壁紙の継ぎ目は対処が遅れると、補修がしにくくなったり費用がかさむようになってしまったりする。
出費を抑え、跡が目立たないように隠したいなら、早めに補修すべきなのが壁紙の継ぎ目だ。
今回は建築のプロである一級建築士が、自分で手軽にできる継ぎ目の補修方法を解説する。
用意すべき道具や剥がれがある場合の貼り方なども詳しくお伝えしているので、ぜひ最後まで目を通していただき、素早くきれいに直すために役立てて頂きたい。
この記事読むことで理解できること
継ぎ目は早く直すほどきれいになる

壁紙の継ぎ目が開いたり目立ったりする原因は、乾燥のため壁紙が収縮し引っ張り合いを起こすことにある。
また下地や構造材の柱などがやはり収縮したり、地震によって動いたりすることで現れる場合もあり、建物の構造上どうしても避けられない現象だ。
ただしこれを見た目だけを我慢すれば良いと放置してしまうと、継ぎ目がさらに広がる上に壁紙が徐々に硬化するため、いざ専門業者に補修を依頼したら予想外の高額請求になってしまったというケースは多い。
またDIYで出費を抑えようとしても壁紙が硬ければ難易度は上がってしまい、失敗のリスクが一気に高まることになる。
壁紙の継ぎ目は生活に支障がないからと軽視せず、素早い対応が出費を抑えることに繋がると心得て頂きたい。
かんたんDIY補修方法を紹介

継ぎ目補修の道具はホームセンターやネットで手に入り、作業も特に難しいところはないため、初期段階であればDIYで簡単に補修可能だ。
継ぎ目はある意味自然現象で継続的に発生するため、自分でDIY補修ができれば出番も多く、積み重なれば出費の削減効果は大きい。
何度か行えばすぐに慣れるので、ぜひこの機会にトライすることをお勧めする。
- 用意するもの
・コーキング

https://amzn.to/33hCHb0
・スポンジ

https://amzn.to/33ejdnC
・ローラー

https://amzn.to/2MHJzIP
・糊(浮きがある場合)

https://amzn.to/2MG4nAo
新しい壁紙ならローラーで押してから

コーキングで補修する前に行ってみて欲しいのがローラーでの押し伸ばしだ。
新しい壁紙ならまだ柔らかいため、外側から継ぎ目に向かってローラーで壁紙を押し伸ばすと、継ぎ目が閉じて見えなくなることがある。
表面に柄の凹凸のある壁紙の場合、余り強く押すと凹凸がつぶれてローラー跡が残るため、優しく押しながら何度も繰り返すようにする。
コーキングで隙間が目立たないように処理
手順
①継ぎ目部分を布で拭き汚れやホコリを取る。
②浮きや剥がれがあるならクロス糊で貼る。

https://amzn.to/2MG4nAo
糊に粘りがあると細い隙間に入れづらいが、水で薄めるとクロスをふやけさせてしまうのでそのまま使うようにし、少しずつ根気よく入れていく。
糊は保管方法にもよるが半年程度で固まって使えなくなることが考えられる。
そのため業務用の量が多い商品ではなく、上記のような少量の糊をその都度買う方が無駄にせず経済的だ。
③コーキングを継ぎ目に沿って打つ。

少しずつ押し込むようにして極力はみ出ないように打つ。
クロスは白に見えても他の色が入っていることも多いので、しっかり色を確かめ近いコーキングを選ぶようにする。
また艶のないクロスにはコーキングも光沢が目立たないよう艶消しを選ぶ。
④スポンジで余分なコーキング拭きローラーで押さえる。

https://amzn.to/2Zz56GZ
はみ出たコーキングを軽く湿らせたスポンジで丁寧に拭く。
これを雑にやると日が経ってから、コーキングが変色して汚れのように現れてしまうので注意しよう。
その後ローラーを継ぎ目に沿って転がし壁紙を押さえる。
きれいに仕上げるなら補修屋へ頼もう

DIYは確かに安価で済むが、一方で作業に自信が無かったり仕上がりの綺麗さを重視したりしたい方は、補修屋へ依頼する方がお勧めだ。
補修屋とは住まいのあらゆる場所にできた傷を、ピンポイントで修復するリペアのプロフェッショナルだ。
様々な損傷とその補修方法について豊富な知識を持っており、経験を積んだ補修屋であれば損傷を完全に消し去ることができる。
その仕上がりの素晴らしさは、DIYはもちろん、他の種類の建築業者による補修とも一線を画す。
もちろんクロス屋に補修を依頼するのも良いが、補修屋なら壁紙に限らず床やドアなど様々な場所の傷を消せるというメリットを持つ。
もし他の場所にも気になる損傷があるようなら、補修屋に一括して依頼することで手間やコストを省けるだろう。
補修屋のテクニックを紹介した動画があるのでご覧いただき、検討の参考にして欲しい。
補修屋の技術費用相場

以下に住まいの主な損傷の補修屋による技術費用相場をご紹介するので、検討の参考にして欲しい。
ただしあくまで目安であり損傷の程度によって増額の可能性もある点はご了解頂きたい。
正確に知りたい方は、メールで損傷の写真を送れば無料で見積もりをしてくれる補修屋もあるので、一度依頼してみると良いだろう。
補修内容 | 技術費用相場 |
壁紙の継ぎ目補修 | 15,000円〜 |
壁のクギやネジなどの穴 | 10,000円〜 |
壁のこぶし大の穴や凹み | 25,000円〜 |
大きめの穴(石膏ボード張り替え含む) | 30,000円〜 |
フローリングの傷、凹み | 25,000円〜 |
フローリングのシミ | 30,000円~ |
ペットによる傷 | 45,000円〜 |
建具補修 | 35,000円〜 |
玄関ドアの凹み | 30,000円〜 |
※材料新規取り寄せ・出張費等は別途費用。
腕の確かな補修屋を見分けるポイント

補修屋に依頼する際にぜひ気をつけて頂きたいのは、どの補修屋も同じレベルの腕ではない点だ。
補修した跡が全くわからないように直すためには、傷や材料についての豊富な知識や多くの経験が必要になるが、中には多少建築をかじっただけの素人同然の者が補修屋を名乗っている場合もある。
もちろんそのような者に補修を頼んでしまえば、DIYと大差ない仕上がりとなり後悔は必至だ。
そんなトラブルを避けるには、その補修屋の実績を目で見える形で確認することが重要だ。
例えば自社サイトで過去の補修事例を画像付きで紹介しているようなら、大いに安心できる材料になるだろう。
くれぐれも言葉だけの「経験豊富」に惑わされないよう、しっかりとその腕を見極めてから依頼をして頂きたい。
火災保険で住まいの傷を直そう

今回の壁紙の継ぎ目補修では難しいが、他に壁の凹みや床の傷などの損傷があるなら、火災保険を利用して補修費用を安くすることができるかもしれない。
家の傷を直すのに火災保険を使うのは不思議に思うかもしれないが、現代の火災保険は自然災害や盗難等、住まいのあらゆる損傷を補償する総合保険になっているのだ。
保険対象事項である「不測かつ突発的な事故による汚損・破損」に該当する損傷があれば、最低限の出費で傷を直すことが可能になる。
ではどのようなケースが対象となるのか、そして保険を利用して補修する際の業者選びについて解説する。
火災保険で補償される損傷とは
不測かつ突発的な事故による汚損・破損とは、例えば重い物をうっかり落として床を傷つけてしまったり、子供がおもちゃをぶつけて壁に傷やへこみを作ってしまったりした場合など、意図せず発生した損傷が対象となる。
適用されるには発生日時や原因がはっきりしている必要があり、いつの間にか痛んでいたような経年劣化などは保証の対象外となる。
また損傷部分の機能に支障が出ている場合に適用されやすいなど、いくつか条件がある。
保険の商品や会社によって詳細な部分は異なるため、保険対象となるかは加入した際の契約書や約款等で確認し、どうしても不明な場合は保険会社に直接確認してみると良いだろう。
申請経験が豊富な業者を選ぼう
実際に火災保険を利用するには、保険会社に損傷の原因や現在の状況を書類で正確に伝える必要がある。
しかしこれは例え腕の立つ補修屋でも申請の経験が少ないと非常に難しい作業であり、万一の場合書類の不備で保険会社に承認されない場合さえある。
当たり前であるが補修の腕と申請の上手下手は別の問題なのだ。
保険利用の際は必ず相手業者の申請実績を確認し、十分な申請経験を持つ業者に依頼するようにして欲しい。
まとめ

壁紙の継ぎ目はできる限り早めに対処すべき損傷であり、DIYが可能ならすぐにでも補修を行った方が良いだろう。
ただしよりきれいに仕上げたい場合や他にも補修したい場所があるなら、優れた技術を持ち守備範囲が広い補修屋へ任せる方がお勧めだ。
高いスキルを持った補修屋を見極められれば、非常に満足できる補修が行えるだろう。
加入する火災保険によって他の損傷の補修費用が補償されるなら、継ぎ目を直すのと一緒に家全体のリフレッシュが格安で行えることになる。
ぜひこれを機会に、大切な住まいから気になる傷を一掃しよう。

株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。