ビルの雨漏りは被害が深刻!その原因と取るべき初期対応を全て解説!

ビルの雨漏りは被害が深刻!その原因と取るべき初期対応を全て解説!

ビルで雨漏りが発生した場合、そこに多くの設備や商品があれば大きな被害をもたらす。

しかも人が退出した深夜や休業日に発生すれば、誰も気付く者がなく延々と雨水を受け続けるという恐ろしさもある。

そこで今回建築のプロである一級建築士がお伝えするビルの雨漏りの主な原因と、発生した場合の対応に目を通し、被害の拡大を少しでも抑えるよう役立てて欲しい。

最後には被害に対する保険や損害賠償などについても解説しているが、被害自体が小さく済むに越したことは無い。

ぜひ最後まで読んで頂き、大切な資産を守るために活用してもらいたい。

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ビルの雨漏りは被害が大きい

雨漏りと聞くと内装がシミになる程度だろうと、被害を軽視される方もいるがそれは大きな間違いだ。

ビルの利用形態によるが、オフィスや店舗なら多くの設備や資料、商品など、住まいであれば当然家財があり、それらがずぶ濡れとなり使い物にならなくなる、という被害を受けることもある。

 ここではまずビルで起こる雨漏りの代表的な被害について改めて見て頂き、その重大さを認識して頂きたいと思う。

 

被害の最も大きな設備や家財

被害の最も大きな設備や家財

雨漏りが起きた室内では、オフィスであればパソコンやコピー機などの設備機器やオフィス家具など調度品、各種の資料などが密集しているはずだ。

また店舗であれば商品や原材料もあるだろう。

いずれも空間を効率良く使うため配置されているはずで、そこに雨漏りが発生すれば当然多くの被害を生んでしまう。

書類は見にくくなるばかりか読めなくなる可能性もあり、業務に大きな支障を来すし、重要な書類の破損は取り返しがつかない。

また機器類は濡れれば最低でも故障、最悪は買い替えとなりかなりの出費となるだろう。

そして最もダメージが大きいのがパソコンやその周辺機器で、故障や買い替えも大きな負担になり、業務自体に大きな影響が出る。それ以上に深刻なデータの損失も起きかねない。

また店舗や制作を行う場所なら大切な商品を台無しにし、経営に大きな打撃を与えるだろう。

もしマンションなどの居住スペースの場合には、家具や家電といった家財の被害も発生するなど、入居者の大切な資産を奪ってしまい、健康にも影響があるのが雨漏りなのである。

 

回復が難しい内装被害

回復が難しい内装被害

雨漏りの被害でまず思い浮かぶのが壁紙など内装の汚れだろう。

天井や壁のシミや壁紙などクロスのふやけ、波打ちなどが発生し大変見苦しい姿となる。

濡れたことでカビの発生の恐れもあり、見苦しいだけでなく健康にも影響する。

また壁や天井の下地に使われている石膏ボードが使われている場合は、濡れて脆くなり、本来の機能である防火性能を失い非常に危険な状態になるだろう。

下地を支える木材や金属の部分も、濡れてしまうとサビや腐朽などのおそれがあるのだ。

これらは簡単に貼り替えられるように思えるが、汚れた部分だけでなく継ぎ目から継ぎ目までを広く交換する必要があり、被害の状況によっては、天井や壁の内部から修繕が必要になる。

部屋の1部分だけ修繕して色柄が変わってしまうと、逆に目立ってしまうことも多いし、コンクリート打ちっぱなしやペイント仕上げの壁などは、シミ汚れを完全に消すことは難しく、新たに上塗りをするしかない。

部分的な補修ではかえって目立つため、部屋全体など広範囲に工事をすることになり、修理費がかさんでしまう。

想像以上の費用がかかってしまうことも少なくない。

たかが内装の汚れと安易に考えていると、その修復の難しさと費用の高さに頭を悩ませることとなるだろう。

 

錆は建物の耐久性を奪い人に被害も

建物の耐久性を奪う錆

建物のヒビ割れなどから躯体内に雨水が入り込めば、そこにある鉄筋や鉄骨に錆を発生させる。

通常鉄筋や鉄骨は錆止めの被覆がされている。その被覆が傷などで劣化しているとそこから錆が発生してしまう。また、鉄筋コンクリート造のでは、内部の鉄筋は周囲のコンクリートの強アルカリ性に守られているが、近年の酸性雨の影響で浸入した雨水に含まれる酸がアルカリを中和してしまい、鉄が一気に錆びやすくなるのだ。

錆は躯体の内部で発生するため、目に見える形で現れづらく、人知れず悪化し、確実に建物の耐久性や耐震性を蝕んでいく。

入居者の命を守るという建物の重要な役割を奪う、大変深刻な被害と言って良いだろう。

 

人に被害を与える爆裂

人に被害を与える爆裂

金属の錆が進むと、コンクリートに「爆裂」という現象が起こる。

躯体内に浸入した雨水による錆は、鉄筋や鉄骨を腐食するだけでなく錆自体の膨張によるトラブルも発生させる。

この膨張の圧力によって、周りのコンクリートを押し出してしまうのが「爆裂」だ。

ヒビがはいるだけでなく、完全にコンクリートが崩れてしまい、内部の鉄筋がむき出しになる場合もある。躯体である鉄筋コンクリートの性能が著しく悪くなる非常に危険な状態だ。

コンクリート片が外の道路などに落ちて人に当たれば大変な事故に繋がってしまうし、ビル内部にも発生するため、入居者にも被害を及ぼす可能性が十分にある。

快適なビルが凶器と化してしまう恐ろしい雨漏り被害と言えるだろう。

 

高価な設備を痛める漏電は二次被害の恐れも

高価な設備を痛める漏電

雨漏りによって電気機器のコードや電気配線が濡れると、絶縁体の隙間に水が入り、漏電を引き起こす。その場合、安全のために漏電遮断器が作動するのはご承知の通りだ。

漏電した電気配線は絶縁不良を起こしているので、配線を交換する必要がある。

雨漏りの場合、修繕箇所の特定がしきれずに、何度も漏電遮断器が作動することがある。原因が解決されないまま何度も電気の遮断が起きると電気機器の故障に繋がる。

特にパソコンやその周辺機器、業務用の精密機器などは電気の遮断に弱いものが多く、高価なものであれば非常に大きな損失となるだろう。

また雨漏りが止まっても電気配線や機器内部が乾かなければ、漏電はいつまでも発生する。最悪の場合、漏電に気づかず、電気による熱が壁内の金属や木材の温度をあげ、火災になる二次被害となるケースもあるのだ。

漏電は、業務再開に大きな支障を来す厄介な被害と言えるだろう。

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ビルの雨漏り3つの原因と危険性

ビルは外部の形状が戸建てほど複雑ではないことが多いため、雨漏り原因の種類はそれほど多くない。

しかし建物自体の大きさがあるので発見は簡単ではなく、高所や躯体内になれば更に時間がかかってしまう。また、建物を共同で使用している場合などは、原因特定により時間がかかる場合もある。

ところが雨漏りの場合は、時間が経過すればするほど被害が拡大するため、早急な原因特定と対処をしたいところだ。

ここでは代表的なビルの雨漏り原因をご紹介するので、ぜひ自己防衛のためにも、目を通しておいて頂きたい。

主要な原因を知っておくことは、責任の所在を特定し被害の賠償をスピーディーに請求することにも役立つはずだ。

 

最も発生率が高い屋上

最も発生率が高い屋上

屋上は、建物の中でも最も雨風が当たり紫外線にも常に晒されているため、劣化が激しく、雨漏り原因の筆頭候補である。

特に屋上の床の防水層は、表面に押さえコンクリートやトップコートと呼ばれる塗装で保護されてはいる。それでも痛みがでやすいし、しっかりとメンテナンスを行わなければ何時でも雨漏りの原因となってしまう。

また排水口の周りのヒビ割れや管の詰まり、立ち上がり壁の上にある笠木の継ぎ目や手摺の根本、外壁とのジョイント部分の割れなど、過酷な環境である上に雨漏りに繋がりやすい場所が多いのも屋上の特徴だ。

これだけリスクのある屋上部分だから、ビルの管理会社などがどの程度屋上を定期的にかつしっかりと点検しているかどうかで、雨漏り発生の可能性が大きく変わってくる。

必要最低限しか行っていなかったり、自主管理で点検が曖昧になっていたりする場合などは非常に危険性があると言えるのである。

ご自身の入居するビルがどのような定期点検を行っているか、この機会に確認してみと良いかもしれない。

 

原因特定が難しい外壁ヒビ割れ

原因特定が難しい外壁ヒビ割れ

ビルの外壁は、紫外線や長年の風雨など環境による劣化や、地震その他の振動によってヒビ割れを起こす。

表層にはモルタルやタイルなどの仕上げ材が施工してあり、これがヒビ割れているだけなら軽度だが、内部の躯体コンクリートにまでヒビ割れが及んでいる場合、内部への雨漏りに繋がっていく。

この雨漏り原因の最も厄介な点は、浸入箇所の特定が非常に難しいことだ。

浸入した雨水が躯体内部のヒビ割れという見えないトンネルを通り、遠く離れた場所へ漏れ出ることも多く、その浸入路の発見にはかなりの時間を要する。

しかもヒビ割れは年数の経過した建物なら大小無数に存在し、規模の大きなビルになれば数に限りがなく、何度修理しても雨漏りが収まらず所有者や住人を悩ませる。

もちろん躯体内部の鉄筋や鉄骨に錆を発生さる原因にもなり、建物そのものの耐久性にかかわる重大な危険にもなりかねない。早急にビルの雨漏り修理に慣れた専門業者に対応をしてもらうべきだろう。

 

見落としがちなサッシ周り

見落としがちなサッシ周り

サッシと周りの外壁との隙間にはコーキングが施工されており、これが劣化しヒビ割れることで雨漏りにつながってしまう。

窓サッシ周りからの雨漏りは、外壁に染み込んでしまう恐れもあるし、ヒビが入っていると躯体内部にも入り込んでしまう。

窓周りの内装に被害が出るのはもちろんだが、目に見えない部分への染み込みは、影響が大きい上に対処が難しい。

戸建ての住宅と違って入居者や利用者が窓の周りをじっくり見ることは余りないであろうし、まして1階やベランダに面する窓以外は高所のため見ること自体不可能だ。

このため雨漏りが窓から発生し、調べてみたらいつの間にか大きな亀裂が出来ていた、という事例は多い。

また必ずしもコーキングが割れている窓の室内側へ漏れるとは限らず、壁内をつたって下の階に漏れることもあるので、こちらも外壁のヒビ割れ同様原因の特定が簡単ではない。

もし窓の外側を見る機会がありコーキングに割れを発見したら、速やかに管理会社へ連絡し補修の手配をしてもらおう。

 

「水漏れ」の場合の原因/配管や設備

雨漏りと混同しがちだが、天井裏や壁内にある配管、あるいは上階の水回り設備から内部の水が漏れてくる被害を「水漏れ」と呼ぶ。

雨漏りと違って天候に関係なく発生し、排水漏れの場合は汚れや匂いなどの被害も加わるのが特徴だ。

また継続的に水が流れるところから漏れるため、雨漏りと比べると水量が多く、給排水を止められるまで出続けるという面も持つ。

この水漏れか雨漏りかは、後に述べる損害賠償の相手や保険の適用が変わってくる上に、補償について話し合う保険会社や損害賠償を請求する相手は、雨漏りと水漏れを別のものとして話しをしてくるため明確に使い分けたい。

ではその水漏れの代表的な事例を解説するので、ご理解の助けにして頂きたい。

配管の損傷や詰まりによる水漏れ

水漏れの原因の一つは配管の損傷や詰まりだ。

ビルの各フロアの天井裏には、水道用の給水管、水や汚水などの排水管、エアコンのドレン管など非常に多くの配管が通っている。それらが、壁に設けられたパイプスペースで縦につながっているのだ。

これらの配管に劣化による損傷や物理的な破損、あるいは施工不良などがあると水漏れを起こす。

また配管の中に異物が詰まって水が逆流したり、想定以上の水圧がかかって漏れたりしてしまうこともある。

水漏れの原因が給水管の場合は建物の大元の水道元栓、もしくは、エリアごとに止水栓があればそれを締めることで、給水が止まるので、水漏れもストップできる。

しかし排水の漏れはすぐに止められるとは限らないし、汚水や生活排水だから、汚れや匂いが伴うこともあってダメージの大きな水漏れとなってしまうだろう。また、すぐ上の階で起きているとは限らないので、原因箇所を特定するのも時間がかかる。

上階水回り設備からの水漏れ

設備品も水漏れの原因になる。

上階にトイレや洗面台などの水回り設備があれば、そこが水漏れの原因となる場合がある。

例えばトイレに異物を詰まらせて溢れたり、洗面台の蛇口が破損して水が吹き出してしまったりすると、天井を通して下の階に水漏れの影響が出る場合もある。

この場合も水道なら蛇口や設備に設けてある止水栓、あるいは部屋ごとに止水栓があればそれを締めることで止めることはできる。

しかし上階が留守の場合などは、すぐに対応できない場合もあるし、排水からの漏れは被害が深刻になる。

 

雨漏りでやるべき3つの初期対応

雨漏りが発生した場合は、被害を最小限にするために速やかに初期対応を行おう。

自分のスペースの被害防止はもちろんだが、対応を疎かにして階下などに被害広がってしまうと、損害賠償を求められてしまう可能性もある。

また雨漏りが収まった後の被害を修復する上でも、雨漏りの最中に適切な対応を行っておくと非常に役立つ。

慌ててしまうかもしれないが、以下に初期対応ご紹介するので、是非実行して頂きたい。

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応急処置

応急処置

最初の応急処置として必要なのは、雨漏りの被害を広げない事だ。

まずは天井から雨水が落ちてくるその下にバケツを置いて水を受け止め、床にそれ以上広がらないようにする。激しく落ちてくる場合には、跳ね返りが周辺に飛ばないように、古布やビニルシートを敷いておくといいだろう。

店舗やマンションで床がカーペット貼りや畳の場合は、補修は基本的に貼り替えになるため費用が高額になってしまう。雨が染み込んでいたら、古い布で吸い取るなど、できるだけ水気が残らないようにしておく。

またフローリングも、濡れたままだとふやけて変形したり、シミが残ったりするため、出来る限り雑巾などで拭きとり、乾かすようにしよう。

壁面から漏れ出てくる場合は、流れ落ちる下に雑巾を置き、時折絞りながら広がらないようにする。その時、雑巾の下にビニルシートなどを敷いておくと、おいた場所にシミを作るのを防ぐ事ができる。

漏電の発生も考えられるため、電気製品や設備機器があれば早急に移動し、故障を防ぐために同じ室内にある電気機器のコンセントを抜いておく。電気コードや電気製品がすでに濡れていた場合、触ると感電の危険性もあるので十分注意が必要だ。

 

管理会社へ連絡

管理会社へ連絡

水が広がらないよう応急処置を行ったら、すぐにビルの管理会社へ連絡を入れる。

状況を伝え、雨漏りを止める処置や補修工事などの手配をしてもらおう。

ビルの構造や他の入居者のことも熟知しているはずだから、基本的な対応は任せるべきだ。

補修する業者も指定業者がいる場合もある。

ただし漏れ出る水量が多く緊急を要する場合、管理会社を通してでは素早い対応ができないこともある。そんな時は自分で応急処置の補修を手配して、費用を管理会社に請求できることもあるので、連絡を取った際に確認してみよう。

 

状況を記録

状況を記録

雨漏りが発生した際は必ず発生状況や被害の様子を写真に撮り、発生した時間や天気、音などをメモしておくようにしよう。動画などで撮影してもいいだろう。

その後の補修工事に役立つし、被害を火災保険や損害保険を利用して補償するケースでは、その申請書類作成に利用できるからだ。

保険を利用するときには、動じても書類での申請が必要になる。実際に雨漏りなどのトラブルが発生すると、応急処置や連絡で慌ただしいため、後日書類を書こうとしても意外と詳細を覚えていないものだ。

また補修工事をするとき、雨漏り発生時の状況がわかると、専門業者が原因を探る際にも参考になる。

なるべく気持ちを落ち着け、出来る限り気付いた点を記録しておくようにしたい。

 

分譲マンションなど共用ビルの修理・被害の責任は?

修理と被害の責任は誰に?

分譲マンションなど共用ビルの雨漏りにおいて、誰が被害の費用を負担するかは発生原因によって変わってくる。

ここでは代表的なケースを解説するので参考にして頂きたい。ただし、実際の事例では原因が複数あったり、相手が一者でなかったりすることも珍しくなく、簡単に線を引けない場合も多い。

さらに保険での補償となれば保険商品によって条件は様々であり、申請が降りるか否かは、最終的には保険会社の判断に委ねることになる。

そのため安易に被害の賠償を求める相手を自分で決めてしまわずに、必ず管理会社や保険会社の判断を仰ぐようにして欲しい。

 

自然災害による被害は自らの保険で対応

台風や竜巻など自然災害によって建物が損傷し、それが原因で発生した雨漏り被害は、入居者自身が加入する火災保険によって補償することになる。

ともするとビルの所有者や管理会社に責任があると考えがちだが、自然災害が引き起こした被害の損害賠償をそれらに求めることは難しい。

火災保険は火事の時にだけ使うものと思いがちだが、近年では自然災害による被害も補償するものが多く、それを適用してもらうのだ。

ただしあくまで自然災害によって建物が損傷した場合に対象となるので、もともと経年劣化等で穴が空いており、そこから台風の雨入った、という事例は補償とならないので注意して欲しい。

 

配管や設備の事故による水漏れ

ビルの給排水の配管や設備が突然破損するような事故による水漏れの被害は、建物の保証期間内であれば施工会社が対応することになるため、まずは管理会社を通じて賠償を求めよう。

また保証が切れている場合は、自分が加入する火災保険の「水濡れ(みずぬれ)」によって補償される。「水濡れ」は特約事項で、給排水設備の破損事故や他人の部屋で起きた水漏れの影響で漏水があり、被害が出た場合に、保証されるものだ。給排水管の経年劣化が原因の水漏れの場合は、予測ができず、突発的に発生した場合のみ「水濡れ」として適用される。

給排水管など、設備の修繕交換は、施工不良であれば施工会社の責任になるが、経年による劣化によるものは、基本的にはビルの管理者もしくは所有者に損害賠償を求めていくことになる。

分譲マンションなどでは、管理規約に記載されている事が多いので、この機会に確認しておくといいだろう。

 

雨漏り原因が経年劣化の場合

ここまで触れてきたように雨漏りや水漏れの原因が経年劣化の場合は、火災保険などで補償されないため、賃貸物件ではビルの所有者に損害賠償を求めることになる。

貸し主であるビルの所有者は物件を十分に使用できるよう修繕する義務があるからだ。

もしビルの所有者が施設賠償責任保険などに加入していれば補償されるが、未加入の場合は所有者の自己負担となってしまうため、相手によっては支払いを拒んだり交渉が長期化したりと、スムーズに行かないことも多い。

分譲の場合は、原則として、雨漏りや水漏れ発生個所が、専有部分か共用部分かで責任の所在が変わってくる。専有部分の場合は、その部屋の所有者が責任を持つことになり、共用部分の場合は、管理組合の責任となる。

共用ビルの責任の所在は複雑なため、できれば早い段階で入居契約時の約款や管理規約などで、雨漏りや水漏れの際の対応について確認しておきたい。

 

他の入居者が原因の場合

上階の入居者がトイレに物を詰まらせた事が原因など、明らかに個人の責任による水漏れとなった場合は、その原因を作った個人に損害賠償を請求することができ、相手は自己負担で賠償するか各種の賠償責任保険で補償するかになる。

オフィスビルなどは入居時にそういった保険を契約させることが多いが、雑居ビルのような様々な入居者がいる場合は未加入のケースも多く、支払いを拒否されることもある。

本来被害を発生させた者が責任を負うべきなのだが、そういった場合は管理会社に相談し、双方の間に入ってもらうと良いだろう。

 

まとめ

ビルの雨漏りは入居者の利用状況によっては、大きな内部被害を引き起こす。

戸建ての建物と違い、規模が大きく、利用者も複数いる事で複雑な状況になることも大いにありうる。

今回の記事で事前に雨漏りの主な原因をおわかり頂けたと思う。雨漏りや水漏れが発生した際は、落ち着いて適切な初期対応を素早く行うようにし、被害を最小限に食い止めるようにしたい。

また、分譲であれ賃貸であれ、約款や規約などでトラブルが発生した場合には、どのような責任が誰に生じるのかを、事前に確認しておいてほしい。

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【記事監修】 山田博保

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士

一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。

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