換気扇からの雨漏りは少量だからと言って対応を後回しにすると非常に危険性だ。
それは換気扇自体が建物の壁を貫通して室内に繋がっているトンネルのような構造に問題があるからだ。
室内へは殆ど障害物無しで雨水が浸入できる通り道になる上に、換気扇が取り付けられている壁の断面は剥き出しの状態で全くの無防備になっており、万一雨漏りが起きれば大きな被害を産む可能性がある。
今回建築のプロである一級建築士が解説する発生原因を参考に早期発見に努めて頂ければ、被害を最小限に食い止めることができるだろう。
また記事の後半では原因を特定する際のプロの具体的調査方法とその費用や、火災保険を利用して修理費用の自己負担分を抑えるテクニックを紹介しているので、ぜひ最後まで目を通して欲しい。
この記事読むことで理解できること
換気扇の雨漏りがもたらす被害
換気扇から雨漏りが発生すると単に雨水が内装を汚すだけではなく、付近にある家具や家電などにも被害は及ぶ。
また雨水が壁内に入り込めば建物の耐久性や耐震性を損なう恐れもあり、見た目だけの問題では済まない。
ここでは換気扇からの雨漏りにはどんな被害があるのか、改めて確認しておきたい。
内部腐食やシロアリ
換気扇のダクトは建物の壁内や天井裏などを通っており、ここで雨漏りが発生すれば建物構造体へ被害が広がるだろう。
柱などの構造材に腐れや錆といった腐食が発生したり、湿気が残ればシロアリの発生の恐れもある。
しかも見えない部分で進行するため発見された時には損傷が大きくなっていることも多く、建物の耐久性や耐震性が大きく低下してしまっているだろう。
内装の被害
雨水がダクトを通り室内へ漏れ出せば、まず内装に被害を及ぼす。
壁紙にはシミや浮き、剥がれやカビが発生し、しかも数週間や数ヶ月経ってから現れることもあるので、費用だけでなく精神的な負担も大きい。
さらに壁紙の下の石膏ボードは濡れると変形し脆くなってしまい、本来の目的の防火性能も低下する恐れがあるので、殆どの場合交換となり出費も増していく。
また和室の柱、敷居、鴨居などの白木の造作材は一度濡れてシミができてしまうと取り除くは難しく、せっかくの和室の風情が台無しのまま過ごす事になるだろう。
家具や家電の被害
居室の換気扇で雨漏りが発生すれば、当然周辺にある家具や家電も被害を受けるだろう。
家具は濡れるとシミや変形を起こし程度によっては修理が難しいことも多い。
また家電などは当然故障の原因となり、最近の家電は高額なものも多いため買い替えともなれば手痛い出費となるだろう。
換気扇の漏電
換気扇の機械部分に雨水が入り込めば当然漏電し漏電遮断器が作動する。
しかし雨漏りが解消されなければ何度も遮断されることになり、電気製品の故障に繋がるだろう。
最近の家電は精度の高い部品を多用しているため突然の電気の切断に弱く、特にパソコンやその周辺機器は非常にデリケートで故障によるデータ消失の恐れさえある。
また老朽化した建物で漏電遮断器に不具合があれば火災にも繋がりかねない。
二次被害の危険度が高いのが漏電の恐ろしさである。
換気扇は外と直通!その種類と構造
換気扇は外部から直接室内へダイレクトに繋がっている。
そのため風雨の浸入を防ぐフードが排気口に設置され、機種によっては換気扇内にシャッターなどの雨水対策が施されているが、残念ながらどれも密閉度は高くない。
また経年劣化でファンのモーターが弱まっていれば、台風のような強い風を伴った雨は簡単に浸入を許してしまうのである。
そして一度雨水が換気扇内に浸入してしまうと、そこから先は遮るものが無いため一気に室内の雨漏り被害に繋がっていく。
ここでは住宅に設置されている主な換気扇の種類とその構造をお伝えする。
どのタイプがどういった雨水浸入の可能性を持っているのか知って頂き、原因を特定する際に役立てて頂きたい。
プロペラファン
プロペラファンは外壁に面して開口を取りプロペラが設置される構造で、施工やメンテナンスがしやすく初期コストも抑えられるため、以前は非常に普及していた。
主にキッチンや居室の換気扇、小型のものだとトイレや浴室などにも用いられている。
しかし空気を押し出す力が弱いため外部に直接面した場所に設置する必要があり、風雨の浸入を防ぐシャッターは閉じる力の弱いものしか取り付けらない。
また小型のものだとシャッター自体付いていないなど、強い風雨の場合に雨漏りが発生しやすい特徴を持っており、特に年数が経っていてモーターの力が弱まっているプロペラファンはかなり注意が必要だ。
シロッコファン
近年換気扇の主流になっているのが、円筒形に細い羽が縦に取り付けられたシロッコファンだ。
空気を送り出す力が強く外の風の影響を受けにくい上に、プロペラファンに比べ排気口が小さいというメリットも持ち、雨漏りの危険性はぐっと低くなっている。
ただ設置場所の自由度が高い故にダクトを使って本体と離れた場所に排気口が設置されることも多く、もし排気口から雨水が浸入しても気付きにくいという欠点がある。
主に築年数の浅い住宅のキッチンや外部に面する壁が少ない部屋の換気扇、あるいは天井に吸気口があるトイレや浴室の換気扇などにシロッコファンが使われている。
意外に多い!雨漏りが起きうる宅内の換気扇
あらためて自宅の北側の外壁を見ていただくと、換気扇のフードが意外に多いことに気付くかもしれない。
特に近年の建物は水周りだけでなく居室の換気扇も多く、数的な雨漏りリスクが増している。
一方で古い建物は設置箇所は少ないが構造がシンプルで風雨の逆流対策が甘く、1箇所の危険度が高いと言えるだろう。
現在どこかの換気扇から雨漏りが発生しているのであれば、他の換気扇も同程度の劣化をしている訳で、いつどこから雨漏りが発生してもおかしくないだろう。
ここでは代表的な宅内の換気扇を挙げておくので、ぜひ一通りチェックをして頂きたい。
キッチン
家の中の換気扇というと真っ先に思い浮かぶのはキッチンの換気扇ではないだろうか。
古い建物になると他の換気扇に比べ外部の排気口が大きく、強風による逆流やコーキング割れなどの雨漏りリスクが高い。
反面キッチンの換気扇は普段から使っていれば間近で見るため雨漏りに気付きやすく、素早く対処すれば被害を最小限に食い止めることができる。
居室換気扇
リビングや和室など人が集まる場所にタバコや料理の排煙用で設置してあるのが居室用換気扇だ。
古い建物の場合はプロペラファンが多く、排気口が大きい上に経年劣化でシャッターの閉じる力が弱まっていると強風時に雨水が入り込みやすい。
また熱交換型換気扇という、排気に含まれる室内の熱を吸気に移して部屋に戻すことで、換気をしても部屋の温度を下げない機種もある。
熱交換器を内蔵した室内機が設置されるため、もし雨漏りが発生しても気づきにくいという欠点を持つ。
特に古い年式のプロペラファンのものは雨水が浸入しやすい為、定期的に内部の点検を行うようにしよう。
和室
和室に仏壇の線香の排気用や、人寄せがあった場合のために換気扇が設置されている場合がある。
これらはプロペラファンでシャッターが無いなど簡素なものが多く、老朽化していると風雨の逆流による雨漏りが起きやすい。
しかし一番の問題は普段使う人のいない和室は雨漏りの発見が遅れがちなことである。
なるべく掃除の際などに点検する習慣を持つと良いだろう、
トイレや洗面所
トイレにはほぼ間違いなく換気扇が設置されており、また洗面所にも湿気の排気用で設置されている住宅もあるだろう。
これらのタイプも強い風雨による雨漏りが発生しやすいのだが、排気口が小さく浸入する雨量が少ないためなかなか雨漏りに気づきにくい。
その分室内への被害は小さいと言えるが、もし壁の中へ継続的に浸入すれば腐食やカビの原因になる可能性もある。
こちらもやはり掃除の際に内部を覗くなどして点検するようにしたい。
浴室
古い建物の浴室換気扇はプロペラファンが多く、しかも排気口が大きめなので雨漏りになるリスクは高い。
内部が浴室なので雨漏りしても心配ないと思われるかもしれないが、換気扇が通っている壁の断面から壁内へ雨水が浸入すれば構造体の損傷を引き起こすので、もし雨漏りが発生したら早急に対応しよう。
一方最近のユニットバスは天井付けのダクト式シーリングファンになっており、外部の排気口も小さめなので古いものよりは雨漏りリスクは低くなっている。
24時間換気
2007年の建築基準法の改正により、汚れた空気を吐き出すため建物全体を常時換気することが義務化された。
これにより24時間換気設備が設置されるようになり、各種ある中の強制排気(主に水回りの換気扇)+吸気という方式の場合は全居室に吸気口が取り付けられている。
換気扇ではないが雨漏りのリスクはその数だけ高いものになっていることを認識しておいた方が良いだろう。
また集中換気という1つの換気ユニットで、ダクトで繋がれた全室の吸排気を行う方式もあり、この場合は大元のユニットから外部へ給排気口が設けられている。
全室の給排気を行うためその口のサイズは大きく、強風時の逆流のほか外壁とのジョイント部分の劣化など雨漏りリスクは十分にあるので定期的な点検を行なった方が良いだろう。
換気扇の雨漏り6つの原因
換気扇からの雨漏り原因は外部の排気口周りの損傷が真っ先に思い浮かぶが、施工不良や逆流などそれ以外にあることも実に多い。
雨漏りの被害を最小限に抑えるためには早期発見と早期対応が最も有効だ。
今回の解説を原因特定に役立てて頂き、専門業者にしっかり修理をしてもらおう。
コーキング割れ
排気口と外壁のジョイント部分に打たれているコーキングが割れて雨漏りになるケースは非常に多い。
コーキング自体は環境にもよるが10年前後で劣化が始まり、徐々に割れも深くなりそこから雨水が内部へと浸入していく。
換気扇内部へ入り込むだけでなく外壁との隙間から壁内に入り込み、内部の腐れや錆、シロアリの原因にもなるだろう。
特に南側に設置してある排気口周りのコーキングは劣化が早いので、定期的に点検し予防をするようにしたい。
外壁のひび割れ
コーキング割れと原理は一緒で換気扇排気口周りの外壁のひび割れから雨水が浸入し、換気扇のダクトを伝わって建物内に雨水が浸入する。
ひび割れの原因は経年劣化や地震などだが、排気口付近にビスが打ってあったり、排気口周りの外壁が角型に切り抜いてあったりすると割れやすいと言えるだろう。
換気扇周りのひび割れは小さくても軽視せず早めに修理を行うことが重要である。
フードの劣化
排気口には雨の浸入を防ぐフードが取り付けられているが、樹脂製のものは年数が経つと劣化し割れてくることがある。
内部にシャッターが設けられていない簡易的な換気扇の場合は、このフードが雨の浸入を防ぐ重要な役割を果たしており、割れがあればそこから内部への雨漏りに繋がっていく。
特に古いプロペラファンの換気扇は排気口が大きいため、フードの割れは雨漏りのに直結しやすく注意が必要だ。
強風による逆流
台風のような強い風に押されて排気口から雨水が吹き込んでくる、いわゆる逆流で雨漏りになるケースもある。
特にプロペラファンは排気の力が弱いため、外部のフードが排気口をあまり覆わない形になっており、吹き込みによる逆流が発生しやすい。
トイレや洗面所などに設置してある小型の換気扇はプロペラファンな上、逆流を防ぐシャッターの無い機種も多い。
早期発見や予防のために、雨を伴った強風の際に一通りの換気扇の状態を確認すると良いだろう。
ダクトの勾配不良
通常換気扇本体から排気口へと繋がるダクトは外へ向かって下がる勾配を付けて施工される。
万一雨が排気口からダクト内に入り込んだ場合にその勾配によって雨水を外へと排出する為で、製品の施工マニュアルにも明記されている。
しかし勾配がない施工不良から雨漏りに繋がるケースがあり、古い建物や短期間で建てられたのが伺える物件に良く見られる。
また稀ではあるが室内側へ向かって下がっている逆勾配になっているケースさえある。
換気扇の雨漏りが発生した場合は、コーキング割れ等とともに勾配を必ずチェックするようにしよう。
上階の外壁やサッシ周りの損傷
排気口周りを調べても原因が見つからない場合、意外に離れた場所に問題があることも多い。
離れた上の外壁ひび割れやサッシのコーキング割れ、あるいは上階とのジョイント割れなどから雨水が浸入し、外壁内を伝わって換気扇まで届いてくるケースだ。
特に外壁の内側に通気層という空間が設けられている工法では、割れから浸入した雨水がそのまま流れ落ちて来るため、下に換気扇のダクトがあれば雨漏りの危険性は当然高くなるだろう。
ただこれらの原因は知識と経験を備えた専門業者でも、しっかりと調べなければなかなか発見できない。
初期段階で雨漏りの原因が特定できない場合は、この後ご紹介する専門的な調査で原因を特定することをお勧めする。
原因不明な場合の雨漏り調査と費用
雨漏りは雨が降るたびに被害が広がり一刻も早く直したいものだが、原因がなかなかわからなかったり、修理をしても度々再発することは珍しくない。
この場合は専門業者に依頼をして原因を徹底的に調査してもらうことをお勧めする。
本格的な調査なら原因だけでなく、壁内や天井裏など他の部分へ被害が広がっていないかも確認出来る。
ここでは具体的な調査方法と費用相場をあげておくので、今後の建物の安心のためにもぜひ依頼をして雨漏りを根絶して欲しい。
目視調査
費用:無料
目で見える範囲での調査になるが、知識と経験のある人間が行う場合は点検ポイントが多岐に渡り、原因を特定できることも十分可能である。
依頼から素早く対応できることがメリットで、緊急性の高い雨漏りでは特に有効な方法である。
一方で表面的な確認になるので深い部分に原因があると特定が難しく、また内部被害を発見するにはこの後触れる方法に譲ることになる。
散水調査
費用:5万円〜
雨漏りの入口と思われる場所に水をかけ、雨漏り発生場所から漏れてくるかを確認する方法で、原始的であるが確実性は高い。
しかし水をかけてから漏れてくるまでに時差があったり、原因と思われる場所が複数に渡る場合は非常に時間がかかるため、作業が単純に見えても料金は高めな業者も多い。
ただ目視もそうだが「入口が複数ないか」や「他の場所にも漏れ出ていないか」などをしっかり調査しようと思えば時間がかかるのは当然とも言える。
一概に費用が高めな業者を敬遠せず、調査内容をしっかり確認してから依頼先を判断するようにしたい。
発光液調査
費用:10万円〜
紫外線を当てると発光する調査液を入口と思われる場所から流し込み、漏れ出てきた水に紫外線を当て発光するかどうかで原因場所を特定する方法だ。
発光する色は何種類かあるので入口が複数疑われる場合に色を変えながら調査したり、雨漏りしている最中で濡れている状態でも調査が可能などメリットは多い。
ただしこちらも丁寧に調査をしようとすると時間がかかるので、その点は承知しておいたほうが良いだろう。
サーモグラフィー調査
費用:20万円〜
入口と思われる場所から水を流し、温度を色で表示できるサーモグラフカメラを使って原因箇所を突き止めていく方法だ。
水は温度が低いので建物内部を通ってもその軌跡がカメラに映るため、原因箇所だけでなく通り道まで確認できる非常に優れた調査方法だ。
途中で分岐して他の場所へ雨水が流れていたり、建物内部へ留まってしまっていることもわかるので、新たな被害の発見や予防にも役立つ。
専用の機材や専門的な知識を持った業者への依頼となるため費用は安くないが、なかなか雨漏りが止まらず何度も調査や修理を重ねるようなら、結局は安上がりになるかもしれない。
換気扇雨漏りの修理とポイントを解説
ここでは具体的な換気扇雨漏りの修理方法やそのポイントを解説したい。
中にはコーキングのように安全が確保できればDIYが可能な部分もある。
しかし雨漏りは壁内など建物の内部へ浸入している可能性が十分にあり、それを確認、修理するのは専門業者でないと難しい。
DIYはあくまで応急処置と考え、建物の長期的な安全の為にぜひ専門業者へ修理と点検を依頼して欲しい。
排気口周りのコーキング打ち直し
コーキング割れの修理は既存をしっかり剥がした上でマスキングテープの養生を行い、必要があればプライマーを塗り新たなコーキングを打ち直す。
場所が1階であれば安全に行う事ができ道具も入手しやすいので、DIYでの応急処置は可能だろう。
ただし既存のコーキングの割れの上に上塗りをしてしまう「増し打ち」は避けて頂きたい。
手間はかからないが短期間で取れてしまう可能性が高く、プロは例外を除いて「増し打ち」ではなく既存のコーキングを撤去し新たなコーキングを打つ「打ち直し」で修理を行う。
もしDIYで応急処置をする場合は、長期的な安心のために必ず打ち直しで行うようにしよう。
外壁補修
外壁のひび割れも小さければコーキングを打ち、その上から外壁と似た色で塗装を行って修理を行う。
ただし上塗り塗装はどうしても既存の外壁と色が変わってしまうので、専門業者に範囲や色を確認しながら修理を進めるようにしよう。
もし他にもひび割れがあり、外壁の防水機能が失われているようなら、建物全体の塗装を検討しても良いだろう。
修理で足場が必要なら同時に行った方が費用を抑えられる上に、ひび割れの上塗りも色違いにならずきれいに仕上がるだろう。
フード交換
樹脂のフードが劣化で割れている場合はアルミなどの耐久性のあるものへの交換がお勧めだ。
ネットショップで様々なサイズ、形状のものを見つけられるので自分で対応しやすい。
防水テープなどで一時的な補修が出来なくもないが、樹脂製フードは全体が硬化するので今後も割れていくことが考えられるからだ。
また交換ならコーキングも打ち直しとなるので長い目で見ても安心できるだろう。
ただ年式が古いと純正部品の在庫が無く代替え品での交換になり、外壁や下地の加工が必要になると費用も高目になる。
この場合はフードだけでなく換気扇本体を内部に風雨の入り込みにくい製品へ変えるのも良いだろう。
施工不良の解消
ダクトの勾配が取れていない施工不良は、販売会社や工事を行った業者に至急連絡を取り対処してもらおう。
少しの調整で直る場合もあれば、ダクトの交換や排気口の改修など方法はケースバイケースだが、ポイントは勾配が取れていない部分だけでなく換気扇全体を点検してもらうことが重要だ。
天井裏を通るような長いダクトの場合は途中で雨水が溜まっている可能性もあり、見過ごすとカビの原因になり、二次被害が発生しかねない。
また該当の換気扇だけでなく他の換気扇も施工不良などが無いか併せて確認してもらおう。
ただし施工会社の保証や、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に該当するかなど、費用の点は最初の連絡の際に確認しておくことをお勧めする。
年数が経過している、又は中古で購入している建物は、例え施工不良でも有償となってしまう場合があるので注意しよう。
換気扇の入れ替え
フードの項でも触れたが古い換気扇の場合は交換を視野に入れても良いだろう。
今回部分的な修理を行っても、モーターの劣化やシャッターの閉まりが悪くなるなど、今後別の箇所が故障する可能性は十分にある。
細々と修理をしていると結局は交換と大差ない金額になることもあるので、一度交換の見積りを取って検討してみるのも良いだろう。
最近のシロッコファンなら風雨の浸入対策にもなる上に、静音設計により音も静かで消費電力が低くなっている。
修理より費用は上がるがメリットは大きく、雨漏りや故障の心配からも開放されるのでお勧めである。
火災保険を利用して自己負担を抑える
雨漏りはその修理だけでなく内部被害も加われば多額の費用が必要となり、しかも突然発生するため家計にとっては非常に痛い出費となるだろう。
ここでぜひ検討して頂きたいのが、火災保険を利用して修理費の自己負担分を減らす方法だ。
火災保険で雨漏りの修理費を補償と言うとピンとこない方も多いと思うが、自宅で加入している火災保険に付加されている特約に対象のものがあれば利用できるのである。
ここではその保険について注意点や実際の手続きについて解説したい。
利用できる火災保険とは
雨漏り修理で利用できる可能性がある火災保険の特約は、台風や大雪、竜巻や雹などの自然災害による建物の損傷を補償するものである。
この特約が付加されていれば自然災害が原因で発生した損傷による雨漏りの修理費や、家財も対象の内容になっていれば家具や家電の修理費などが補償される可能性が出てくる。
ただしこれはどの火災保険にも付加されているものではないし、修理範囲や金額などに条件があることも多い。
ぜひ一度お手元の証券や契約時の書類や保険会社への問い合わせなどで確認して欲しい。
保険が下りないケース
これらの特約はあくまで自然災害による損傷が原因となった場合に限られるので、経年劣化や施工不良に原因がある場合は補償の対象にはならない。
また今回の発生原因が以前にも保険を利用して修理されていた場合、適正に修理しなかったと判断されて補償されないケースもある。
実際は換気扇まわりが自然災害によって損傷し雨漏りとなるケースは屋根やバルコニーに比べて少ないため、保険利用の際は何が原因で雨漏りが発生したのかをきちんと究明することが重要になる。
そのため安易に自己判断せず、まずは調査と火災保険の申請の実績が豊富な専門業者に相談すると良いだろう。
具体的な申請手順
1.保険会社に連絡を入れて自然災害による被害補償の特約を使いたい旨を伝え、申請に必要な書類などを送ってもらう。
2.申請書類に必要事項を記入し、原因や被害を伝える状況報告書を写真などを交え作成の上、修理の見積りと共に送付する。
3.保険会社から派遣される損害鑑定人の調査に立ち会い、雨漏りの原因や被害の状況、修理の詳細などを説明する。
4.保険会社が申請書や状況報告書、鑑定人の報告などを元に、補償が妥当かとその範囲や金額などの審査を行う。
5.保険会社から保険適用の可否と金額などの連絡があり、修理に取りかかる事ができる。
申請する上でのポイント
保険を申請する上でのポイントは状況報告書を的確に作成し、保険会社に被害や原因をしっかりと伝えることにある。
ここが不十分だと保険の適用外と判断されてしまい、せっかく保険が適用されるべき被害なのに補償されない事も十分に考えられる。
ここは保険の申請経験の豊富な専門業者に、見積もり作成段階から相談をすることがお勧めだ。
ただしどんな工事業者でも普段から申請を行っている訳ではないので注意しよう。
普段は工事のみを専門で行っている業者も多く、申請に不慣れだとせっかく依頼したのに保険を利用できなかった、ということになりかねない。
やはり実績がどれくらいあるか確認した上で依頼するようにしたい。
まとめ
換気扇の雨漏りは壁内へ浸水することで骨組みが腐食したり、漏電によって火災に及ぶなど、被害が想像以上に深刻になる危険性を持っている。
しかし換気扇の大まかな造りと代表的な雨漏り原因を知ることで、早期発見と素早い対応が可能になり被害を最小限に食い止めることが出来るだろう。
ただし雨漏りは表面的な対処だけでは隠れた部分の被害を解消できない。
もし発生した場合は必ず専門業者に修理や調査を依頼するようにしよう。
実績の豊富な専門業者へ依頼すれば火災保険の利用で修理の自己負担を減らせる可能性もある。
しっかりと原因を究明し再発しないようしっかりと修理をして頂きたい。
建築に関わる専門知識、経験を活かし、建築や内装に関わる「ヒト」「モノ」「サービス」を効率的かつ有効に結びつけるため、建築関連のオウンドメディアを運営。その他WEBコンサルティング事業、コンテンツ販売事業を展開。ホームページはこちらより。