モルタル外壁から雨漏り?その危険性と補修方法を徹底解説!

モルタル外壁から雨漏り?その危険性と補修方法を徹底解説!

遮熱性や耐久性に優れたモルタル外壁は、独特の風合いから多くのファンを持つ外壁材だ。

しかしひび割れしやすい性質や構造的な問題から、外壁側からの雨漏りが発生しやすい一面を持つ。

室内の壁面に現れた雨漏りは内装だけでなくその周辺の家財などにも被害を及ぼし、さらには長期化しやすいという実は天井の雨漏りよりも非常に厄介な住宅トラブルだ。

ただし今回建築のプロである一級建築士がご紹介する外壁材としての特徴や補修方法は、モルタル外壁からの雨漏り防止にきっと役立ててもらえるだろう。

また最後には万一被害に遭ってしまった際に、火災保険を利用して修理費用の自己負担を減らすテクニックも解説しているので、ぜひ活用してもらいたい。

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この記事読むことで理解できること

外壁からの雨漏り7つの被害

外壁からの雨漏り7つの被害

雨漏りというと一般的には天井から落ちてくるイメージが強いと思うが、外壁の損傷から部屋の内壁に発生するケースもあり、実は被害範囲が広いという特徴を持つ。

室内に広がれば家具や家電が被害に見舞われるし、隙間の無い壁内で水が溜まるので構造体の被害も深刻である。

その恐ろしい壁雨漏りの被害はどのようなものか、改めて見ておこう。

 

クロスの染み剥がれ

クロスの染み剥がれ

まず室内では壁クロスの被害が最初に目につくだろう。

雨水が染みるとふやけ、乾くにつれてさらに変形や変色を起こす。

しかも壁の中に残った湿気が修理を終えてから数週間、あるいは数ヶ月後に現れることさえある。

またクロスの修理は被害を受けた部分だけを張り替える訳にはいかず、ある程度の大きな面で張り替えるので予想以上に高額になることもある。

 

下地ボードの崩れ

クロスの下地になっている石膏ボードは水濡れに非常に弱く、変形したり最悪の場合崩れることさえある。

この状態だとクロスを貼れないばかりか、本来の役目である防火性能も損なわれてしまうだろう。

またクロスと同様に一部だけ張り替えることが難しいので、比較的大きな面での工事になる。

さらにクロス業者、大工と2業者の工事になるので高額になる上に工事日数もかかるであろう。

 

京壁の染み

京壁の染み

 

京壁に雨漏りの染みがついた場合はその壁面を塗り直すしかないのだが、どんなに熟練の職人が施工しても元の京壁とは色が違ってしまう。

依頼主の希望で最初は染みの出来た壁面だけ塗り替えてみたものの、結局は色の違いが気になってしまい全面塗り替えとなることが実に多い。

当然だが一部屋全面塗り替えとなるとだいぶ高い出費となってしまうだろう。

また京壁の場合も下地ボードが変形があればその交換も必要になるので、さらに修理費用はプラスになってしまうだろう。

 

和室白木造作材の染み

和室白木造作材の染み

和室の檜柱や白木の造作材、敷居や鴨居、回り縁などが染みになってしまうとかなり深刻だ。

無垢材で出来ているならカンナである程度削れるが、染みが深いと完全には取りきれない。

またデザイン性でモルタル外壁を取り入れているようなここ15年以内の住宅は、その造作材が集成材である場合が多く削りすらかけられないので修復は困難だ。

取り外して交換などは想像以上の大工事になり金額も現実的ではないし、塗装や上貼りで直す手もあるが、風合いが変わる上にかなり貧相な仕上がりなのでお勧めできない。

実質元に復帰させるのが最も難しい被害となるだろう。

 

コンセントの漏電

コンセントの漏電

壁からの雨漏りでは壁面にあるコンセントやスイッチへ雨水が入り込み、漏電を起こす危険性がある。

漏電すると分電盤の漏電遮断機が作動するが、壁内の湿気が解消されなければ何度も落ちることになり、家電やパソコン機器の故障にも繋がりかねない。

築年数が経っていて万一漏電遮断機が故障でもしていれば火災発生の危険性もあり、壁の中という隠れた場所では発見が遅れ大きな被害になりかねないので注意が必要だ。

 

壁内の腐食やカビ、シロアリの発生

壁内の腐食やカビ、シロアリの発生

わずかな隙間を伝い横方向へどんどん広がって行く。

壁内の木材やコンクリート、断熱材などがたっぷりと湿気を吸う事になり、室内側の修理が完了したからと言って十分に乾燥させないうちに壁を戻してしまうと、壁内に大量の湿気が残ってしまう。

この湿気は部材の腐れや錆を発生させるだけでなく、カビやシロアリの温床にもなっていくだろう。

こうした隠れた被害は徐々に建物をむしばみ、いずれは耐震性や耐久性が失われるという建物としては致命的な状態に繋がっていく。

 

家具家電の被害

家具家電の被害

壁からの雨漏りは建物だけでなく、その周辺にある家具に染みを作ったり変形させてしまうこともあるだろう。

また部屋にある家電が濡れてしまえば故障の原因となり、特にテレビ周りの高額なものが買い替えとなるとかなり手痛い出費だ。

またパソコンやその周辺機器は故障だけでなくデータを失うこともあり、大切なものなら金銭以上のダメージになるだろう。

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モルタルとはどんな外壁なのか?

モルタルとはどんな外壁なのか?

モルタル外壁とは砂とセメントを水で混ぜたモルタルを塗り固めた外壁である。

特に左官仕上げと呼ばれるコテの塗り跡を意図的に残した表面処理が人気で、モルタル外壁イコール左官仕上げと考えている一般ユーザーも多いほどだ。

このどこか懐かしくまたリゾート風の味わいを感じさせてくれる仕上がりは、一時の流行感は大分収まったが、女性を中心に根強いファンが多い。

ここでは外壁材としての特徴や採用した場合のメリット・デメリット、施工上で注意したいポイントなどをご紹介しよう。

 

材質と特徴

材質と特徴

前述の通り材質はセメントと砂で形成されており、しっかりした仕上げ材で表面処理を行なえば高い耐久性と遮熱性を兼ね備えた外壁材になる。

施工方法は建物の防水層の上にラス網と呼ばれる金網下地を取付けそこにモルタルを塗り、その上にメッシュネットなどを挟んで仕上げ材を塗るのだが、この仕上げ材によって建物の表情が様々に変化する。

また外壁だけでなく内装やレンガやブロックの目地、タイルの下地など非常に応用の幅が広い材料にもなっている。

同じセメントを主原料とする材料にコンクリートがある。

基礎やRC造に使われるコンクリートだが、モルタルとどう違うのか見た目は似ているため判別しにくいかもしれない。

モルタルとコンクリートは調合される材料が多少異なる。

モルタルはセメント、砂(細骨材:直径が5mm以下のもの)、水を混ぜ合わせたもの。

コンクリートは砂、砂利(粗骨材:直径5mm以上のもの)、水を混ぜ合わせたものだ。

コンクリートは砂利も含まれているため荒さがある。

強度はセメント比率の高いモルタルの方が優れているが、ひび割れも起こしやすいのが弱点だ。

コンクリートはひび割れしにくい特徴があり、柱や梁、基礎などの構造体に使われる。

モルタルとコンクリートは同じセメントを主原料とする材料ではあるが、調合されているものが違い特徴も異なるということを押さえておこう。

 

メリット・デメリット

メリット・デメリット

まず大きなメリットはその施工性の良さが挙げられる。

練り物である上に現場成形なので、建物の様々な場所の形状に合わせて施工が可能で、しかも細かいニュアンスまで表面の仕上がり具合を指定できる。

また密度が高い材料なので優れた遮音性や遮熱性を併せ持った外壁材でもある。

一方でデメリットはヒビ割れであり、これは材質の宿命とも言える。

仕上げ材の進化で以前より大分抑えられてはいるが残念ながらゼロという訳にはいかず、採用する際はその対策やアフターケアをチェックすると良いだろう。

さらには他の外壁材に比べ手作業が多く施行に時間が必要で、仕上がりが職人の腕や丁寧さに左右されるので、ゆとりを持って工事を計画することが非常に大切だ。

 

モルタル外壁の仕上げ種類

モルタル外壁の仕上げ種類

モルタル外壁には様々な模様がつけられている高い意匠性が特徴的だ。

同じモルタル外壁でも模様が違うため、どれも個性のある仕上がりとなっているのが多い。

モルタル外壁の模様はスプレーガンを使用した吹付塗装でつけているものと、コテ塗りやハケで模様をつけているものがある。

一般的に多いのは吹付塗装だ。

吹付塗装には、塗料に骨材を混ぜ合わせて吹き付けるスタッコ、細かい砂と塗料を混ぜ合わせたリシン、塗料を玉状に吹き付けて仕上げるタイル、などがある。

コテ塗りは左官職人による施工方法で、コテやハケなどの道具を使って模様づけする。

高い技術力が必要であり、センスも影響するため職人の腕が試される仕上げ方法だ。

このようにモルタル外壁は建物によって模様の仕上げ方に違いがあり、基本的にリフォーム時は既存の模様と同じように仕上げるため、なぜその仕上げ方になるのか理解するためにも施工法を知っておくことをおすすめする。

 

雨漏りの犯人はどれ?モルタル劣化の種類を解説

雨漏りの犯人はどれ?モルタル劣化の種類を解説

雨漏りに繋がる危険性のある代表的なモルタル劣化を解説しよう。

ぜひご住宅の外壁をチェックして頂き、もし発見したなら早急に対処をして頂きたい。

「まだ大丈夫だろう」と先延ばしにしてしまうと非常に危険であり、大抵は数年はそのまま放置してしまい、次に外壁を点検するころには大きな損傷が発生している可能性がある。

確かに即雨漏りに繋がらないものもあるが、被害を最小限にするためには軽度な損傷のうちに対応することが重要である。

 

ひび割れ

ひび割れ

モルタル外壁ではひび割れ最も多く現れる劣化だろう。

経年劣化はもちろん地震や大きな車両が通っても発生するし、築年数が浅くても材料の乾燥と共に現れる事も珍しくない。

ひび割れはモルタル外壁にとって切っても切れない現象だが、その種類によって雨漏りの可能性や対処法も違うので、それぞれについて解説したい。

 

ヘアクラック

ヘアクラック

ヘアクラックはその名の通り髪の毛ほどの細さで幅が0.3mm以下のひび割れだ。

仕上げ材が乾燥する過程で現れるもので、ほとんどが深さも浅く下のモルタルにまでは届いていないので構造上の損傷の心配は少ない。

ただ発生箇所が多いようなら施工時の不良も考えられるので、その場合は専門業者に診断だけでもしてもらうと良いだろう。

 

構造クラック

構造クラック

構造クラックはモルタル下の構造体に地震や沈下などで大きな力が加わると発生する。

幅0.3mm以上、深さ4mm以上のひび割れで別名貫通クラックとも呼ばれ、仕上げ材下のモルタルやその奥の下地まで割れていることも少なくない。

雨水が浸入すれば雨漏りに繋がるばかりか、モルタルの崩れ、下地の腐食などを引き起こし壁の欠落にもなりかねない。

早急に専門業者に連絡を取り、深刻な被害になる前に対処をして頂きたい損傷だ。

 

色あせ

色あせ

色あせは紫外線によって仕上げ材の塗料の色素が分解されることで発生し劣化の始まりと言えるだろう。

すぐに仕上げ材が損傷し雨水が侵入する訳ではないが、徐々にひび割れなどが発生し症状は進行していく。

仕上げ材が割れて下のモルタルへ雨水が侵入するようになると、雨漏りの危険性は一気に高まるので軽症なうちに対策を講じたいところだ。

 

コケ・藻

コケ・藻

コケや藻は家の北側など日があまり当たらず乾燥しにくい外壁面に発生し、建物の美観を損ない一気に古びた建物のようにしてしまう。

直接外壁を痛めることはないが、苔や藻が発生するということは継続的に湿気が溜まる状態であり、その面の防水機能が失われていることを意味している。

こうなると仕上げ材からモルタルへの浸水が起きるまでは非常に速く、見た目の問題だけだと軽視してはいけない。

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剥がれ・浮き

剥がれ

まだ築年数が浅いのに仕上げ材が剥離を起こしているケースがあるが、これは左官仕上げが非常に流行した時代に、工事経験があまり無い業者による施工不良の可能性が高い。

下塗り材が足りなかったり乾燥が不十分なまま仕上げをしてしまったりと、十分な手間をかけずに施工してしまうと起きてしまう。

放っておくと下地のモルタルが雨に晒され、あっという間に痛んでしまうので早急に補修を行った方が良いだろう。

剥がれに似た現象として塗膜の浮きもある。

モルタル外壁は塗装で仕上げられていることが多くクラックや塗膜の防水性の低下が見られると水が壁内に侵入して塗膜を浮かせてしまう。

外壁に風船のような膨れができたり、外壁を叩いた時に鈍い音がしたりすると塗膜が浮いている可能性があるため、このような症状が見られる場合は専門業者に状態を見てもらうことをおすすめする。

 

ビス・釘の穴

ビス・釘の穴

外壁には雨樋や配管類を固定する金具など様々な付帯物が取り付けられている。

こういったものを固定する際は外壁にビスや釘が打ち付けられているのだが、打ち付けたところと外壁の取り合い部はわずかだが隙間ができる。

こういった隙間からも水が入るため注意しなければならない。

また、外壁に取り付けられていたものを撤去した際はビス穴が残るのだが、たまにこのビス穴をそのままにしてある建物があり、当然穴があいているため水が入ってきてしまう。

もし、何かを固定する際、外壁にビスや釘が打たれている場合は、しっかり防水処理をしておくことを忘れないでおこう。

 

雨だれ

雨だれ

雨だれとは外壁に水が垂れた跡が残ってしまう症状のことだ。

建物には埃や排気ガスなどの汚れが付着しており、雨が降った時に汚れも一緒に流れて跡が外壁についてしまう。

塗装がまだ新しい時は撥水性があり汚れは付着しにくいが、経年劣化することで汚れがつきやすくなり雨だれとして目に見えて跡が残ってしまう。

特に外壁が白い場合は汚れも目立ちやすくなるため、トーンを抑えた色で塗装するか、耐汚染性のある塗料を選ぶなどの対策が大切だ。

 

劣化原因とそのままの状態で放置する危険性

劣化原因とそのままの状態で放置する危険性

モルタルは残念ながら永続的な材料ではなく経年劣化を起こす。

劣化することでモルタルの強度は低下するため建物の耐震性にも影響し、劣化した状態を放置するのは非常に危険である。

モルタルはひび割れを起こしやすいという特徴もあるため構造クラックを起こしている場合は、必ず専門業者に状態を見てもらい適切な補修をしてもらうことだ。

地震大国である日本は、建物の耐震性の低下は非常に危惧すべきものである。

衝撃を受けた時もモルタルはひび割れしてしまうこともあり、そのひび割れから水が侵入することも懸念しなければならない。

屋内への水の侵入は構造体の腐食の他にシロアリ被害の要因ともなる。

シロアリは木を好み、柱や土台などを食い荒らしてしまう。

気がついた時には柱がスカスカの状態になってしまう事例もあるため、劣化した状態を放置しないことが重要だ。

 

モルタル外壁特有の危険とは?

モルタルに限らず外壁の損傷から雨漏りが起きるかどうかは、表面の仕上げ材とそのメンテナンスが大きく影響する。

ところがモルタル外壁はこれ以外にその素材故の事情で、外壁の劣化から雨漏りが発生しやすい外壁であると言える。

ここではモルタル外壁が持ついくつかの構造的な問題について検証したい。

 

外壁内の構造と重要な通気層

外壁内の構造と重要な通気層

 

現在の住宅の多くは通気層という、外壁と防水シートで覆われた建物構造体の間に数センチの空間が設けられた造りになっている。

この通気層が壁内でカビや腐食の原因となる湿気を外へ逃がしてくれるため、およそ20年前から施工されるようになり、築15年未満の住宅においてはかなりの割合で取り入れられている。

実はこれが外壁からの雨漏り対策においても有効で、損傷などで外壁から雨水が浸入してもこの通気層を通って下に落ちて行き、建物本体には届かないというメリットが生まれている。

 

モルタル独特の問題

しかしモルタル外壁の建物では必ずしも積極的に取り入れられてきたとは言いがたい。

もともと外壁通気工法は非常に手間がかかる上に、モルタル外壁の場合は凹凸部ジョイントの納めなどの問題から、綿密な下準備と豊富な現場経験が必要になってくる。

さらにモルタル外壁は一般的なサイディングよりも重いため、固定する為の胴縁を増やす必要があり、この点でも手間と材料費がかかるのだ。

ただでさえモルタル外壁は時間がかかるのに通気工法まで行なうとなると、大きくコストアップになってしまうためあまり採用されていないのが実情だ。

しかしモルタル外壁からの雨漏りの可能性はこの点に大きく左右されるので、自宅がどのように施工されているか必ず確認するようにしよう。

○通気層無しのモルタル外壁施工

○通気層無しのモルタル外壁施工

○通気層ありのモルタル外壁施工

○通気層ありのモルタル外壁施工

 

ラス網と錆の危険性

ラス網と錆の危険性

モルタル外壁の下地には建物に固定させるためのラス網と呼ばれる金網が貼られており、外壁の損傷から雨水が浸入するとこれが錆びてしまう恐れがある。

モルタル外壁は特に重量がある外壁なので、錆で腐食し破損すれば崩落にも繋がるため大変危険だ。

外壁の損傷は表面だけでなく内部の損傷、ラス網の錆なども専門業者に確認してもらうようにしよう。

 

サッシやドア周りはひび割れしやすい

サッシやドア周りはひび割れしやすい

サッシやドアなどの開口部周りはモルタルのひび割れが起きやすく、雨漏りも非常に発生するケースが多いので注意が必要だ。

開口部のアルミ枠はモルタルとの付着性が悪いため、外壁とサッシの取り合いはコーキングを充填して防水されている。

モルタル自体にひび割れが起きてしまうと、そこから水が侵入してくるため、クラックが見られる場合は補修をしていくことが重要だ。

また、交通量が多く大きな道路に面している建物の場合は振動が伝わってくるため、これもモルタルのひび割れの原因となる。

 

建物に安心な補修方法とモルタル外壁に使える補修材

建物の為に安心な補修方法とは?

外壁からの雨漏りを防ぐには一番表側の仕上げ材の劣化、損傷を早期に発見しメンテナンスによって進行させないことが重要だ。

しっかり手を加えれば、どんな外壁材でも壁内に雨水が浸入するのを防ぐことは可能なのだ。

ここではその表面にある仕上げ材のメンテナンス方法をお伝えしよう。

 

防水処理

ヘアークラックなどの軽微なひび割れの場合は、それ以上割れが進行しない為と水の浸入を防ぐ意味で住宅用の防水スプレーなどを吹いてあげると良いだろう。

クリア色のものであれば目立たないしDIYとしても扱いやすい。

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コーキング

コーキング

モルタル外壁の深いひび割れ=構造クラックをコーキングで補修するのは残念ながらDIYでは難しい。

コーキングが定着しやすいように、専用グラインダーで断面を加工する必要があるからだ。

構造クラックの補修方法はクラックしているところをUカットまたはVカットする。

部分的に外壁を削った後はシーリング剤が定着するように、入念に充填箇所の掃除を行い、プライマーを塗布する。

プライマー塗布後はシーリング剤を充填、硬化後フィラーで外壁を調整し塗装を行って仕上げる。

ここまでの作業をDIYで行うのは難しく、加工には専門的な知識と経験が必要で、安易に手を出してしまうと逆に傷口を広げてしまいかねない。

もし運良くコーキングができたとしても、今度は仕上げ塗りの色違いの問題が出てくる。

年数の経った既存の外壁と同じ色に仕上げることは専門業者でさえ不可能であり、DIYではせっかくの味わいある外壁を台無しにしてしまうかもしれない。

構造クラックの補修を依頼するとmあたり約1,000〜4,000円、または手間分として1〜3万円ほどかかってしまうが、仕上げ材の下にあるモルタルの損傷チェックも行いたいので、専門業者に初めから任せた方が賢明だろう。

また、外壁にビス穴がそのまま残っている場合は、水の侵入口とならないようにコーキングで塞いでおくことが大切だ。

穴が空いたままだと、水が入り木材を腐食させてしまうばかりかシロアリ被害を被る恐れがある。

外壁にコーキングを充填する際は、塗装のことも考慮して変性タイプのコーキングを使用することをおすすめする。

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塗装

塗装

塗装は最も確実に外壁の寿命を延ばし損傷を防いでくれるので、定期的に行なって頂きたいメンテナンスである。

新築時の塗料にもよるが築10年を越えた建物なら、防水機能が失われている可能性が十分にあるためぜひ検討してもらいたい。

同時にひび割れ補修も行ないその上から塗装をかければ、部分補修のように色が変わることも避けられるので風合いも損なわれない。

左官仕上げの悩みのタネである汚れも解消されるなど良い事ずくめだが、後述で解説するモルタル外壁の特徴に合わせた塗料で施工することが非常に大切である。

 

室内の壁紙や石膏ボードのひび割れ原因と補修方法

室内の壁紙や石膏ボードのひび割れ原因と補修方法

雨漏りにより室内の壁紙や下地の石膏ボードを痛めてしまうことがある。

これらの損傷は雨漏りの他にも経年劣化や振動など多岐にわたるが、雨染みが出ている場合は雨漏りを起こしている可能性があるので早急に対処することが肝要だ。

壁紙のひび割れは主に経年劣化によりジョイント部分が反ってしまうことが多いが、下地の石膏ボードが割れている場合も起きる。

石膏ボードが割れている場合、そこが耐力壁として計算されているかで構造上問題があるか判断が分かれる。

損傷状態や設計上その壁が数値としてどれくらい影響するかで対処が変わってくるため、専門業者に見てもらうことが賢明だ。

石膏ボードの割れを補修するには部分的に解体するか、損傷部分の石膏ボード1枚分を張り替えるかで分かれる。

どちらもクロスを痛めてしまうため、部分的にクロスを貼り替えるよりも部屋全体のクロスを貼り替えた方が仕上がりもいいのでこちらをおすすめしたい。

 

DIYでできること

費用を節約したいと考えている方はDIYで行うことを検討されるかもしれないが、もし行う場合は応急処置で留めておくことが無難だ。

防水や構造に少しでも関わる損傷の場合は専門業者に見てもらうことをおすすめしたい。

コーキングを打つ作業自体はそう難しくはないが、DIYの場合だと仕上がりが完璧であるか判断が難しい。

水はわずかな隙間からでも入るということを考慮すると、DIYで応急処置を行い被害の広がりを食い止め、その後に専門業者に見てもらうことが最善の対応だ。

 

業者に依頼した場合とDIYで行う場合の補修費用

ここでは業者に依頼した場合とDIYで行う場合の補修費用についてお伝えしたい。

費用相場は以下の表にまとめたのでチェックして欲しい。

業者に依頼した場合DIYで行う場合
・ひび割れ補修:1,000〜4,000円/mまたは1〜3万円/日ほど

 

・浮きや剥がれの補修(全塗装込み):100万円〜

コーキング剤:500円〜/本

コーキングガン:200円〜

マスキングテープ:200円〜

プライマー:600円〜

ヘラ:400円〜

カッター:500円〜

防水スプレー:約1,000円

 

DIYの場合は材料費のみのため2,000円ほどで材料を揃えることができ、業者に依頼するよりも費用は安い。

だが、前述した通りDIYは応急処置で留めておくことが無難だ。

外壁の浮きや剥がれがある場合は、一度損傷箇所を剥がし、補修した後に塗装をするため、費用は100万円を超える。

建物の大きさにより費用は変動し、足場の設置も必要だが、浮きや剥がれは防水面で直しておかなければならない損傷のため、症状が確認できた際は業者に依頼して直してもらおう。

 

モルタル外壁にお勧めの塗装と選ぶ上でのポイント

モルタル外壁にお勧めの塗装と選ぶ上でのポイント

メンテナンスとして塗装する場合に使う塗料は、仕上げ材のメーカー推奨塗料があればできる限りその指定品を使用する方が良いだろう。

しかしそれが複数ある場合や推奨自体が無い場合は、ここでご紹介する塗料を参考にモルタル外壁に適したものを選んで頂きたい。

 

シリコン塗料

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現代では最も広く使われている塗料で、値段と耐用年数(10〜15年)のバランスも良く商品数も多い。

モルタル外壁に塗装する場合は動きの多い外壁材なので伸縮性のある弾性塗料を選ぶようにしよう。

また艶ありを選んでしまうとかなり風合いが変わってしまうのだが、やみくもに艶無しを選ぶと今度は汚れが落ちにくくなる。

艶の度合いは変えられるので、いくつかのパターンを塗った見本を見ながら、艶と風合いの丁度良いバランスを業者と相談しよう。

 

フッ素塗料

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フッ素は若干コストアップはするが耐用年数が概ね15年〜20年と、高い耐久性を誇る塗料である。

さらにシリコンより防汚性能が高い塗料なので、なるべく艶の無い風合いにしながら汚れを付きにくくしたいならフッ素はうってつけだ。

注意点はシリコンよりも硬めな塗料なので、ひび割れ対策に必ず弾性のものを選ぶようにしよう。

 

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もともとモルタル外壁は遮熱効果が高い外壁材だが、日当たりの良い立地で夏の暑さをさらに抑えたいなら遮熱塗料もお勧めだ。

塗装すると夏の室内温度を2〜3度程度下げることができる塗料で、数字では小さく感じるかもしれないが体感では意外に大きな違いになる。

こちらもモルタル外壁の仕上げ材に塗装する場合は弾性の塗料を選ぶようにしよう。

ただし耐用年数はフッ素と同程度だが価格は3〜4割増しと高めなので、本当に熱さに悩んでいる方向けと言えるだろう。

 

注意したい塗料

一方でアクリル、ウレタン塗料などは安価だが、耐久性が低く住宅には適さないので注意して頂きたい。

特に飛び込み業者などは金額で目を引くために使うが、耐用年数が10年未満と非常に短く例え安かったとしても割に合わないだろう。

まともな業者であれば決して住宅に使う塗料ではないので、見積りに記載された商品名から種類を必ず確認するようにしよう。

 

劣化サイン

劣化サイン

塗料の性能により異なるが、塗装サイクルは10年が目安となっている。

10年ほど経ってくると劣化症状が出てくるので、一度状態を専門業者に見てもらおう。

塗装の劣化症状にはいくつかあり、主に見られるのはチョーキング現象、カビや苔、汚れの付着、塗膜の膨れ、塗膜のひび割れだ。

チョーキング現象とは塗料の樹脂成分が劣化し、顔料が白い粉として現れる現象のことをいい、壁を触ると白い粉が手に付着する特徴がある。

チョーキングの他にもカビや苔などが付着しやすくなると塗料の耐汚染性の低下も考えられるため、全体的に性能が落ちている可能性がある。

塗膜のひび割れや浮き、剥がれは壁内に水が入る恐れがあるため早めに対処することが大切だ。

塗装が劣化するサインはいくつもの症状として現れてくるため、上述した症状が出ていないか日頃から確認しておくことをおすすめしたい。

 

メンテナンス費用

塗装は選定する塗料の種類により費用が異なる。

以下の表に塗料の種類ごとの費用をのせているので参考にしていただきたい。

塗料の種類費用相場耐用年数
アクリル1,000〜1,800/m3〜8年
ウレタン1,700〜2,500/m5〜10年
シリコン2,300〜3,500/m7〜15年
フッ素3,500〜4,800/m15〜20年
ラジカル制御式2,200〜4,000/m8〜16年
光触媒3,800〜5,500/m10〜20年

主流になっているのはシリコン塗料だ。

以前はウレタン塗料が主流であったが、だんだんシリコン塗料のコストが下がり、今はシリコンが主流となった。

また、塗料の劣化因子(ラジカル)を抑制するラジカル塗料もあり、フッ素塗料に並ぶ高耐候性を持っているので、コストとのバランスを考えると、こちらもおすすめできる塗料だ。

 

壁から雨染み?雨漏りの対処方法と応急処置

壁から雨染み?雨漏りの対処方法と応急処置

雨漏りは天井や壁から水が滴り落ちてくるため、床を濡らしてしまい生活に支障をきたす。

もし、和室で雨漏りしてしまった場合は、畳が濡れてしまって跡が残ってしまったり、カビが生えてしまったりするため早めに対処したい。

ここでは雨漏りが起きた時の対処方法と応急処置をお伝えする。

雨漏りが発生した時は以下のものを準備して被害を抑えること。

  • バケツ
  • 雑巾
  • ブルーシート

水が落ちてくるところにバケツを置いて床を濡らさないようにする。

落ちてきた水は跳ねるためバケツの下にはブルシートを敷いて防ごう。

ブルーシートの他にレジャーシート、新聞紙、タオル、給水シートでも代用可能だ。

ただし、新聞やタオルは染み込みが多いと床を濡らしてしまうため、何枚か重ねて敷くことが大切だ。

壁から伝う水は、そのままにするとカビを発生させたり、跡が残ってしまったりするため、こまめに拭いておこう。

屋根から雨漏りしている場合は屋根にブルーシートをかける方法があるが、高所作業となるため一般の方は絶対に行わないことだ。

雨で濡れた屋根は滑りやすく落下する危険があるので、屋根からの雨漏りは専門業者に相談して対処してもらうこと。

また、雨漏りが懸念される場合は専門業者に水が入っているか調査してもらおう。

以下には雨漏り調査の費用を記したのでご覧になって欲しい。

  • 目視調査:無料
  • 散水調査:約5万円〜
  • 発光液調査:約10万円〜
  • サーモグラフィカメラ調査:約20万円〜

 

マンションや賃貸での雨漏り・天井や壁の雨染みの補償

マンションや賃貸での雨漏り・天井や壁の雨染みの補償

マンションの場合は自身の過失でない限りは、まずは管理組合に連絡すること。

その際に雨漏り箇所の証拠写真を撮影しておくことが大切だ。

施行ミスや経年劣化による雨漏りの場合は管理組合や施工業者の責任にあるため、損傷した箇所の補償を受けられる可能性がある。

また、賃貸の場合も同様に自身の過失でない限りは、管理会社や大家の責任となる。

注意しておきたいのが雨漏りしているのにそのまま報告せず放置してしまうことだ。

雨漏りを放置して被害が広がってしまうと自己負担となってしまう可能性があるので気をつけておこう。

さらに雨漏りしていると自分で直したくなるかもしれないが、応急処置程度で留め、後の対応は管理会社に任せておくこと。

「あなたが手をつけたから被害が広がった」と言われかねないため、自分で修理するのは避けて、すぐに管理会社に雨漏りを報告することをおすすめする。

 

雨漏りの修理費も補償される?火災保険の賢い利用法

雨漏りの修理費も補償される?火災保険の賢い利用法

雨漏りは、建物はもちろん家具や家電の被害が加わり大きな出費になり、家計に大きなダメージとなるだろう。

そこで活用したいのが火災保険だ。

火災保険というと火事の時に使うものと思いがちだが、その内容によっては雨漏り被害を補償してくれて、自己負担額がゼロになる可能性もある。

ここでは火災保険が利用できるかの確認方法や実際の申請の流れ、補償をしてもらう上でのポイントを解説しよう。

 

火災保険の内容を確認

火災保険の補償適用となるのは台風や竜巻、大雨や雹、大雪など自然災害が原因で建物が損傷を受け、雨漏り被害が発生した場合だ。

火災保険にはそういった自然被害を補償する特約があり、それを付加してある契約なら補償になる可能性がある。

お持ちの保険証券や契約時の説明書類で確認し、もしわからなければ保険会社へ電話で問い合わせをしてみよう。

ただし実際には外壁が自然災害で損傷することは稀であり、火災保険で補償になった自然災害の損傷は、屋根の方がはるかに多いことはご承知頂きたい。

何が雨漏りの原因なのかは保険を利用する上で非常に重要になるので、まずは専門業者にしっかりと調査してもらうことから始めよう。

 

保険会社への申請手順

実際に保険会社へ補償を申請する手順は以下の通りとなる。

特に申請が受理される前に工事を始めてしまうと補償の対象外になる事もあるので、きちんと保険会社に確認してから着工するようにして欲しい。

 

1.保険会社へ連絡し補償に必要な書類を送ってもらう。

2.申請書類と状況報告書を作成し、修理の見積書と一緒に保険会社へ送付する。

3.保険会社から依頼された損害鑑定人が損傷や被害の調査に来る。

4.鑑定人の報告と申請書類をもとに保険会社が審査を行なう。

5.審査が承認されると補償額が決定し修理に取りかかる事ができる。

 

補償してもらう為の重要ポイントは?

火災保険の自然災害特約で補償をしてもらう為には自然災害が原因の被害であることと、被害の詳細な状況をしっかりと状況報告書で伝えなければならない。

しかしそのためには多くの専門的知識と豊富な経験が必要で、不慣れな者が行うと大変な時間がかかってしまうだけでなく、内容が不十分で承認されない危険性もある。

ここは自分で作るよりも、申請の実績の多い専門業者に、見積り作成も含めて依頼した方が良いだろう。

せっかく補償されるべき被害なのに書類の不備で受理されなかったら非常にもったいない。

ぜひ協力をしてもらい修理の自己負担費を軽減して欲しい。

 

まとめ

まとめ

モルタル外壁はその素材の特徴から通気工法が積極的に採用されてこなかった為、年数の経った建物はもちろん築年数の浅い建物でさえ雨漏りの危険性の高い外壁となってしまった。

しかしその特徴をしっかり理解し、定期的に適切なメンテナンスを行えば、雨漏りの発生を十分に抑えることができる。

また万が一雨漏りが発生しても火災保険を賢く利用することで、家計の出費を抑えることができるかもしれない。

普段からその状態を気にかけ、定期的な点検と補修を築年数が浅いうちから専門業者に行ってもらうことで、雨漏り被害の予防効果は高まるだろう。

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