雨樋は壊れても保険で安くなる!?修理や補修について知っておくべき8つのこと

雨樋が壊れてしまった!修理や補修について知っておくべき8つのこと

雨樋の不具合には、台風などの突然の自然災害で破損したり、経年劣化で雨樋から雨水がポタポタ垂れたりなどさまざまだ。

屋根から流れ落ちる雨水を集め排水する雨樋がきちんと機能しないと、建物への悪影響があるだけでなく、破損した雨樋が落下する危険もあるため放置できない。

しかし、実際に雨樋が破損して修理が必要となった場合でも、どうしたら良いかわからない人も多いはずだ。

 今回は、雨樋はなぜ劣化するのか、そして壊れた雨樋は修理が可能なのかなどの基礎知識を踏まえ、樋の知識が全くない人でも、工事業者に見積もり依頼を行い、その内容を的確に判断できるようになるための「雨樋を修理や補修するために知っておくべき8つのこと」を解説する。

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この記事読むことで理解できること

雨樋に修理・補修が必要な状態とは

雨樋に修理・補修が必要な状態とは

雨樋は、大きく分けると屋根の軒先に固定し雨水を受ける軒樋と、軒樋の水を集めるための集水器と水を下へと流す縦樋の3つの構成からなる。

それぞれの箇所で不具合の傾向があるが、どの不具合でも雨水を流す働きが機能しないと最悪の場合、雨漏りにつながる。樋の修理や補修が必要なのは、以下のような場合だ。

落ち葉等のゴミ詰まり

落ち葉等のゴミ詰まり

屋根先に取り付けてある横に伸びる雨樋を軒樋という。軒樋は屋根から流れ落ちる雨水を受けるため上部が開いた構造をしている。そのため、軒樋よりも高さのある樹木が周りにあると、落ち葉が雨樋に入り込んでしまう。

 定期的な清掃を行うことが一番の対策ではあるが、高い位置だと上から覗き込むことが、なかなかできないので点検が難しい。また、点検・清掃作業を行うにしても、2階の軒樋などでは足場が必要となるため、費用が高くつくこともあり放置されることも多い。

落ち葉が軒樋の中に溜まってしまうと腐葉土となり堆積し、その重みが雨樋を固定している金具に負担をかけ、破損の原因となることがある。また、土の中の湿気などにより、塩ビ軒樋の劣化を早め、穴あきなどの原因にもなる。塊となった腐葉土が大雨時に、集水器に流れ込み詰まりの原因になることも。縦樋に入り込んでしまった場合は、詰まりの箇所がわかりにくいため掃除により手間がかかる。

縦樋の内部で清掃では取れないほどゴミが固着ししまった場合には、部分的に取り替える必要も出てくる。また、落ち葉だけでなく、風で飛んできたビニール袋などが集水器に入り込み詰まりの原因になる場合もある。

雨樋の継ぎ手などのはずれ

雨樋は、2m〜4m程度の長さの雨樋を継ぎ手という小さな部材を使い接着剤で繋ぎ、釣り金具で固定し施工する。この継ぎ手部分が、経年劣化や暴風の影響などで外れる場合があり、風の影響を受けやすい軒樋の継ぎ手や軒樋と集水器の差し込み部分などが外れた事例がある。

また、軒の角部分や端部、曲がり部分などの部材が小さく、釣り金具で固定できない箇所は接着剤の固定力がなくなってしまうと外れやすい箇所となる。接着剤の接着力に問題なくても、雨樋の劣化により継ぎ手部分の部材の表面が剥離して外れることもある。

また、地震の影響で縦樋や曲がり部分などがずれたり外れたりすることもある。その場合、外部からの点検では外れているように見えなくても、雨の日に継ぎ手部分から雨がポタポタと垂れたり、竪樋から水が溢れだしたりしているのが見つかることで継ぎ手の外れに気づくこともある。

古い銅製の雨樋で、樋通しをハンダで固定している場合には、そのハンダ部分に負荷がかかり破損しその部分が外れることもある。また、アンコーと呼ばれる集水器部分には伝統的な細工がされているものもあり、その細工部分のハンダが外れ水漏れにつながっていることもある。

吊金具の緩みや雨樋の部分的な歪み

吊金具の緩みや雨樋の部分的な歪み

外壁面や破風板など釘でしっかり固定できる部分に取り付けられているが、経年劣化により緩みが出てくる場合がある。金属製の吊り金具が錆による劣化でぐらつきが発生することも。吊り金具に不具合があると、その部分で支持するべき重さが継ぎ手部分にかかることで、接着剤で固定された部分に負担がかかり外れる原因にもなる。

 また、吊り金具は一般的に、雨樋はスムーズに雨水が流れるように、集水器に向けてわずかに勾配を取りながら、45cmから60cmの間隔で取り付けられているが、吊り金具の一部に不具合が発生することでその勾配が取れなくなり、雨樋を水がスムーズに流れなくなる場合がある。雨水が軒樋に溜まると雨樋の劣化を早めることにもつながるので放置できない。また縦樋を壁に固定している金具は、つかみ金具と呼ばれる場合もあるが、その金具に不具合があることで、軒樋と同様、縦樋にぐらつきが発生し、縦樋の継ぎ手部分が抜けたり、縦樋の破損につながることになる。

カーポートの雨樋破損

建物の雨樋だけではなく、カーポートの雨樋も確認していただきたい。
カーポートの雨樋も建物同様に、柱や屋根の枠に金具で数箇所固定されているだけであり、強風などの外力に対する抵抗力は弱い。

カーポートは大抵玄関横にある為、雨樋に損傷があれば、雨水は隣家の敷地や前面道路に飛んでいきやすいし、雨樋に外れ等があれば大切な車に直接バケツで水を掛け続けている状態にもなってしまう。

見落としや、放置しがちなカーポートの雨樋も、これを機会に不具合がないか確認していただきたい。

建物よりもカーポートは背が低い為、樋が部分的な破損であれば、自身での応急処置や、交換などはまだ行いやすい。

台風や積雪による破損

日頃の風雨や積雪に耐えられる雨樋も、台風時の暴風により雨樋が破損する場合がある。強い風にあおられて雨樋が割れてしまったり、金属製の樋が大きく曲がってしまったり、最悪の場合、ちぎれてしまうこともある。また、大雨で瓦が落ちて雨樋に当たり破損する場合も。

軒樋の風に対する設計基準は建築基準法で決められており、風の強さと速さをその地域特性を考慮し計算することになっている。計算された数値を元に、吊り金具のピッチや取り付け位置を決定する。

台風の進路にあたる地域の中でも、山間部の谷間や崖の上などでは平地よりも風対策を行うことになっている。海岸より1km以内の地域や風よけのない田園地帯などでも強い風が吹くため配慮が必要とされている。

また建物の高さによっても風対策は異なり、二階建てと三階建ての建物では、軒樋の風に対する計算基準は異なる。

 積雪による雨樋の破損防止については、積もった雪が一度に落ちないようにする雪止めが、降雪地帯の屋根では取り付けてあったり、軒樋カバーにより積雪で軒樋にダメージを受けないようにしたりする工夫がされているが、日頃積雪の少ない地域では取り付けてないことも多い。

年間の平均最深積雪量が30cm〜100cmの地域を一般・中雪地域、年間の平均最深積雪量が150cmの地域を多雪地域となり、それぞれの地域によって雪対策については建築基準法に定められている。ただ、それでも突然大雪が屋根に積った場合、その雪がかたまりとなって滑り落ち、雨樋を破損させることがある。

 また雪止めが取り付けてあっても、想定以上の雪が積もったり、屋根の勾配に対して雪止めが不足していたりする場合は、屋根に積もった雪が雨樋に滑り落ち、雨樋の破損につながることがある。軒樋に直接雪がのしかかり破損する以外にも、トタン板に積った雪により屋根が外れ、屋根全体が破損し、それにより縦樋が破損したりするなど、屋根の破損の被害と複合的に雨樋が破損することも多い。

経年劣化による破損や美観の劣化

一般的な家庭で使われる塩ビ雨樋の耐久年数は約20年〜30年。太陽光や風雨にさらされ続ける雨樋の環境は過酷。交換時期に達し、撤去した塩ビの雨樋は、多少の力をかけるとボロボロに割れてしまうほど劣化してしまっていることもある。

劣化の症状として見られるのは、色褪せや硬化や変形などだ。劣化が進んでくると、外観全体の美観が気になるだけでなく、硬化により雨樋の部材に柔軟性がなくなり風雨や衝撃に対して割れやすくなる。上記で説明してきた、継ぎ手の破損や吊り金具の緩みなども経年劣化によるものが多い。

劣化の一番の原因は、太陽光からの紫外線だ。塩ビは比較的耐候性が良い素材だが、紫外線にさらされ続ける環境では徐々に劣化が進行する。また水にも強い素材ではあるが、長期的に見れば劣化の原因となる。

銅製樋やステンレス製などの金属製の樋の場合だと、表面のコーディングがめくれ樋が腐食し、穴あきや破損が生じる。そのほかにも、同じ場所に力がかかった状態だとその部分の劣化が早まり破損の原因になる。

また、玄関周りや駐車場など人や車などの出入りがある場所では、自転車が倒れて縦樋が割れたり、車を駐車する時に縦樋に接触して破損したりするなど、何かしらの原因で破損することもある。生活の中での破損で雨樋の補修や修理が必要となる場合も発生する。

雨樋修理法はどんなものがある?DIYはどこまで可能?

雨樋の修理や補修方法にはどんなものがあるか

上記のような樋の不具合を発見した場合、どのような修理方法や補修方法があるのだろうか。原因ごとの修理や補修の方法について知ることで、業者に依頼する場合にも役立つはずだ。

ゴミ詰まりの取り除き方

修理や補修とまでは言えないが、溜まった落ち葉やゴミを取り除くことは、雨樋の大きなトラブルの発生を防ぐ大切な作業だ。雨樋(とゆ)は、屋根や外壁同様、風雨や紫外線にさらされているので、年に1回程度の定期的な点検が望ましい。点検のタイミングで清掃を行えばさらに良い。

二階部分の屋根などの高所の軒樋に溜まったゴミを清掃する場合には、スライダーと呼ばれる長いはしごを使ったり、屋根に登って作業を行ったりする。何にしても危険な作業となるので業者に任せた方が良い。その時には、集水器の中の手の届く範囲は、チェックし清掃してもらうようにしたい。

平屋の雨樋や一階部分の軒先の雨樋の点検や清掃なら、三脚を使って自分で行う事も可能だ。

軒樋を清掃してもまだ流れが悪い場合には、縦樋の中間にゴミなどが詰まっている場合がある。その場合には、高圧洗浄機で内部を清掃する。それでもうまくいかない場合には、縦樋を通るサイズの球状にした布や丸いブラシを用意し、太い針金や金属製のワイヤーと外れないように結んだものを集水器から入れ、ワイヤーを引っ張ることで、縦樋の手の届かない部分の掃除をする。この作業を何度か繰り返すことで、落ち葉やゴミがかき出せ、雨水が流れるようになる。

この作業を行っても改善しない場合は、固形物が詰まっている可能性があるため、その位置を突き止め、問題の箇所を特定しカットして取り除くしかない。その場合は、継ぎ手部材や取り替え用部材を準備する必要がある。

継ぎ手のはずれの補修方法

継ぎ手は、樋とトユを連結するための部品だ。雨樋部材に適した接着剤を使用し繋ぐ。はずれた継ぎ手が痛んでいたり、劣化したりしている場合は、新しいものを準備し交換する。その場合、既存の雨樋に部材が必要だ。

 既存の継ぎ手を使う場合には、汚れを落とし、固着した古い接着剤を取り除いて接着面を平滑にしてから取り付けるようにする。そうしないとせっかく補修してもまた取れてしまうからだ。

ただ継ぎ手部分が外れている場合、繋いだ軒樋の端部も劣化している場合もあるため、継ぎ手部分と合わせてその部分の軒樋も合わせて交換した方良いことも多い。その場合は適度な位置でカットし、新しい部材と交換する。金属製の網戸の場合は、加工して製作することも可能だ。

自在エルボの補修方法

自在エルボとは、先にお伝えした継手の中でも、画像のように2つの材の接合する角度が自由に変化する部材のことをいう。
横樋と縦樋を繋ぐ際に使用したり、二階から一階への屋根などの段差や障害物をかわしながら、樋を繋ぐ役割を行う。

ゴミ詰まりの他に、エルボの補修が必要な場面として多いのは、障害物や段差にエルボが干渉してのひび割れである。交換以外の応急処置としては、屋外用の防水テープで損傷箇所を防ぐ方法である。

他の箇所と異なりカーブ部分にテープを貼る際には、切り目を入れて、テープに空気が入らないように密着させる。

エルボの補修で重要となるのは、障害物に干渉して割れなどを起こさないよう上手くかわせるように設置する事である為、エルボと繋ぐ樋の長さカットは慎重に行っていただきたい。

吊り金具の補修方法

吊り金具の補修方法

吊り金具は、取付ける場所に合わせて数タイプ存在する。大きく分けて釘で固定するタイプと、吊り金具自体を打ち込んで固定するタイプに分かれる。古い吊り金具を取り換える場合は、固定していたビス穴が残るので、その穴をそのままにしておくと、そこから水が入る。それを防ぐために、シリコンコーキングを充填し、防水処理をしておく。

 穴があった箇所と同じ個所に固定しても、しっかりと固定できないため、もとあった位置から少しずらして固定する。吊り金具は等間隔で固定しているため、あまりずらすとバランスが悪くなるので、左右の吊り金具の間隔を見ながら位置を決めるとよい。

外壁塗装のうえからビスを売った場合には、その穴から水が入らないように、ビスの周りにコーキングを打つようにする。

吊り金具は、建築時に外壁塗装を行う前に取り付けている場合や、瓦の下に固定されている場合などもあるので、その場合は、吊り金具を撤去するために瓦の一部をめくったり、多少の補修が必要となる場合もある。撤去については慎重に行うようにしたい。

破損してしまった場合の補修方法

台風や積雪により雨どいが破損してしまった場合は、部分補修又は部分交換の修理が必要となる。ひび割れや一部の欠け程度であれば、防水テープなどを巻き、応急処置を行っておくこともできる。長期間そのままにしておくことはできないが、簡易にできるのがメリットだ。

塩ビ系の樋の場合は、割れてしまった部分は、同じサイズの樋を用意し、部分交換を行うことが可能だ。その場合、破損した樋をカットし、取り換え用の部材と継ぎ手部材を用意し、接着剤で取り換える。その時に、吊り金具も傷んでいる場合には合わせて交換する。金属製の樋の場合は、変形している程度であれば、形をもとに戻すことで修理することができる。

 銅製の樋の場合は、30年以上経過し、緑青色になった樋を、新しい赤銅色の部品に部分交換すると、その部分が目立ってしまうことになるが、それ以外に補修方法がない場合は、部分的に色が変わっても新しい銅を使い修理や補修を行う。銅の色あいは数十年を経て次第に馴染んでいく。

経年による劣化を補修する方法

塩ビの雨樋が紫外線により色あせてしまっているだけで、まだ耐久性に問題がなさそうなら塗装を行うのは効果的だ。屋根外壁の塗装工事は、一般的に10年~15年ごとに行うことが多いため、そのタイミングで雨樋を塗装することが得策だ。屋根外壁塗装を行う理由に建物の美観の維持耐久性の向上の二つの理由があるのと同様に、雨樋を塗装することで、色褪せた雨樋の美観を回復させるだけでなく、塗料に含まれる樹脂成分が塩ビの雨樋を紫外線から守る働きをする。

屋根や外壁が綺麗になった時に、雨樋だけが古いままだと余計にその古さが目立ってしまうこともあるので、同時に塗装できればしておきたい。屋根や外壁塗装を同時に行えば、別々に塗装を行う場合に比べて、足場や養生費用が節約できるためコスト面でのメリットも大きい。

塗装以外による経年劣化に対する補修については、破損した部分を補修しようとしても、それ以外の部分も劣化して弱くなっているため、新しい部材を固定することができないこともある。そのような場合は、補修や修理ではなく全面交換を行うことも検討すべきだ。ステンレスやアルミなどの金属製の雨樋の場合は、耐久性が高いため経年劣化で修理や補修が必要な場合は、建物の大規模修繕や大型リフォームなどと合わせて雨樋の全面交換となることも多い。

神社仏閣などに取り付けられている銅製樋の場合は、緑青色の美しい色合いを生かすために、一旦雨樋を外し歪みや曲がりの補修を行い、吊り金具を取り替え復旧する形で再利用することもある。

雨樋を修理や補修するよりも全面やりかえした方が良い場合とは

雨樋を修理や補修するよりも全面やりかえした方が良い場合とは

樋の一部の補修であれば、スライダーはしごや高所作業車を使い補修することが可能だ。樋の不具合が、全体的な経年劣化が原因の場合には、足場を組んで全部やりかえを行った方が良いだろう。一般的な塩化ビニルの樋でも20年以上は耐用年数があるので、何度目かの屋根や外壁塗装工事のタイミングで合わせて行うのが良い。下記の3つの場合は、雨樋の全面やりかえを選択した方が良い場合となる。

外壁・屋根工事を検討している場合

雨樋全体が劣化している状態で、外壁の塗り替えや・屋根の葺き替え工事を検討している場合は、全面やり替えを検討するタイミングとして最適だ。

雨どいを交換する場合の、気になる点の一つは、吊り金具を付けなおすことによる雨漏りの心配だ。吊り金具を取り付け直すために、元の吊り金具を撤去することで、外壁に穴できることと、新しい吊り金具を取り付けるために新たな穴を開けることになることからだ。

その部分の防水対策がコーキングをビス周りに打つという簡易的になってしまうことも心配の要因だ。外壁塗装や屋根塗装を行う場合なら、雨樋の吊り金具を先行して取り付けてから、外壁塗装を行うことで、より確実な防水処理が可能なことと、見た目もきれいに仕上がるメリットがある。

 また、屋根や外壁を塗装する場合は、家全体に足場を組んで施工するため、部分補修をするよりも、全面やり替えを行った方が、長期的に見てお得になる場合もある。今は、一箇所の補修で済んだとしても、近いうちにまた修理が必要になる可能性があると予測できる場合は、思い切って全面やり替えをすべきタイミングだ。

部分補修の箇所が多く費用が高額になる場合

上記のように外壁・屋根工事があれば同時に行うことが望ましい。そうでない場合でも、軒樋が台風や積雪などにより、複数個所が破損してしまった場合など、部分補修の箇所が多い場合は、全面やり替えを行うことも検討したい。

 その場合の判断基準は、足場を組んで、樋補修の作業を行う必要があるかどうかがだ。全部の雨樋を交換した場合、そこから20年〜30年は、定期的な点検のみで済むことを考えれば費用対効果の判断も可能だ。

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特殊な雨樋で部分補修ができない場合

形状が特殊で、交換部材が入手できない場合や銅製樋など、部分補修を行うにしても、高価な場合などは、塩ビ樋などに部材を見直し全面やり替えを行うことも視野にいれたい。また吊り金具を交換するために軒先の瓦をめくる作業などが発生する場合も、部分補修を行うより全面的にやりかえた方が良い場合もある。

雨樋をDIY交換する際に押さえておくべき知識

既存の樋を防水テープなどで補修するのではなく、交換する場合、新しい部材を用意する必要がある。交換の際の流れは下記である。

①交換する樋の部材(名称)を確認する。
②使用している樋の形状・素材を確認する。
③使用している樋のメーカーと品番を確認する。
④新しい樋の部材を購入する。
⑤交換

①の部材(名称)確認は下記の画像を参考にしていただきたい。

②樋の形状・素材を確認するでは、まず形状が「角型」か「丸型」かを確認する。

続いて素材である。素材は主に下記が使用されている。
あまり素材に詳しくない方でも判別できやすいように、画像と特徴も記載するので、
参考にしていただきたい。

・塩化ビニール樹脂


排水管などに多くしようされており、名前の通り固いビニールの質感である。
・合成樹脂

近年ではこちらが主流である。樹脂ということで、塩ビよりも高価で耐久性も高い。
・ガルバリウム鋼板

名前の通り、錆に強い金属である。こちらは樹脂性よりもさらに金額は高めである。
・銅

https://www.jtmplumbing.co.uk/pipe-fittings-c433/copper-pipe-6mm-219mm-c174/yorkshire-lawton-cubralco-copper-pipe-p3792

そのまま、金属の銅である。茶色、酸化した緑青と色で判断しやすいだろう。
・アルミ

https://www.grainger.com/product/GRAINGER-APPROVED-Schedule-40-Aluminum-Pipe-4KA85

こちらもイメージしていただきやすいだろう。高価な為、樋ではあまり住宅では使用されず、店舗などで
使われることがある。
・ステンレス

http://www.valex.com/products-stainless-steel.aspx

アルミにパッと見は似てみえるかもしれないが、アルミよりかは安価な為、
スタイリッシュな住宅に使われることがある。

③樋のメーカー・品番を確認する方法は下記である。

・建築時の部材明細や見積もりの記載を確認
・樋の印字を確認

部材明細を確認するのが確実だが、見当たらない場合などは、樋の印字を確認する。
縦樋は表面に「メーカー名・型番」が印字されている。
横樋で確認する場合は、端につけられている「止まり」というカバー状の部材の正面に印字されており、
確認しやすいので見ていただきたい。

④購入方法は、メーカーから取り寄せるか、ホームセンターやネットショップで購入する方法がある。

⑤交換方法は、先に「破損してしまった場合の補修方法」で解説した通り、
破損箇所をカットして、新しい部材を接着剤で取り付ける。
度々となるが、高所での作業は想像以上に力が入らなかったり、自由がききにかったりと
危険を伴う作業である。無理だけはせずに安全な方法を選んでいただきたい。

雨樋の修理や補修にかかる費用の目安

雨樋の修理や補修にかかる費用の目安

上記ように、雨樋は補修や修理が可能だ。それらを行った場合の概算費用について見ていく。部材費用が安く済む場合は、一式での算出方法になる場合もあるが、一般的には、施工する雨樋の長さによって概算費用を見積もる場合が多い。

樋の修理や補修の費用

雨樋を部分交換するできる一番の条件は、今取り付けてある雨樋と同じものが調達できることだ。今ついている雨樋のメーカーがわかれば探すことも容易だ。塩ビの半丸タイプなどなら入手もしやすいため部分補修が可能だ。部材が廃盤となっていたり、雨樋が特殊な形状だったりする場合は、雨樋の破損が一部分であっても、すべて取り替えるしかない場合もある。

下記の例は、雨樋の修理や補修用の部材があった場合の費用の目安だ。部分修理の場合、部材のmあたりの単価と集水器や金物などの部材の個数の合計で算出されることが多い。

【塩ビ半丸型の雨樋の修理や補修費用の目安】

軒樋の取替修理費用(材料費込み)

3,500円/m~5,000円/m

縦樋の取替修理費用(材料費込み)

2,500円/m ~3,500円/m

控え金具取替修理費用(材料費込み)

竪樋用取替修理費用 600円/ヶ所~

軒樋用取替修理費用800円/ヶ所~

集水器の交換取替修理費用(材料費込み)

3,000~8,000円/ヶ所

廃材処理費

10,000円~

修理や補修の範囲が広い場合は、作業効率を考え作業足場を組んで作業を行う。2階部分の軒や高所部分の縦樋の修繕の場合は、高所作業用のはしごやスライダーを使用する必要がある。その場合は上記の施工費用とは別に5,000円から30,000円程度の費用がかかる場合がある。平屋の屋根や1階下野の軒樋の修繕なら、脚立などで作業できるためこれらの費用は上記の修理費用に含まれる場合が多い。

素材ごとの雨樋価格の違いについて

樋の部分補修や修理は、部材の素材により変動する。金属製の樋は塩ビ樋と比較して単価が高いため、部分補修の費用も高くなる。また、金属製の樋や塩ビ樋はカットしたり接続したりするのに技術や手間が必要なため金属製の樋は修理費用が高くなる傾向がある。修理や補修の施工費用については、施工箇所や施工方法により異なるため、ここでは部材のm単価を比較することでおよその違いを記載する。

【軒樋の材料価格比較】(m単価・消費税別)

塩化ビ(半丸樋) 500円/m~

表面処理済み塩ビ 800円/m~

ガルバリウム製 1,000円/m~

銅メッキいぶし仕上げ 1,500円/m~

銅・ステンレンレス 5,000円/m〜

アルミ(大型) 10,000円/m〜

部材によっては部分修理ができない場合や既製品がなくオーダーでの製作が必要な場合があるため、上記の価格はあくまで参考となる。

全面やりかえの場合の工事費用

雨樋の部分修理や補修を行うか全面やりかえを行うかの判断をするために、全面やりかえをした場合の総費用の目安を知っておくことは大切だ。

全面やりかえ工事の場合も、部分修繕工事と同様に、各部材の長さから積算を行い、その費用に建物全体に設置する足場費用を追加して算出する。延床面責30坪程度の一戸建ての雨樋をやりかえ工事の場合の参考工事費用は以下のようになる。

【延床面積30坪の一戸建て雨樋全面工事】

(軒樋50m+竪樋40m)の参考工事費費用(塩ビ丸樋75mmの場合)(消費税別)

軒樋部(部材・金物共) 50m × 3,500 = 150,000円

集水器         5ケ所 × 3,000 = 15,000円

縦樋部(部材・金物共) 40m × 2,500 = 100,000円

既存樋撤去処分費          一式    35,000円

足場設置費用 200㎡× 600 = 120,000円      

                                        合計     420,000円

※見積もりに記載がなければ、材料費込みの工事単価には、継手部材や控え金具、接着剤なども含まれることが多い。

雨樋の修理や補修はどこに依頼すべき?

雨樋の修理や補修はどこに依頼すべき?

雨樋の修理や補修を発見した場合、まずはその建物を建てた会社に相談するのが良いが、建築時から長期間経っている場合や、中古物件を購入した場合などは、自分で業者を探すことになる。その場合、樋の種類によって依頼先を選定するのが良い。

塩ビ系の樋の場合は、既製品の部材を補修したり交換したりする場合が多いので、瓦屋根やカラーベストの葺き替えなどを行っている屋根工事を行っている業者が良い。塩ビの雨樋の補修では、メーカーの商品を使うことが多いが、それらのメーカーは、屋根材もラインナップしていることが多いため、既存の雨樋の特定がスムーズだったり、見積もりがすぐに出たりするメリットがある。

一方、金属系の雨樋やオーダーメードの銅製の樋などの場合は、金属加工を得意とする板金専門業者に依頼するのが良い。金属加工を行うための道具は特殊だったり、曲げ加工などには技術が必要だったりするからだ。ステンレスやアルミ、銅製の雨樋の場合、耐久性が高いため、多少の変形などの場合、交換ではなく修理や補修で済む場合もある。また、店舗や事務所などの金属製の雨樋が取り付けてある建物の場合、屋根や外壁も金属製品の場合も多く、その場合は板金業者に依頼することが最善となる。

このように、雨樋の修理や補修は、屋根業者か板金業者のいずれかに依頼するのが望ましい。屋根工事全般を請け負っているリフォーム店であれば、どちらにも対応出来る。製樋を塩ビ樋に取り替えたい場合や、屋根塗装工事も合わせて行いたい場合などの場合は、それらの工事全般の取り扱いを行っているリフォーム店に依頼する方が良い場合もある。

雨樋を自分で修理や補修を行う方法と注意点

雨樋を自分で修理や補修を行う方法と注意点

塩ビの雨樋であれば、継ぎ手のはずれを修理たり、割れた縦樋を交換したりするなどの補修は自分でも可能だ。平屋住宅や1階部分の下屋などであれば、脚立などがあれば十分に作業ができるため、費用を抑えるために自分でやろうと考えることもあるはずだ。

ただ、危険を伴う高所作業は自分でやらず、業者に依頼する方が良い。その前提で、ここでは自分で雨樋を修理する手順を紹介する。

雨樋を修理するための材料は、ホームセンターやネットショップで入手可能だ。一番簡単な補修は、雨樋が割れた部分から水が漏れたり、外れかけたりぐらついたりしている樋を耐水テープなどで簡易的に固定する程度のものだ。その場合、雨樋の部材さえ必要ない。あくまで応急処置となるが、割れた状態の雨樋から雨水があふれ出すことを防ぐことはできる。

また、落ち葉などの清掃も自分でできるのであれば、定期的なことなので自分でやりたい作業の一つだ。

雨樋を自分で部分交換する場合には、今ある雨樋の修理したい部分を取り外し、新しい部材を必要な長さにカットし、継ぎ手を使い接着剤で固定すれば良い。その場合は、取り付け金具を付け直す必要もないため、比較的容易に修理ができる。玄関周りの縦樋に何かをぶつけて割ってしまった場合などでも、このように修理することで、耐水テープで簡易補修するよりもずっと見栄えもよく仕上がる。塩ビの雨樋ならカットも簡単だ。

縦樋・横樋の交換(外し方付け方)

軒樋を吊り金具から交換したい場合には、もう少し本格的になる。雨樋には勾配をつけるために糸で基準となる目印をつけたり、集水器に差し込む部分や軒樋の端部を加工したりする必要が出てくる。既存の吊り金具を撤去し、新たな吊り金具を固定するために、バールやイパクトドライバーなども必要になる。縦樋との連結には、曲げ部材を使い長さや角度を調整しながら取り付ける必要がある。このように全体的な雨樋の修理や補修となると必要な道具や技術も上がってくるため、どの程度までなら自分でやるかは個人の判断になってくる。

このように、雨樋の補修や修理方法への対応は、その状況や内容によって変わるが、ちょっとした雨樋のひび割れであれば、脚立などを使えば手が届く範囲であれば、自分で補修することも可能だ。市販の防水テープを貼るなどで穴を塞ぐことは応急処置になる。ただ、あくまでも一時的な補修となるので、台風シーズンなどの前には交換を行うようにしたい。

DIY雨樋修理で知っておくと良い道具

■パイプクリーナー

縦樋の中のゴミを取り除くのに使用する。ワイヤーなどでお手製のもの作れるが、高いものではないので、是非試してただきたい。

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■落ち葉よけネット

横樋に設置して落ち葉の入り込みを画像のように防ぐ。かなり落ち葉の入り込みは解消されるが、台風などがあった際には、ネット自体がはずれていないか、確認して傷んできたら交換しながら使っていただきたい。

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■防水テープ

樋の破損個所をカバーするのに使う。ひび割れなどによる雨樋の雨漏りはすぐに止まるが、完全な補修ではないので、応急処置として使用していただきたい。

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■バールやイパクトドライバー

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樋を固定する金具の交換に使用する。インパクトドライバーではなく、ドライバーでも可能だが、断然早くビスの取り付け、外しが行え、またDIYでは必須アイテムだろう。

はしごの使用・高所での修理の安全対策

雨樋修理を自分で行う際に、最も気にして頂きたいのが安全面である。

高所作業は作業に熟練している専門業者でさえ必ずヘルメットや安全帯を着用する。ちょっとした滑りや躓きで落下の危険があり最悪命を落としかねない。

特に雨や足元が濡れている場合は作業はもちろん、点検でも高所に上がってはいけない。

自分で修理を行う際には必ず下記を守っていただきたい。

■ヘルメットの着用

■はしごの安全な使用

■ふんばりやすく、滑りにくい靴の着用(屋根用作業靴)

■動きやすく体にフィットした服装

なぜ雨樋を修理や補修せずに放置するとダメなのか

なぜ雨樋を修理や補修せずに放置するとダメなのか

ではなぜ、雨樋は補修や修理が必要なのだろうか。雨樋から雨が漏れたり雨樋が外れた状態を放置したりすると、住まいにどのような悪影響を及ぼすのだろうか。それらについて知っておくことが住まいを長期的に良い状態に保つことにつながる。

樋が外れたり破損した状態で、修理や補修を行わずそのまま放置すると、屋根から流れ落ちた雨水が外壁や軒先、軒裏にかかる。その雨水が外壁にかかり続けると、建物の劣化につながる。外壁塗装やシーリング部分に劣化がある場合、そこから水が壁の中に入り込み最悪の場合、雨漏りの原因にもなる。また雨樋に空いた穴から落ちた雨水が、地面で跳ね返り、その跳ねた雨水が土台部分にかかることで土台部分が傷んだり、基礎部分が湿気たり、床下が腐食する原因にもなる。また、雨が落ちる音が不快だったり、軒下を歩く時に雨にあたるなどの問題も発生する。

もしそれが雨漏りにつながるような樋の不具合は特に放置するのは非常に危険だ。

特に木造住宅の場合は深刻で、そのまま雨漏りを放置すれば、建物をあっという間に劣化させてしまう。水に濡れなければ30年以上もつ住まいも、雨漏りの放置によって1年でボロボロになることもある。

また、シロアリは湿気を好むため、雨漏りがシロアリを引き寄せてしまい蟻害に合う可能性も高まる。土台や壁がシロアリの被害に遭えば、建物自体の強度が著しく低下し危険なうえ、修復に多大なコストが発生する。さらに、湿度の高い状態を放置するとダニやネズミなどが生息しやす環境となる。雨漏り箇所の壁をめくると壁の中がカビで真っ黒なこともある。このような状態が健康に悪影響だ。放置すれば体調不良や喘息などを引き起こす可能性もある。これらのことからも、雨樋の修理や補修は本気で検討すべきだと言える。

樋修理費用に火災保険が適用できる場合

樋修理費用に火災保険が適用できる場合

火災保険適用で、雨樋の修理や補修の負担が実質ゼロになる場合があることをご存知だろうか?台風で雨樋に損害が発生。そんな時に、保険適用で修理や補修の費用が実質ゼロ円にできる場合がある。

突発的な暴風雨や台風、積雪などによる自然災害による被害は、問題なく火災保険が適用されるため被害のほとんどが補償される。雨樋の破損の原因の多くは、暴風による継ぎ手の破損や軒樋の歪みや想定以上の積雪による樋の破損などだ。集中豪雨で雨樋に一気に雨水が流れ込みその負荷により雨樋が破損し修理や補修が必要になる場合もある。

下記の事例では、台風による風災により屋根、雨樋、カーポートに損害が発生。その結果室内に雨漏りも発生。それらの被害に対し保険が適用され、結果的に75.8万円もの工事費用を保険金でカバーすることができた。

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自然災害で雨樋が破損した場合には、火災保険が適用できるか必ず確認するようにしたい。

雨樋の定期点検・メンテナンスのすすめ

雨樋の修理や補修について知れば知るほど、定期点検や日頃のメンテナンスが大切だということがわかる。大きなトラブルになってしまうと結果的に修理や補修の費用が高くつくことが多い。

平均的な耐用年数の期間、雨樋が問題なく機能するようにしたいところだ。それには、年に1回程度、建物外部からの目視での点検が一つのポイントだ。まずは、樋を建物に固定している金具が外れていないか、軒樋が集水器から外れていないか、縦樋の継ぎ目がずれていないなどをチェックしたい。塩ビの雨樋の場合、色褪せなどの劣化の状況を把握することで修理や補修が必要なタイミングを予測することも可能だ。

耐久性の高い金属製の樋の場合でも油断は禁物だ。落ち葉やゴミが溜まり、その重さで雨樋の吊り金具が破損したり、樋内部から劣化が進み、穴あきが起こったりする場合もある。

雨樋の修理や補修の方法はさまざまだが、費用が思ったよりも高くなる場合もある。雨樋の不具合を放置することは建物の劣化を早めることに直結するため放置せず、台風での被害などの場合は必ず保険の活用を検討すべきだろう。

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