外壁は風雨などの自然環境から建物を保護している部分なので、劣化が進みやすい場所である。
万が一、破損した部分を放置すると、建物を支える構造部分にも影響を与え、建物の安全性と価値を著しく低下させる。
家族の安全ためも、長期的に建物の価値を守るための補修方法と価格についてここで徹底解説する。
この記事読むことで理解できること
外壁・屋根の劣化や損傷を放置する危険性
外壁の劣化、損傷を放置すると水の浸入、雨漏りが起き、建物の重要な構造部分にも直接障害を与える被害になるし、人の健康に影響を与えることがある。
はじめに、外壁の損傷が進んでしまった場合、どういった危険性があるのか知っておこう。
外壁のひび割れや剥がれは老朽化を早める要因に
外壁の劣化や損傷を放置すると、建物の老朽化を早める結果につながる。
特に原因となるのは雨水や水分の浸入の入り口となることだ。外壁は、室内はもちろんのこと、外壁内部の構造部分も守っている。外壁の内部は通常見えない部分のため、水分の浸入が起きても、すぐにわからず、対処が遅れることも多い。
水分が浸入して、壁の中に入ると次のようなことが起きる。
木造の場合、壁の内部にある柱などの構造材(木材)に水分が浸入した場合、含水率が30%以上で腐朽し、強度が著しく低くなる。また、シロアリなどの食害被害も起こりやすく、こちらも強度が著しく低くなる。
鉄骨造の場合、鉄骨部分が錆びる可能性が大きくなる。錆ができると強度に問題が出る。
鉄筋コンクリート造の場合、内部の鉄筋部分が錆びると、膨張し、コンクリートを破損させる。爆裂と呼ばれる鉄が膨張し周りのコンクリートを押し出す現象が起こる場合もある。
いずれも、建物の骨組みであり、主要構造部分の強度が弱くなり、非常に危険だ。
雨漏りから腐れや害虫が発生
雨漏りが発生すると、前述のように危険なトラブルが起きる。ここでは雨漏りの原因のいくつかをご紹介したい。
■設計上の問題
デザインや敷地条件で屋根の軒が出ていない住宅は、外壁に雨水が当たりやすい上、紫外線にも晒される。外部の通気口やフード周辺から外壁内側の通気層に浸水したり、室内に入り込んだりして、雨漏りする可能性が大きくなる。
雨樋を壁に隠した設計では、雨樋の詰まりに気がつかず、雨水が溢れ、壁内や室内にも伝わる。
■外壁クラック、外部シーリング、塗装の劣化
外壁からの雨水の侵入を防ぐ防水施工は、現在の通気工法の場合、外壁部材やサイディングによる防水とその内側の透湿防水シートなどによる防水の二段階となっている。外壁のクラックから、雨水が浸入しても、内部のシートで壁内や室内に入るのを防ぐ。しかし、内部の防水シートなどが、破れたり損傷したりしている場合、雨漏りの原因になる。
また、外壁部分の様々なところで使われるシーリングも原因の一つ。5年~7年程度でシーリングは劣化するのだ。シーリングからの雨漏りは、サッシ周りの浸水が多いようだ。
長期間塗装をしなおさずに放置している外壁は、表面を保護している塗装が剥げてしまったり、弱くなってしまったりする。そうすると、サイディングはむき出しの状態となり、雨が染み込み壁の中に影響が出る場合もある。
「チョーキング現象」と呼ばれる現象は、外壁の表面に粉が吹いたような状態になり、触ると白い粉が手についてくる。このような状態は、塗装による保護がなくなってきている印の為、塗装の検討を始めてほしい。
■施工不良
外壁材やシーリング、透湿防水シートなどの施工不良があると、で雨漏りが発生する。
■腐れや害虫の発生
雨漏りなどで壁の中に水分が入り、湿度が上がると、柱などの木材の腐れ、カビの発生、シロアリの食害などが発生する。
□木材の腐れ
木材の腐れは、木材腐朽菌によって起こる。湿り気を好むため、雨漏りなどで木材が水分にさらされ、水分量が上がると発生し、木材の細胞組織を分解し腐らせる。
腐朽菌は褐色腐朽菌、軟腐朽菌、白色腐朽菌が存在する。白色腐朽菌は木材を分解し白く、褐色腐朽菌は褐色になる。木材が腐ると強度が低下し、柱などの構造材が腐朽すると建物の地震に対する強度が著しく低下する。
□カビの発生
湿気によりカビが発生する恐れもあり、カビ菌は室内にも入り込み浮遊するため、健康への影響がある。雨漏りなどで外壁の内部に水分が入ると、壁内の湿度が上がる可能性がある。見えない部分であるから、わかりにくく、発見が遅れることもある。湿度が60%以上、温度が20度以上でカビは繁殖しやすくなる。濡れた密閉状態の壁の中は、カビの繁殖場所になり、体調不良や喘息などを引き起こす可能性がある。
□シロアリ、その他害虫
シロアリは木材を食べ、その食害によって、木材自体の強度がなくなる。土台や壁の中の柱などがシロアリの被害にあうと、建物自体の強度が著しく低下し危険だ。修復にも多大なコストが発生する。
また、湿度の高い状態では、ダニやネズミなどの害虫、害獣がすみ易い環境になり、糞害など健康被害のリスクが高まる。
外壁サイディングの種類と特徴・よく起こる問題は?
建物の外壁に用いられる材料のうち、ボード状、パネル状の建材をサイディングという。
古くからある、漆喰やモルタル塗りなど、湿式工法と呼ばれるものよりも、施工が容易で、乾かす必要がないため、天候に左右されづらい。
パネル状になっているので、施工期間が短くてすむし、工場生産で品質が均一で、デザイン、性能、価格と種類が多く、施工しやすい建材であるため、現在では一戸建ての外壁工事の主流といってもいいだろう。
サイディングの種類は大きく4つ。
「窯業系サイディング」「金属サイディング」「木質サイディング」「樹脂サイディング」が存在する。
それぞれの特徴について説明していこう。よく起こる問題も記載するので確認してほしい。
■窯業系サイディング
窯業系サイディングは、繊維質とセメント質の混合板である。デザインもタイル調・石積み調・レンガ風と多くの種類があり、衝撃、火に強い性質を持っている。
□窯業系サイディングの特徴
・価格が安い
・耐火性に優れる
・デザインが豊富
□よく起こる問題 =ヒビが入りやすい
窯業系サイディングの弱点は湿乾伸縮である。水や湿気を吸うと伸びる、乾くと縮むという性質があり湿乾伸縮を繰り返すと表面の塗装膜にひび割れが起きる。
■金属系サイディング
金属系サイディングは、ガルバリウム・アルミニウム・ステンレスなどの鋼板でできている。長期間メンテナンスの必要がなく浸水せず、耐天候性も高いので、気温変化の激しい地域に向いている。
□金属系サイディングの特徴
・耐天候性
・長期間メンテナンスフリー
・防水性
□よく起こる問題 =メンテナンスに手間がかかる
金属サイディングはメンテナンスが必要で施工時の切り口がサビやすくメンテナンスで塗膜にキズがつき錆の影響を受けやすくなることが多くある。
■木質系サイディング
木製なので耐熱性能に優れている。水に弱いのがデメリットで頻繁な再塗装が必要である。
□木質系サイディングの特徴
・木のぬくもりあるデザイン
・腐りやすい
■樹脂系サイディング
アメリカでよく使われている外壁材で、劣化しにくく耐天候性に優れており、シーリングが使用されていないので目地の補修が必要ない。重量が窯業系サイディングの1/10で施工性に優れている。
□樹脂系サイディングの特徴
・劣化しにくい
・メンテナンス性に優れる
・軽い
サイディング補修の施工方法とメリット
サイディングの種類に続いて、補修する場合の施工方法についても確認しておこう。補修施工には大きく分けて2つの方法がある。
ひとつは既存のサイディングを一度剥がして新しいものに張り替える「張替え工法」、
もうひとつは既存の外壁を生かしその上に新しいサイディングを重ねて張る「重ね張り工法」である。
ここではこの二つの施工方法のメリット、施工の手順についてそれぞれ説明する。
■張替え工法
「張替え工法」とは、既存のサイディングを一度剥がして新しいものに張り替える工法のことである。
□メリット
・地震や経年変形による既存外壁と胴縁の間に隙間が開く可能性がない
・雨漏りの原因究明が比較的に容易で高額にならない。
・軽量で建物の構造に負担が軽い
□施工手順
①足場組立・設置:必要箇所に工事に必要な足場を組立て、設置する。
②既存外壁材を撤去 :現状で張られているサイディングを撤去する。
➂チェック補修 :壁内にある断熱材、透湿防水シートなどを確認し、補修箇所があれば補修する。胴縁と呼ばれるサイディングの下地になる木材も合わせて確認し、必要があれば補修する。
④水切り・スターター、本体設置:土台部に水切り金物、サイディングのスターター金物を専用留付金具で留めつける。スターターはサイディング毎に合うものを設置する。
⑤シーリング処理 :新しいサイディングパネルを胴縁に留め付け、パネルとパネルの間の隙間は、バックアップ材をつめてからシーリング材を充填する。
⑥撤去物設置・外部足場解体:付帯部分を取り付け、足場解体を行って終了
■重ね張り工法
重ね張り工法とは、既存壁をそのままにして、その上から新しいサイディングをかぶせる工法である。
□メリット
・新築同様の外壁にできる
・工事期間も短い
・施工価格が安い
・断熱性能に優れる
□施工手
①足場組立・設置:必要箇所に工事に必要な足場を組立て、設置する。
②既存外壁補修:シーリング部分を確認し、劣化部分はシーリングを充填する。
③土台水切り設置:新しく貼るサイディングの小口保護のため土台水切りを設置する。
④下地工事:壁内に通気層を確保するために、胴縁を既存外壁のサイディング上から留めつける。サッシ周りには見切り材を取り付ける。
⑤本体設置:土台水切りを取り付けたところから上へと張っていく。
⑥シーリング処理 :部材を留め付けた後、バックアップ材をつめてからシーリング材を充填する。
⑦撤去物設置・外部足場解体:付帯部分を取り付け、足場解体で終了。
自分でできるサイディング補修方法
外壁サイディングの補修は、DIYでも可能な部分がある。
塗装補修と必要な道具
外壁全体など大規模な補修は高圧洗浄が必要であり、しっかりした足場も必要だ。自分で行うのは非常に難しいし、洗浄の際にかえって水を染み込ませてしまうこともある。最終的な塗装も合わせて専門業者に依頼するべきだ。
外壁の一部分だけなど小規模のものであれば、ヤスリなどで既存の塗装を除去して塗装を行うことができる。ただし、自分で補修する場合には、あくまでも応急処置であると考えておいてほしい
■塗装補修の道具と手順
□塗装補修材料と工具
材料 :シーリング材、プライマー
工具 :刷毛、ヘラ
□塗装補修手順
①養生、足場組立:足場を設置し、塗料の飛散を防ぐ、飛散防止シートを掛けて養生する。
②洗浄:これから塗る塗料と建材の密着を強くする為、外壁の埃や汚れを落とし、整える。
③下地補修:外壁のひび割れや劣化したシーリング(シーリング)等下地部分の補修を行う。
④下地調整:古い塗装を取り除き、埃などを撮って表面を綺麗に整える。
⑤養生:窓ガラス、植木、床等に塗料が飛び散らないようテープやビニールで保護する。
⑥塗装(下塗):下塗りは上塗り材と外壁を密着させる役割を果たす。
⑦塗装(中塗・上塗):実際の仕上がりの色の塗料を塗る。必要な部分は回数を増して塗装する。
⑧足場解体:養生を取り除き、足場を解体して終了。
目地のシーリング打ち替えの道具と修理手順
パネル同士のつなぎ目にある目地部分には、シーリングが施工されている。シーリングは5年から7年程で寿命になり、必ず劣化する。既存シーリングを撤去して、新しいシーリング材を充填することを打ち替えと呼ぶ。
■打ち替えの道具と手順
□打ち替えの材料、工具
材料:シーリング材、シーリング材専用プライマー
工具:へら、バックアップ材、ボンドブレーカー、刷毛、シーリングガン、カッター、マスキングテープ
□打ち替えの補修手順
①既存撤去、清掃:カッターで既存のシーリングを丁寧に撤去する。目地を刷毛などで清掃する。
②養生:目地まわりをマスキングテープなど養生テープで保護し、外壁にシーリング材を付着しないようにする。
③バックアップ材の確認:撤去したシーリングの正面奥にはバックアップ材があり、シーリングを左右のパネルのみに接着させる。バックアップ材が取れてしまった場合などは、入れ直す。
④プライマー塗布:接着を高めるため、シーリングが接着する部分である左右のボード横に塗る。
⑤シーリング材の充填:シーリングガンを使用して、目地部分にシーリング材をたっぷり注入する。
⑥ヘラでならす:ヘラやバッカーを使用して均一にする。
⑦養生テープを剥がす:シーリング材が乾く前に養生テープをはがす。
業者に頼むべき補修/チョーキングや欠けなど
外壁にひび割れ・シーリングの割れ・反りなど、劣化症状やトラブルを発見した時、費用を抑えるために自身で補修をしようとする方も多くいるだろう。一度発生した劣化は時間とともに進行する。自分でできるところは早めに対処してほしい。
ただし、やはり専門の業者に依頼したほうがいい症状もある。自分で行うDIYは、あくまでも応急処置であり、トラブルを広げない処置だ。特に広範囲に補修が必要な場合は、迷わず専門の業者に依頼することを検討すべきだ。
■チョーキング現象の補修
チョーキング現象の補修は業者に依頼するのがおすすめだ。チョーキングは紫外線などによってサイディングを覆う塗装が劣化して起こる現象だ。触ると手に白い粉がつくし、外壁を見た印象も白っぽく光沢がなくなってくる。雨など水に濡れると変色する。
保護幕でもある塗装の劣化のため、放置すればサイディング本体が痛むことになる。大抵の場合全体的にチョーキングが起こるので範囲は広いことが多いだろう。
■クラック補修
0.3mmから0.7mm程度のヘアークラックはできる限り早く補修するようにする。少しカッターで削り、その溝にプライマーを塗布してパテでヘアークラック補修する。
この場合も自分で行う際には、あくまで応急処置だと考えよう。
確実な補修には専門業者に依頼がおすすめである。
ヘアークラックよりも大きな割れやクラックは、サイディングの中に影響がある可能性もある。紙が差し込めるようなクラックの場合は、かなり深く、割れていることも考えられる。専門の業者に依頼するべきだ。
■サイディングの欠けや反り
サイディングのパネルそのものの「欠け」や「反り」は、パネルそのものの交換が必要だ。業者に依頼してほしい。
■目地の補修
目地に使われるシーリングは、部分的な補修以外は5年から10年程度でシーリングは劣化するのでシーリングの打ち直しは外壁塗装のタイミングで同時が効率的なので業者に依頼してほしい。
業者修理の相場価格を公開
外壁サイディングの補修を業者に依頼する場合、どの程度の価格が相場だろうか。もちろんサイディングの種類や施工する面積などによって、金額は変わってくる。
サイディングの補修にかかるリフォームでは、おおよその費用の内訳となっている。
塗料・養生、材料費:2割
足場の費用:2割
人件費:3割
その他・諸経費など:3割
一部が破損してその部分のみを交換する補修の場合は、具体的な経費として、「サイディング破損部分枚数」「施工に必要な人数」「設備、道具を含めた経費」になる。おおよそ10万円程度、1枚からできるようだ。枚数が増えても施工に必要な人数が増やす必要がない限りはサイディングの枚数が増えるだけである。
ただし、古いサイディングなど、張り替えが同じサイディングでできない場合などは、張り替えを検討することになる可能性もある。
参考に工事価格の相場を記載しておく。ただし、実際の工事は現場によって条件が違うものだ。必ず見積もりを取り、内容を確認した上で検討してほしい。
塗装補修相場価格
外壁が劣化してきた時には、まず塗装の塗り替えをすることが一般的である。高価な塗料ほど耐久性が高く、長持ちする傾向にある。サイディングに合わせた塗料を選択することになるだろう。
塗料費用 (30坪として) | 耐用年数 | 50年間で 必要な塗り替え数 | |
ウレタン塗料 | 82万円 | 約7~10年 | 約6回 |
シリコン塗料 | 93万円 | 約10~13年 | 約5回 |
ラジカル塗料 | 95万円 | 約14~16年 | 約4回 |
フッ素塗料 | 118万円 | 約15~20年 | 約3回 |
光触媒塗料 | 121万円 | 約15~20年 | 約3回 |
無機塗料 | 128万円 | 約15~25年 | 約2回 |
シーリング補修相場価格
シーリング補修には「打ち替え工事」と「打ち増し工事」の2つの方法がある。既存のシーリングを撤去して新たにシーリングを施工する「打ち替え工事」が耐久性の面で優れている。
シーリング後、塗装をすることで劣化を遅らせることができるため、外壁塗装との同時施工も検討したい。足場設置も一度で済み、の費用削減になる。
施工費用 打ち増し
(30坪として)
| 施工費用 打ち替え
(30坪として)
| 用途 | 特徴 | |
変成シリコン | 約22万円 | 約26万円 | ガラス廻り ダクト周囲 折板屋根 | 耐久性・耐候性・耐熱性・耐水性に優れる、塗装不可 |
シリコンコーク | 約24万円 | 約28万円 | サイディング目地 ALC板目地 折板屋根
| 優秀であるが値段が高い、若干耐久性が劣る
|
ウレタンコーク | 約20万円 | 約24万円 | クラック補修 ALC板目地 シート防水目地
| 紫外線に弱いので塗装する必要がある
|
ポリサルファイト | 約22万円 | 約26万円 | 石材目地 タイル目地
| 硬化するので動きの少ないところで使う必要がある
|
アクリルコーク | 約16万円 | 約22万円 | コンクリート目地 ALC板目地
| 作業性に優れるが耐久性が劣る
|
張り替え・重ね張り補修相場価格
前述の通り、張り替えには、既存外壁の上に新しいサイディングを張る工法である「重ね貼り工法」と、既存のサイディングを撤去して新たな材料を貼る「張替え工法」がある。
重ね貼り工法は、短い工期で施工が可能で断熱性や遮音性が高くなるし、張替え工法は既存のサイディングが痛んでいる場合などは安心できる施工だ。
■重ね貼り工法補修相場価格
施工費用 (30坪として) | 特徴 | |
窯業系サイディング | 90万円 | 耐火性に優れ、種類が多い |
金属系サイディング | 90万円 | 変形せず、耐天候性に優れる。 |
木質系サイディング | 110万円 | ぬくもりがある。塗装のメンテナンスは必須 |
樹脂系サイディング | 180万円 | シーリングが必要なく、メンテナンス性に優れる |
■張替え工法補修相場価格
雨漏りが起こっているなど、既存のサイディングの劣化している場合は張り替えを行なう。
施工費用 (30坪として) | 特徴 | |
窯業系サイディング | 120万円 | 耐火性に優れ、種類が多い |
金属系サイディング | 120万円 | 変形せず、耐天候性に優れる。 |
木質系サイディング | 140万円 | ぬくもりがある。塗装のメンテナンスは必須 |
樹脂系サイディング | 210万円 | シーリングが必要なく、メンテナンス性に優れる |
外壁は長期的メンテナンスを考慮
外壁は、自然環境にさらされており、過酷な環境にいる。そのため、必ず経年で劣化が起こると考えたほうがいいだろう。取り返しのつかないトラブルを避けるために、定期的なメンテナンスを長期で考慮しておくべきだ。
サイディングの種類でメンテナンス回数や費用も変化する。例えば、窯業系サイディングの場合、導入費用は比較的安いが、20年〜30年のスパンで考えると、2回〜4回ほどメンテナンスが必要である。金属系サイディングは窯業系サイディングより導入コストは割高だが、メンテナンスを含めたトータルでは安くなる可能性もある。
よく使われるサイディングの種類別に、メンテナンスのサイクルを見て行こう。
種類別メンテナンスのサイクルとスケジュール
■窯業系サイディングのメンテナンス
窯業系サイディングは8年〜12年ほどを目安に「ひび割れ」や「剥離」が発生するので、外壁塗装とシーリングのメンテナンスを同時に行うと節約になる。防水がなくなると水を吸ってしまい変形するので10年程度で定期的にメンテナンスをすることが重要である。
■金属系サイディングのメンテナンス
金属系サイディングはアルミやガルバリウム鋼板でできている。傷がつきやすいので定期点検が重要である。塗装は密着性に優れたウレタン塗料を使用し、コストに優れる水性塗料が多く使われている。
■木質系サイディングのメンテナンス
木質系サイディングは他の水を吸収する。そのために、5年〜8年を目安に外壁塗装をする必要である。木質系サイディングは腐食してしまうので、確実にメンテナンスしてほしい。
シーリング・塗装の補修・張替えのタイミングは?
■シーリング
シーリングは5~7年で劣化する。塗装補修とあわせて10年に1度、打ち替え補修をするようにしたい。
また、紫外線が常に当たる南側などは、他の部分よりも劣化が早くなっていることもある。狭い範囲や手が届く場所など、自分でできる範囲は応急処置として補修を行うといいだろう。
■塗装
保護膜である塗装をしっかりメンテナンスすることで、サイディングの劣化を遅らせることができる。
塗料によってメンテナンスの期間は異なる。ウレタン塗料は20年で2回の外壁塗装が必要だが、フッ素塗料は1回で十分である。現在の塗装がわからない場合は、サイディングのメーカーに問い合わせたり、施工業者に確認したりするといいだろう。
塗装はシーリングの上から行う場合が多いので、シーリングの補修後に塗装をするとスムーズであり、その後の持ちが良くなる。一緒に施工をすると。足場をかける必要があるから、その手間や費用も1回分で済むはずだ。
■張替えの検討
サイディングそのものの張り替えを検討するのは、20年程度経過した頃になる。長期的なメンテナンスでは重ね張りの利点が多いように思えるが、サイディングに反りがある場合などは補修が難しく重ね張りの下地を正確に作ることができない。サイディングの状況によって、重ね張り、もしくは張り替えを検討する。
補修コストの削減/火災保険などを活用!
外壁の補修は業者に頼むとそれなりの費用がかかる。補修の費用を削減できる場合がある。
火災保険には「風災・雹災・雪災」補償、「家財保険」が付属しているものがあり、台風や竜巻、大雨や豪雨による土砂災害などの自然災害、家屋が倒壊・破損して被害を受けた場合にも補償してくれる。
修理費に火災保険が適用されるケース
■火災保険で修理の費用は補償
火災保険は火事などでの災害時に補償される印象があるが、実際は外壁の修理などにも対応している。火災保険では、「風災・雹災・雪災」補償があり、こういった補償は修理に利用することができる。
□「風災・雹災・雪災」の適用例
・雹で外壁が割れた
・台風の飛来物で外壁が傷つき、そこから雨漏りが発生した
・強風で物がぶつかって外壁が破損した
もちろん外壁以外も自然災害(台風や雹害など)で損傷したことが原因と認められれば火災保険の補償対象となる。自然災害による破損が対象なので、原因がわかれば火災保険適用の可能性があるから、覚えておきたい。
まずはプロに調査を依頼して、損傷の原因が何なのかをしっかりと把握することが重要だ。保険適用の工事に詳しい専門業者に依頼できるとなおいいだろう。
■火災保険の補償適用条件
大多数は風災によるものであり適用条件がある。
・修理費用が20万円以上
・最大瞬間風速20m/秒以上
・被災から3年以内に請求
保険適用の内容は違う場合もあるので必ず確認してほしい。
■雨漏りによって被害をうけた家財も対象
火災保険には、「家財保険」もあり、水害・盗難・地震・落雷など火災も補償してくれる。
まずは、ご自分の加入している火災保険の内容を確認しておくといいだろう。台風の時など、被害の状況を写真や動画にとって記録しておくことも有効だ。
複雑でわかりにくければ、保険会社に問い合わせをして説明を受けるのも良いだろう。被害が起きた時に慌てないように知っておくべきだろう。
おすすめの火災保険会社
火災保険は基本的にオーダーメイドの保険なので、物件構造や地域で保険料が異なる。補償プランをシンプルにすることで、火災保険料が安く抑えられている商品も存在する。
□ホームアシスト(楽天損保)
事故時諸費用:支払い:30%、限度額:500万円
特別費用:支払い:20%、限度額:300万円
被害額1000万時の補償金額:事故時諸費用300万円、特別費用200万円
□ホセコム安心マイホーム保険
事故時諸費用:支払い:30%、限度額:300万円
特別費用:支払い:20%、限度額:200万円
被害額1000万時の補償金額:事故時諸費用300万円、特別費用100万円
□GKすまいの保険
事故時諸費用:支払い:10%、限度額:300万円
特別費用:支払い:なし
被害額1000万時の補償金額:事故時諸費用100万円、特別費用なし
□マイホームぴたっと
事故時諸費用:支払い:10%、限度額:100万円
特別費用:支払い:10%、限度額:100万円
被害額1000万時の補償金額:事故時諸費用100万円、特別費用100万円
瑕疵担保責任で業者が負担も/築年数が少ない場合
火災保険以外でも、費用負担がない場合がある。
築10年以内であれば業者が負っている「住宅瑕疵担保責任」に該当し、いわゆる新築住宅の10年保証によって、業者側の負担で修理される場合もあるのだ。
住宅品質確保促進法では、新築住宅における瑕疵担保期間は10年と義務化されている。
「住宅の柱や壁など構造耐力上主要な部分」、「屋根など雨漏りを防ぐ部分」に、不備や欠陥( 瑕疵)があった場合、引き渡しから10年以内に見つかった場合は、施工会社や販売会社などが無償補修などをしなくてはならないとしている。
つまり、雨漏りや基本構造部分(柱、梁、構造耐力上主要な部分、屋根、外壁)の不備など、住んで見ないとわからなかった隠れた瑕疵が原因の場合は、工務店などの施工会社や不動産業者などの販売会社が無償で補修をする義務があるのだ。
中古物件は10年間の住宅瑕疵担保責任の期限が終わっていることがあるが、築浅物件であれば、不動産屋、工務店や施工業者に無償で直してもらえる可能性がある。
いずれにしても、まずは外壁を目で見て確認して、不具合があれば、対処をする。ということを実践してほしい。
経年による劣化は必ずある為、築年数などを考慮しながら、専門の業者の助けを借りることで、安心して長く住み続けることが可能になるのだ。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。