラーのような強力な塩素を含んだものは、フローリングをあっという間に変色させ非常に危険だ。
これらはフローリングの張り替えをしないと消せない傷やシミを、新たに作ってしまうことになるため、決して使わないようにして欲しい。
専門業者に任せるべきシミの種類
シミの中には一般の方には消すことが難しいものがあり、それらは初めから専門業者へ任せるべきだ。
特にシミは不用意に手を出すと余計に変色を招く恐れもあり、他の損傷に比べ慎重にDIYを行うか判断をする必要がある。
ここでは専門業者へ任せるべき代表的なシミの種類をご紹介しているので、前項でご紹介したDIY補修を試しても消えなかった場合を含め、早い段階で専門業者へ相談するようにして頂きたい。
ペットのおしっこのシミ
ペットのおしっこのシミは残念ながらDIYで消すのは困難だ。
おしっこは他のシミ原因以上にフローリングの深くにまで染み込んでしまい、場合によってはその下の材料も補修する必要が出てくるからだ。
さらに臭いも取り除くには表面だけ消毒したり塗装したりしても効果がない。
ここは見た目と臭いの両方をしっかりと補修するためにも、プロに任せることをお勧めする。
除光液・接着剤・漂白剤など
マニキュアの除光液や接着剤、掃除用の漂白剤など、少量で素材に大きな効果を与えるものは、こぼすとフローリングの素材を破壊する力が強く、しかも深い部分にまで達するため、表面的なDIY補修で解決することは難しい。
さらに補修の材料によっては化学反応を起こしシミを悪化させる恐れもあるため、正しい知識を持って作業をしなければならない。
被害が浸透するスピードが早いものも多いため、除光液などをこぼしてシミを作った場合は、迷わず専門業者に連絡を取って欲しい。
ペットのおしっこのシミ防止グッズ
せっかくおしっこのシミを補修で消したなら、また再発しないよう対策を取っておきたい。
そこでペットがいる部屋のフローリングの上に、2種類の敷物を併用するお勧めの方法をご紹介しよう。
まずペットのケージやトイレの下には、よく使われるペット用トイレマットを敷く。
これで普段のトイレの際にはみ出す被害を防げるし、多くのものは防臭効果もあるので部屋を快適にできる。
次に部屋全体にフローリングの傷防止用の樹脂マットを敷く。
ペット用トイレマットはサイズが小さいため、部屋全体に敷くには相当な枚数を並べることになり実用的ではない。
しかし傷防止用マットなら大きなサイズもあり、見た目も部屋の雰囲気を壊さない。
しかも拭き掃除も楽なので、突然のアクシデントにはむしろこちらの方が適しているだろう。
上手に使い分けて対策を行い、再度シミを作られないよう注意をして欲しい。
賃貸でのDIY補修は効果がない
賃貸の割高な原状回復費用を抑えようと、フローリングのシミを自分で直そうとする方がいるが、それは全く効果がない。
なぜならこれまでご紹介してきたシミを消すDIY方法は、完全にシミを消すことができず、あくまで目立たない程度に補修するのが精一杯だからだ。
しかし貸主側は次に借りようとする人に敬遠されないようシミや傷は完全に消したいと考えており、DIY程度の補修では不十分なのだ。
そのため結局は原状回復工事が行われて費用を安く済ませることはできず、しかもDIYで使った道具などは無駄になってしまう。
賃貸でシミを作ってしまった場合はDIYを行わず、初めから専門業者へ任せた方が安上がりだということをご理解頂きたい。
※入居者自身が補修の専門業者を手配することを禁じている物件もあるため、リスクを理解した上で依頼するかどうかを判断しよう。
完璧にシミを消すなら補修屋へ頼む
もしフローリングのシミを完全に消したいのであれば、補修屋という専門業者がお勧めだ。
補修屋とは住まいのあらゆる場所にできたシミや傷などを、跡がわからないように直してしまうリペアのプロフェッショナルだ。
しかも傷んだ場所だけをピンポイントで作業するため、床の張り替えなどよりはるかに低価格で補修できるというマリットもある。
参考に補修屋がフローリングのシミをきれいに消してしまう動画をご紹介するので、ぜひご覧頂き依頼を検討してみて欲しい。
補修屋の技術費用相場
フローリングのシミやその他の損傷を、補修屋へ依頼した際の技術費用相場をご紹介する。
様々な損傷を一緒に直せるのも補修屋の大きなメリットの一つなので、普段から気になっている傷などがあればまとめて依頼するのがお勧めだ。
補修内容 | 技術相場金額 |
フローリング色あせ | 10,000円〜30,000円/㎡ |
フローリングのシミ | 30,000円~ |
ペットのおしっこのシミ | 70,000円〜 |
フローリングの傷、凹み | 25,000円〜 |
フローリング剥がれ | 40,000円~ |
※材料の新規取り寄せ費や出張料は別途
優れた補修屋を見分ける方法
補修屋に依頼をする際、どの補修屋でも直した跡がわからないようにシミを消せるわけではない、という点に注意して欲しい。
完全にシミや傷を消すには、あらゆる損傷や素材に対しての豊富な知識と、様々な補修を行ってきた十分な経験が必要だ。
しかし補修屋の中には経験や技術が未熟なのに、商売のために豊富な経験があると宣伝している者がおり、粗悪な工事をされ代金を支払ったら音信不通になってしまった、というトラブルも起きている。
そういった被害に遭わないためには、自社サイトを持ち画像つきの補修実績を数多く公開している業者を選ぶなど、自己防衛を行うことが大切だ。
くれぐれも言葉だけの実績に惑わされないよう注意をしながら依頼先を検討して頂きたい。
火災保険を使ってシミを格安で消す
フローリングのシミを格安に消すなら、ぜひ加入している火災保険を確かめて見て欲しい。
現代の火災保険は火事の被害だけでなく、台風や大雪のような自然災害や盗難での被害など、住まいの様々な損害を補償する総合保険になっている。
今回のフローリングのシミも条件が当てはまれば、保険によってその補修費用が補償されるのだ。
そこでここからは、火災保険で補償されるフローリング損傷の条件や、保険を使って補修を依頼する専門業者の選び方について解説をする。
火災保険で補修ができる条件
火災保険で補償される例としては、うっかり鍋を落として中身がこぼれてフローリングにシミが付いてしまった、などの「不測かつ突発的な事故による汚損・破損」が挙げられる。
これは予想できない突然の事故で、住まいが傷んだり汚れたりした被害を対象としたものだ。
あるいは台風や大雨で屋根が壊れて雨漏りが発生して出来たシミなどの「風災」による被害が適用になり補償されるケースがあり、これら自然災害の補償は近年の異常気象で使う方が増えている。
いずれも発生した日時や原因が明確であり、フローリングの機能に支障が出ている場合に補償されやすいなど、保険ごとに細かな条件がある。
まずは契約時の書類や約款を読み、わからない場合は直接保険会社に問い合わせるなどして、補償条件を確かめてみて欲しい。
補修を依頼する専門業者の選び方
保険を使って補修を依頼する専門業者は、必ず保険の申請実績が豊富な相手を選ぶようにしよう。
補修の専門業者の中には保険の申請経験が少ない者もいるため、誤って頼んでしまうと申請内容が不十分で保険会社に断られてしまうことがあるからだ。
特にシミの原因やフローリングの現状などを適切に保険会社へ伝えるのは、経験がないと非常に難しい。
もし保険が使えるシミなのに書類の不備で使えないことになれば、何のために保険料を今まで払ってきたのかわからない。
保険を使って補修をする場合は、必ず相手の保険申請の実績を確かめた上で依頼をするよう気を付けて頂きたい。
まとめ
フローリングのシミは時間と共に確実に悪化し、材料を蝕んでいくため早急に補修を行わなければならない。
もしDIYが可能ならすぐにでも取り掛かって頂き、その被害を最小限に食い止めて欲しい。
しかしペットのおしっこや除光液などのようにDIYでは難しかったり、賃貸のように直した跡がわからないレベルで補修する必要があったりする場合は、初めから専門業者へ任せた方が確実で、しかも最終的に少ない出費で済む。
しかも腕の立つ補修屋であれば金額以上の満足もあり、火災保険が使えるようならプロに任せない理由はないはずだ。
大切な住まいのフローリングが無残な姿になる前に、ぜひ確実な補修を行って頂きたい。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。