局所的豪雨、来襲する台風の強大化や来襲数の増加等で、家屋周りの脆弱部分が損傷を受ける例が多発化している。家屋周りの脆弱部分として挙げられるのが、カーポートや、その樋だ。
これらは、構造自体の脆弱性やデザインとして損傷を受けやすい作りをしている。それ故、過去に無い規模や強度の台風が襲来すると容易に損傷してしまう。
自然災害の脅威が、益々増大化していく時代を乗り切るための一つの有効な智恵をご紹介するので本稿を熟読して欲しい。
この記事読むことで理解できること
カーポートのあれこれ どんな種類のカーポートがある?
まずはカーポートの種類と弱点を知ろう!一口にカーポートといっても千差万別で種々のタイプが存在する。これらを一緒くたに論じることは重要なポイントを見逃す恐れがあるので、手掛かりとして、代表的なカーポートの事例や弱点をみてみよう。
構造やデザインでカーポートを分類
ビルトインタイプのカーポートがある。住宅と一体型のカーポートだが、車庫という表現が相応しい。この様な一体型は除外して、庭に独立型として設置されたカーポートの分類を考えよう。
カーポートは、切り口により色々と分類ができるが、本編では構造やデザインに注目して市販されているカーポートを分類しよう。図1は、カーポートを屋根や覆いの構造と柱の配置のデザインで分類したものだ。
既製品のカーポートは、図1に示す様に屋根を有するタイプ(屋根造り)と布製の膜で車全体を覆うテント造りに大別できる。また、屋根造りの場合は屋根を支える柱の配置により2本柱と4本柱に分類できる。
また、2本柱の構造は、片端支持による脆弱性を有することから、補強のために開放端に支持棒を設置することもできる。
ハードな柱を有する屋根造りと異なるテント造りの場合には、蛇腹を可能とするために複数の支柱を有し、支柱で布製の膜を保持すると共に両端で支える構造となる。柔軟な布製の屋根であることや細い支柱で構成されるテント造りから風や雪に対する耐性は低い。
これら屋根造りのカーポートの事例は、後述するように検索で得られたカーポートの例であるが、その他のデザインでも共通する要素を備えている根源的な構成だ。屋根を支える構造は、これらの事例にある様に2本又は4本が基本となる。
パラソルの様に1本の柱で屋根を支える構造も可能だが、面積の有効利用率やカーポートとしての強度の点で採用は困難な構造だ。
尚、図1.に示すカーポートの写真は、本編末尾に引用先を記載しているので参考にして欲しい。アマゾンでカーポートをキーワードで検索した結果得られた写真だ。
カーポートメーカーの種類
カーポートを販売するメーカーは複数あるため、製品を選ぶ時に迷われるかもしれない。
カーポートの形状や特徴、カラーラインナップなどもメーカーによって異なるため製品の選定のために参考していただきたい。
【LIXIL】
建築材料・住宅設備機器を扱う大手メーカーだ。LIXILはそれまで個々に分かれて設備機器や建材を販売していたトステム、INAX、サンウェーブ、新日軽、東洋エクステリアが統合してできた会社で個々の会社の歴史は長く、販売する製品ノウハウも引き継がれている。
LIXILはカーポートのラインナップが豊富に揃えられており、その他の設備機器や建材も扱っている住宅総合メーカーのため、住宅に使う製品を一つのメーカーに揃えたいという方におすすめだ。
【YKK AP】
YKKと聞くとズボンやバッグにあるファスナーの会社を思い浮かべるのではないだろうか。YKKは世界トップのファスナー会社であるが、その他にアルミサッシの国内シェアがLIXILに次いで第2位となる大手アルミ建材メーカーでもある。
YKKの後ろにつくAPは「Architectural Products(建設資材)」の略でサッシやカーポート、フェンスなどのエクステリア製品を販売している。YKKのカーポートの特徴はコストパフォーマンスに優れるところで価格を重視したい方にはおすすめのメーカーとなっている。
【三協アルミ】
三協アルミはアルミサッシを中心に大型施設・ビル・住宅の建材やエクステリア製品を販売するメーカーだ。デザイン性に定評があり、最大3,300mmの間口が広いカーポートも揃えている。
【TAKASHO】
TAKASHOはカーポートの他に門まわりりやフェンスなどのエクステリア製品を販売している。LIXILやYKKと比較するとアルミ製品やエクステリアメーカーとして知名度は低いかもしれないが、ガーデニング関連の製品開発・製造・販売・輸入を事業とする大手メーカーだ。
素材にこだわりがあり天然木や天然竹、天然石も使用する。アルミ色が一般的なカーポートだが、TAKASHOはカラーラインナップに木目調を揃えている特徴がある。
【四国化成】
四国化成は建材事業の他に化学工業も事業で行っているメーカーだ。門扉やフェンス、カーポート、アプローチに使われる舗装材、外装材など豊富なエクステリア製品を開発・製造する創業68年の老舗メーカーとなる。
四国化成が販売するカーポートの特徴は1本柱で支える独特なデザインのカーポートだ。どのメーカーのカーポートにも見られない斬新な外観で、シンプルモダンを追求したスタイリッシュなデザインが特徴だ。
上記でお伝えしたメーカーにはたくさんのラインナップがある。製品を選定する時はカーポートの専門業者にお願いして各メーカーのカタログを用意してもらうと製品の比較がしやすくおすすめだ。
カーポートの弱点とは?
前述の図1に示すカーポートの例から、自然災害に対する脆弱性を検討しよう。住居と比較して簡易な造りから災害に対する耐性は、それ程期待できるものではないが、構造やデザインに内在する脆弱性を述べる。
また、テント造りのカーポートは、風や雪に対して脆弱性が高いことが容易に想像されるので本編では解説の対象とすることをお断りする。
屋根造りのカーポートは、屋根を片支持するタイプ、中央部で支持するタイプ、両端から支持するタイプに分類できる。当然のことだが、脆弱性の低い(高強度)カーポートは高コストになるので費用と強度のバランスを考えて構造やデザインを決定することになる。
屋根を片支持するタイプと中央部で支持するタイプの共通点は、屋根を支える柱の配置が1列のみということだ。この構造の弱点は、固定されていない端部に加重が掛かると容易に変形し破壊されてしまうことだ。
具体的には、大風で自由端が煽られて屋根の破損や大雪で雪の重量を支えることが出来ずに屋根が破壊することがある。これに対して両端部に柱が存在する構造では、これより高強度な構造となる。
多くの屋根パネルは、着色された透明のプラスチック材料で作られているが、アクリルかポリカーボネート製だ。対衝撃性や対光性の点でポリカーボネート製が優れているのでカーポート置かれた環境からポリカーボネート製の屋根パネルをお勧めする。
カーポートの屋根のことで注意していただきたいことがある。あまり知られていないことだが、実はカーポートの屋根は外れやすくできているということだ。屋根が外れやすい理由は強風に煽られた時のことを想定し、屋根が外れることでカーポートの柱への負担を軽減させ倒壊のリスクをなくすことにある。
もしカーポートの屋根が強固に固定されていると、強風の衝撃を受け続けるためカーポートが倒壊し駐車している車両などに大きな被害を与えてしまうことになる。
このように屋根が外れやすいように設計することで被害を抑える効果はあるが、問題は飛ばされた屋根が駐車する車を傷つけたり、近隣の住人に被害を与えてしまったりする可能性だ。そのため、台風など強い風が吹くことを想定して事前に対策を立てることが大切となる。
図1.の各カーポートの写真を注意して見ると雨樋の存在を認識できる。これは、カーポートといえども、雨天時に屋根から所構わず雨だれが発生するのは自動車の乗り降りに支障を来たすからだ。
雨樋は、カーポートの柱や屋根の枠部に金具で数箇所固定されているだけなので、外力に対する抵抗力が弱い。それ故、カーポートのデザインに関らず、大風等で破壊される可能性が高い部分となる。
カーポート各部の名称を知ろう!
建物の各部の名称は、専門用語の集合体だ。一般人には馴染無い用語の羅列となり解り難さが半端ない。そこで、代表的な部材部分の名称を以下に述べるので修理等の場合の参考にして欲しい。
名称の例
エクステリアのサプライヤーで種々のカーポートを販売している三協立山株式会社のHP(注7)にカーポートの部分名が記載されている。その図を引用したのが、“図2.カーポートの部分名称”であり、これを参照しよう。
前述の様に柱の構成の仕方で、片側支持と両側支持に大別される。柱や雨樋程度の名称は多くの方も解る構造物だろう。だが、屋根の構成要素の名称は、初耳の名称が多数存在するだろう。
具体的に言うと、これらの名称の中で、柱や雨樋以外に屋根パネル・前枠・後枠・側枠程度ならば、カーポートのどの部材・部品を指しているかは想像できるが、“垂木”や“も屋”となると理解不能という方が多いだろう。
因みに、片側支持(2本柱)タイプで記載されている前枠・後枠・側枠は、屋根パネルの側面の額縁状の枠を指し、前・後・側は、カーポートの柱が設けられていない面から見た方向を表している。
家屋の屋根の構造と名称
カーポートの様に土地への工作物の各パーツの名称は、建築物の部分の名称の流用が多い。カーポートは柱と屋根で構成されているので屋根の構造と名称を知っていれば、修理の依頼時に色々な言い方ができ、施工会社とスムーズなコミュニケーションができる。
だが、屋根の部分名称は専門用語の羅列で素人には解り難い事この上無しだ。そこで、屋根の部分名称の代表例を紹介しよう。“図3.屋根の部分名称”を示すので参考にして欲しい。また、読み方も難解なので読み方も併記してあるので参考して欲しい。
代表的な屋根の形状は、底面が長方形で風雨を受ける部分が本を開いた様な2面の傾いた平面で構成されており、切妻屋根と呼ばれている。屋根自体を屋根小屋と呼ぶことがあるので、その構成部材の接頭語として“小屋”が付くことがある。
屋根の底面部分の構成材料で、額縁を構成する部分がある。斜面を構成する平面に平行な額縁部分を軒桁又は桁(ケタ)、この平面に垂直な額縁部分を小屋梁又は梁(ハリ)と呼んでいる。
傾斜した2平面には、瓦が載る(瓦葺)ことになるが、この部分を支える構成材料を垂木と呼んでおり、垂木を支える斜面に平行な柱状部材を母屋、母屋を支える柱を束と言い、斜面の接合部を支える束を真塚と言う。また、束を固定する梁に平行な板材を貫と呼んでいる。
修理が必要な事例
現在のカーポートはアルミ製でできているため耐久性が高いものになっているが、年数が経てばどうしても劣化してくる。そのまま劣化を放置してしまうとカーポートが壊れてしまったり、部品が飛ばされ周囲に被害を与えてしまったりする可能性がある。
また、上記でお伝えしたようにカーポートの屋根は外れやすくできていることからも定期的に修理することが大切だ。では、どんな時にカーポートの修理が必要かここでお伝えしていきたい。
屋根が飛ぶ
カーポートの被害で多いのは屋根パネルが飛んでなくなってしまったり、破損してしまったりすることだ。
飛ばされた屋根パネルに破損が見えない場合は再利用できる可能性はあるが、部分的にでも割れてしまっている場合は交換する必要がある。屋根パネルはホームセンターやネット通販で購入することが可能、パネルの加工や施工も容易なため比較的安価でできる修理だ。
アルミ枠の破損
カーポートの屋根はアルミ枠にはめ込むタイプとアルミ材でパネルを押さえビス留めするタイプに分かれ、アルミ枠の損傷が見られる場合はこの部品も交換する必要がある。部品の損傷はカーポート自体の強度に影響を与えるため放置しておくことは避けなければならない。
また、部品は同型のものを使わなければいけないことに注意しておこう。年数が10年以上経っているカーポートの場合は、部品が無くなっている可能性があるため、ケースによってはカーポート全体の交換が必要となる可能性があることを理解しておいていただきたい。
屋根から雨漏り
カーポートの屋根から雨漏りしている場合は、駐車している車が雨晒しの状態になってしまうため修理が必要となる。駐車している時も雨に打たれる状態であると車の塗装が剥がれてしまったり、色あせを起こしてしまったりする可能性があるので早急にカーポート からの雨漏りを止めることが大切だ。
カーポートの屋根から雨漏りする原因として考えられるのが、屋根パネルを押さえるアルミ材の劣化やパネルの損傷だ。通常、屋根パネルを押さえるアルミ材にはパッキンが付いていて、水が流れ込まないようになっている。
このパッキンが劣化してしまえば微妙にできた隙間から雨が流れてしまうのだ。このような場合はアルミ部材の交換が必要となるが、上記でもお伝えしたように部品は同型を使わなければいけないことに注意しておこう。
カーポート柱に車をぶつけてしまった
車を頻繁に出し入れしている方にはカーポートの柱に車をぶつけてしまった、という経験はないだろうか。現在のカーポートの柱はアルミでできているため、車がぶつかるほどの衝撃を与えると柱がへこんでしまう。
このように柱がへこんでしまった場合も修理が必要となるが、柱は簡単に交換することができないというのを理解していただきたい。
なぜ交換が容易でないかというと、カーポートの柱は地面のコンクリートに数十センチと埋まっているからだ。
もし、交換する時は一旦カーポートをばらして地面のコンクリートを解体し柱を抜く必要がある。また、カーポートの他の部材の劣化具合によっては再度の組み立てが不可能な場合もある。
このように柱を交換する場合は手間が増えるだけでなく、同型の柱も必要なため交換修理はあまり現実的ではない。修理費用を考慮するとカーポート全体を交換する方が費用対効果は高く現実的なため、このようなケースでは全交換を検討していただきたい。
環境の特性に合わせてカーポートを選択する
カーポートを設置する際は、本体強度に意識を向けることが大事だが、さらに設置する地域の気候にも気にかける必要がある。雪が多い地域や台風が多い地域、沿岸地域などカーポートに与える影響も地域の特性によって異なるため、設置する環境に配慮することが必須だ。
ここでは【台風が多い地域】【雪が多い地域】【沿岸地域】の3つの環境でどのようなカーポートを設置した方がいいかお伝えしていく。
【台風が多い地域】
台風が多い地域では以下の影響に気をつけなければいけない
・飛来物の衝突
・強風による破損
台風が発生すると非常に強い風が吹くため、強風によって飛ばされた物が衝突する被害が起きる可能性がある。また、反対に強風によってカーポートの屋根が外れてこちら側が周辺の建物に損害を与えてしまう恐れもあることに注意しなければいけない。
このように台風が多い地域では屋根が飛ばされにくい「セッパン」などの重量のある屋根材を使用したカーポートにするといいだろう。
また、カーポート本体を支える柱のタイプは片支持タイプよりも強固な両支持タイプのものを選ぶことをおすすめする。
【雪が多い地域】
雪が少ない地域にお住まいの方にはあまり馴染みがないかもしれないが、積もった雪の重量も侮ってはいけない。カーポートの屋根に数十センチと積もった雪は屋根の破損や柱を折り曲げてしまうほどの破壊力があるのだ。
このように雪が多い地域でカーポートを選ぶときは、台風と同様に重量のある「セッパン」などの屋根材にすること。また、カーポート本体は積もった雪の圧力に耐えられるほどの頑丈さを持っていることが大切だ。
多雪地域の場合、積もった雪を下ろすため、人が屋根に乗って作業を行わなければいけない。そのため、人が乗っても壊れない頑丈さが求められるのだ。カーポートの柱は片支持タイプではなく両支持タイプを検討する方がいいかもしれない。
【沿岸地域】
沿岸地域で考えなければいけない影響は塩分を含んだ潮風だ。しかし、潮風は自然的なことであるため、この地域にカーポートを設置する場合はどうしても潮風による影響を避けることはできないことを考慮しなければいけない。
潮風の影響を考慮しカーポートの柱や部材はアルミ製のものを選ぶことをおすすめする。スチール製のカーポートは錆に弱く沿岸地域など塩害を受けやすい場所には適さない。それに代わってアルミは錆に強く沿岸地域による潮風の影響をある程度は耐えられる素材ともいえる。
ただし、アルミがいくら錆に強いとはいえ、必ず錆びないというわけではない。錆の原因となる潮風を常に受けることに変わりがないため、潮風の影響がない地域と比べると劣化が早まることを理解していただきたい。
カーポートを長持ちさせるためにも沿岸地域に設置する場合は定期的に水洗いを行うことをおすすめする。カーポートの水洗いを行うことで錆や劣化の影響を低減させることが可能だ。
カーポートの修理・補修の費用相場・期間
ここではカーポートで行う修理・補修の内容や費用相場、修理に要する期間についてお伝えしていく。
屋根交換
屋根材がパネル型のカーポートは屋根材のみの張り替えが可能だ。その他のカーポートに波型形状をした「ナミイタ」のものもあり、こちらも張り替えは可能だが、張り替え方法は異なる。今回は一般的に普及が多い屋根パネルの交換についてお伝えしていく。
屋根パネルはアルミ製の押え縁で固定しているタイプとアルミ枠にはめ込んでいるタイプがある。交換方法はビス固定された押え縁を外すことで屋根パネルも一緒に外れるようになっている。
はめ込み式のものは既存の屋根パネルを少し曲げるようにして持ち上げることで外すことができる。
屋根パネルが外れたら既存の屋根パネルの寸法に合わせてカットし、あとは屋根パネルを外した逆の手順で屋根パネルを取り付けていく。屋根パネルの交換方法については下記の記事で詳しくお伝えしているので良ければ参考にしていただきたい。
<カーポートの損害は火災保険で修理!屋根パネル交換などDIY方法も解説!>
https://shufukulabo.com/carport-repair-repair#i-12
屋根パネルの交換費用の相場は、屋根材の費用8,000〜15,000円/枚と工事費用5,000円〜となっている。屋根交換は交換する枚数によって工事費用が異なってくる。1枚のみの交換では割高となるため、1日で交換ができる枚数を基準に依頼するといいだろう。
また、相場としてみると部分交換よりパネル全部を交換する方が安くなる傾向だ。業者に依頼して屋根交換を行う場合は材工で15,000〜25,000円/枚ほどと見ておくといいだろう。
支柱修理
カーポートは雪の重量により柱が曲がってしまうことや錆によってボロボロになってしまうケースもある。このような状態になれば、もちろん柱の強度は落ちるためカーポートの倒壊の恐れがあることを注意しなければいけない。
こういった場合、柱の交換を検討されるかもしれないが、柱のみの交換を行えるのは非常に稀なケースだと理解していただきたい。
なぜならメーカーが販売する既製品のカーポートの場合は、まず同型の柱を調達できなければ交換することは不可能だからだ。もし、既存のカーポートの柱が廃盤となっている場合はカーポートの全交換を行う必要があるだろう。
柱のみを交換できるカーポートというのはスチール製の特注でつくられたカーポートだ。特注でつくられている場合は、業者に既存の柱の寸法を測ってもらい同じものを工場でつくってもらえばいい。しかし、交換できる柱が調達できたからといって必ず交換できるわけではない。
まず、柱を交換するときは、柱を抜くためにコンクリートの解体をしなければいけない。また、カーポートの屋根など他の部材の取り外しも行わなければいけないので非常に手間がかかるのだ。もし、他の部材が劣化していると交換不可となる場合もあるので注意しなければいけない。
このようにカーポートの柱交換は色々とリスクがあり手間もかかるため工事費用も高くなる。既存のカーポートの程度にもよるが一般的な相場で7〜18万円となる。柱を特注する場合はさらに費用がかかるだろう。工事日数はコンクリート打設の養生期間も含めて約2〜3日となる。
このように柱のみの交換は割高となるため、本来はカーポートの全交換をすることをおすすめする。
アルミ部材修理
現在多く普及しているカーポートはアルミ材が使われている。カーポートの枠材やパネルを押さえる部材を修理・交換する場合の費用相場は20,000/m〜となる。交換に要する日数は修理箇所によって異なるが数時間〜2日間となる。
ただし、前述しているように同型の部品がなければ交換が不可能であることを理解していただきたい。また、損傷の具合や範囲によっては割高になることもあるため、修理金額が高くなる場合はカーポートの年数と劣化具合を考慮して全交換を検討するのもいいだろう。
基礎工事
通常柱は地面の中に数十センチ埋めて設置しているが、規定の深さまで埋めていない手抜き工事をする業者もいるので注意が必要だ。柱の埋め込み深さを無視して基礎工事を行なっている場合、カーポートが傾いてしまう可能性がある。
施工不良が原因としている場合は、基礎工事のやり直しをしてもらうことをおすすめする。カーポートの柱埋め込み寸法については下記の記事で詳しく解説している。手抜き工事されないためにも参考にしていただきたい。
<カーポートの損害は火災保険で修理!屋根パネル交換などDIY方法も解説!>
https://shufukulabo.com/carport-repair-repair#i-12
基礎工事をやり直す場合の費用についてだが、まず修理が可能か判断される。なぜなら基礎工事をやり直す場合、柱を取り外す必要があるためコンクリートを解体することになるが、解体する際に既存の柱が傷ついてしまう可能性があるからだ。
このようなことを考慮すると既存の柱を使用して基礎工事をやり直すのは難しい。業者によってはコンクリートを解体せずに柱周りに再度コンクリートを打って強度を上げる修理を行う業者もいる。
ただし、これではメーカーの施工規定に反しているため保証が受けられないリスクがありおすすめしない。
上記の方法で基礎工事を行う場合は、メーカー保証を受けられないリスクを承知で、かつ強度を上げたいという方が行うといいだろう。すでに柱が傾いているなど損傷の症状がある場合はカーポートの全交換をおすすめする。
全交換
上記でお伝えしたように既存のカーポートの劣化具合や年数によっては全交換した方が費用対効果は高い。では、全交換した場合の費用相場についてだが、これは設置するカーポートによって異なる。もちろんのことだがグレードが高くなれば費用も高くなることを承知していただきたい。
一般的にカーポートの交換費用は約15万円〜となる。ただし、再設置の場合は既存カーポートの解体が必要となる。再設置する場合は解体費用の約2万円〜をプラスして20万円〜が相場となる。
柱の交換や基礎工事にかかる費用を考えると全交換するのとあまり大差がないことがお分かりいただけるだろうか。工事日数もそこまで長くはなく、解体工事を含めて約2〜3日で完了となる。
耐用年数
続いてカーポートの耐用年数についてお伝えしていく。現在多く普及しているカーポートはアルミ製であるため耐久性も高くなっているが、劣化しないわけではない。
一般的に耐用年数は15年と言われているが、実際のところほとんどのカーポートは15年以上使われていて保ちが長い。では、交換する時期はいつになるかというと「カーポートが壊れたとき」がベストなタイミングと言える。
アルミ製のカーポートは耐久性が高く錆びにくいため長い期間利用することができる。したがって設置しているカーポートの損傷が起きていない限りは交換する必要はないだろう。
ただし、屋根パネルやアルミ部材は劣化すると雨漏りや屋根が飛んでいってしまう恐れがあるため、症状などを定期的に点検し、必要ならば交換することをおすすめする。
DIYで修理は可能?自分で行うメリット・デメリット
業者に依頼してカーポートを修理する場合、いくらか費用が必要となってくる。もし、DIYで修理が可能なら、かなりの費用を抑えることができるだろう。
しかし、修理を自分で行うとなるとある程度の専門知識と技術力、安全対策が必須だ。DIYで行うにも失敗してしまえば全て自己責任となることを理解していただきたい。
コーキング
カーポートは部材の接合部にコーキング処理がされており、一例としてはビスを締め込むときに防水処理としてコーキングの注入を行なっている。建築現場で使用頻度が高いコーキングは年数が経つとひび割れを起こし防止性能が低下する。
コーキング打ち替えの目安としては約10〜15年周期で行うことをおすすめする。大切なのはひび割れを起こし雨漏りする前に行うことだ。
カーポートのコーキング打ち替えは外壁工事のように足場の設置が必要でないためDIYで行いやすいが、脚立を使用する以上は安全面に心掛けることが大切だ。
ドレン詰まり・樋交換
カーポートには雨樋が付属して取り付けられている。外部に設置されているカーポートは、周辺に樹木があると落ち葉などが入り込みドレン詰まりを起こす可能性がある。
ドレン詰まりがあると雨が流れていかず漏水してしまうので、定期的に掃除することをおすすめする。作業は脚立に登って樋やドレンの中に入った落ち葉などを取り除くくらいなのでDIYでも簡単に行える。
また、樋の交換もDIYで可能な作業だ。カーポートの雨樋は基本的に縦樋のみとなるため、既存の樋と同じサイズのものを用意できれば交換が可能だ。無難なのはメーカーが販売する同型品を調達することだ。
もし、メーカー販売の雨樋が廃盤となっている場合はホームセンターやネット通販などを利用して自分で調達しなければいけない。カーポートに設置してある雨樋は住宅の樋よりも径が細く、形状も縦樋のタイプとジャバラのタイプがある。交換する際は既存の雨樋のサイズと形状を合わせて選ぶこと。
交換作業の手順は、通常カーポートの雨樋は柱に取り付けられている押さえ金具で固定されているので、それを外し既存の雨樋を取り外して交換する。新規で取り付ける雨樋の長さは既存の長さと合わせて切断すること。
パネル交換
カーポートの屋根パネルをDIYで交換することも可能だ。カーポートの修理なら足場を設置するほどの高さではないため脚立で行える。しかし、いくら足場を設置しないからといっても安全対策は必ずとること。
DIYでカーポートの屋根パネルを交換するときに用意する道具は下記になる。
・インパクトドライバー
・脚立
・コーキング
・雑巾
使用するインパクトドライバーは約1〜5万円で購入することができ、ネット通販やホームセンターで購入が可能だ。また、脚立やコーキング、雑巾も上記と同様に購入することができるので、持っていない場合は一緒に購入するといいだろう。材料となる屋根パネルはネット通販やホームセンターで購入することができ、金額は数千円〜2万円/枚ほどになる。
屋根パネルを交換する手順は、既存の屋根パネルを押さえるアルミ部材を外すのだが、ビスで固定されているものが多いためインパクトドライバーを使う。アルミ部材が外せたら既存の屋根パネルを外す。このときパネルを少し折り曲げるようにすると外しやすい。
続いて新しい屋根パネルを取り付けるのだが、寸法が合わないパネルならカットしなければいけない。
また、寸法を誤ってしまうと交換ができなくなることもあるため間違いがないように慎重に行うことが大切だ。パネルをカットすることが不安な方は既存パネルと同寸法のパネルを購入することをおすすめする。パネルの採寸する箇所は「長さ」「幅」「厚さ」となる。この3つの寸法が合えば交換は可能だ。
新しいパネルの寸法が問題なく設置できる寸歩であれば、既存のパネルを外した逆の順序で取り付けていけばいい。新しいパネルを取り付けるときは傷がつかないように元々貼られている養生ビニールを太陽が当たる側は端っこのみ剥がし、その裏面は養生をすべて剥がす。
新しいパネルもアルミ枠にはめるときは少し曲げながら行うと取り付けがしやすい。アルミ枠にパネルがはめ込めたらアルミ部材をパネルの上に被せビス留めし、最後に養生剤を剥がせば交換が完了となる。
交換するパネルの枚数にもよるが、一般的なカーポートのサイズなら数時間〜1日で終わる作業だ。
前述したようにカーポートのパネル交換は脚立で行えるが、安全対策のために2人で作業することをおすすめする。カーポートのパネル交換については下記の記事でもご紹介しているのでぜひ参考にしていただけたらと思う。
【カーポートの損害は火災保険で修理!屋根パネル交換などDIY方法も解説!】
https://shufukulabo.com/carport-repair-repair#DIY-2
メリット・デメリット
ここまでDIYで行える修理・補修と費用相場などについてお伝えした。DIYで行うことの最大のメリットはやはり金額であろう。業者に修理を依頼するよりもDIYで行う方が人件費はかからないため費用を抑えることができる。
しかし、DIYで行うことはデメリットもある。それは修理した箇所すべて自己責任ということだ。何か不具合があったとしても責任は自分にあり、ケースによってはメーカーからの保証も受けられない可能性もでてくる。また、作業中に怪我をする危険もあることをよく承知していただきたい。
さらにDIYで行うデメリットに挙げられるのは仕上がりの質だろう。当然専門業者に依頼する方が品質は高く長持ちしやすい。修理費用を抑えるためにD I Yで行なってもすぐに不具合がでてしまってはいくら材料費のみとはいえ余分にお金がかかってしまう可能性もあることを覚えておかなければいけない。
このようにDIYで行うことはメリット・デメリットがあるため、もしDIYで行う場合はこの2つのことをよく考慮して行なっていただきたい。
修理道具・部材紹介
最後にカーポート修理に使える材料や道具についてご紹介していく。ここで紹介する製品はどれもネット通販やホームセンターで購入することができるため、もしDIYで修理を行う方はぜひ試していただきたい。
【インパクトドライバー】
ビス留めなど修理を行うときは電動式のドライバーがあると便利だ。種類によってトルク数が違うため、より力がいる作業を行う場合はトルク数の高いものを選ぶといいだろう。
尚インパクトドライバーのビットは着脱式となっている。様々な形状のビットがあるため、その都度状況に合わせてビットを交換して使うことになる。
また、ビットは消耗品であるため使い続けていたり、余計な負荷をかけてしまったりするとビットが割れる。交換用に持っておくと作業中でもすぐに対応ができるので予備で持っておくことをおすすめする。
【脚立】
カーポートの修理など高い場所の作業では脚立が必要となる。おすすめは脚の高さを調整することができる脚立だ。地面はまったいらというわけではない。砂利や土の地面は凹凸があるため脚立が安定しないのだ。
脚が調整できる脚立なら高低差のある場所でも安定して立てることができる。価格は通常の脚立よりも高いがぐらつくことがなく安全なためおすすめできる脚立だ。
【コーキングとコーキングガン】
コーキングの作業を行うときは上記の写真にあるコーキンガンが必要だ。レバー式となっており、レバーを握るとコーキングが押し出される構造となっている。
価格はピンキリで安いものは400円ほど、高いものだと3000円以上のコーキングガンもある。
一般的に使われているコーキングは上記のようなカードリッジ式のものだ。他にはチューブ式のものもあるが、チューブ式を使う場合は専用のコーキングガンが必要になるので注意していただきたい。
コーキングは変成と名前がつくものがあり、コーキングの上から塗装ができるようになっている。変成とつかないコーキングは塗料を弾いてしまうため、外壁補修に用いる場合は避けること。
また、コーキングはいろいろな色が揃えられているため、作業箇所に適した色を選んで使っていただきたい。
【雨樋】
カーポートの雨樋もネット通販やホームセンターで購入することができる。上記の雨樋は角ジャバラタイプのものだ。その他に丸樋が使われていることもあるので、既存のカーポートに合わせて選んでいただきたい。
雨樋を選ぶときに気をつけていただきたいのが寸法だ。既存のカーポートに合うかどうか上記のような雨樋の図面を見て寸法が適切か確認していただきたい。
被災を拡大させない事前と事後の行動
天災は忘れた頃にやってくる、という諺があるが地震以外の天災は大方天気予報で来襲のタイミングが判明する時代となった。これは、災害に対して事前に準備することが可能なことを意味している。また、事後の対応でダメージの規模を拡大させないことも可能だ。
事前に準備できることは2つ
コストやデザインから災害に対する脆弱性が小さいカーポートが選ばれるとは限らないので、今、ここにあるカーポートに対して出来る準備をお伝えしよう。火災保険のチェックとカーポートの清掃・点検だ。
火災保険の具体的な見直しのポイントは、後述するので参考にして欲しいが、ここで強調したいのは、保険は加入したら保険期間が終了するまで変更・改定無しで済ませるのでは無く、随時見直しを実施すべき、と言うことだ。
火災保険も商品なので種々の商品開発が行われているので、利便性が向上した保険が販売されていることに留意して欲しい。要は、想定されるリスクに合わせて火災保険による備えを変更・補強する時代となった。
2つ目のカーポートの清掃・点検に関しても後述しているが、日頃の状態を把握することは、カーポートの様な固定資産の維持管理には必須であり、小まめに修理修繕を実施することで大きなダメージを受ける可能性は低下する。
特に、台風や大雪は天気予報で大方来襲する時期が解るので、天候が悪化する前にカーポート等の状況を点検することが、不幸にしてカーポートがダメージを受けた場合にスムーズな保険申請を可能とする。
スマホ等でコストを気にせずに写真撮影ができるので、天候が悪化する前にカーポートの外観を写真撮影しておくことも役立つ。
事後の対応は落ち着いてから
大風や大雨等が吹き荒れる台風の襲来中に点検にでるのは止めたほうが賢明だ。自身が災害に巻き込まれる可能性があるので、台風が過ぎ去った後でも充分対応ができるし、落着いてからの方が細かいチェックができる。
大風や大雪等の災厄が過去ってから点検を行なうのだが、滅多に行なわない点検でも破損箇所があればダメージを受けたことが判明する。ただ、点検で重要なのは従前との違い・相違を発見することだ。
この様な意味からも日頃の点検活動が重要で、日常の活動の上に災厄の来襲後の点検が役立つことになる。災厄の襲来前後の様子を比較できることで僅かな変化を察知できるので、小さな損傷を起因とする劣化も防止できる。
要は、小さなダメージを発見できず、火災保険を利用して修理を実施しないで放置した結果の破損が経年劣化と判断されてしまうリスクが存在することになる。そこで、小さな破損でも、小まめに修理修繕を行なうことで、大きな損傷を避けることができる。
台風で被災しても火災保険がある!
火災保険は、火災で被災した場合以外でも保険金が支払われる場合がある。ただ、全ての火災保険が台風による被災を対象としている訳ではないことに注意して欲しい。火災保険を適用させる場合のポイントを述べる。
加入している火災保険のチェックポイント
新築や新居の購入に際して、火災保険の内容を吟味して加入している方は少数派だが、自然災害の脅威が高くなる時代では、火災保険が適用される災害を積極的に選択することが重要で、これがリスク対策となる。
また、現時点で火災保険に加入している方も加入している事実に安心することなく、保険の内容を見直しして欲しい。火災保険も商品開発が行われているので、リスクファイナンス機能が年々向上している。
個人の住宅の災害や事故に対する損害保険を火災保険と呼んでいるが、火事による災害に特化した保険ではないことに注意しよう。火災保険は、種々の災害や事故に対するリスクファイナンスを提供している。
留意すべき点は、火災保険が適用される災害・事故と補償内容をオプションとして取捨選択ができるので、居住地の特性に合わせて補償内容をカスタマイズしていくことが対費用効果の高い保険となる。居住地のチェックすべき例を以下に示すので参考にして欲しい。
①ハザードマップ 洪水・地盤の液状化・家屋の倒壊危険度・土砂災害等の情報が市町村のHPに掲載されているので居住地のリスクを確認して欲しい。例えば、洪水の危険性の低い場所で洪水に手厚い補償の火災保険への加入は、対費用効果が低くなる。
②災害記録の確認 地方自治体によっては、過去の災害記録をHP上で公開してあることがあるのでHPのチェックは必須だ。また、役所で災害記録の有無を尋ねれば、被災状況を知ることができる。
③古地名の確認 住居地の地名表記の合理性を求めて、古い地名が書き換えられている。ただ、この古地名には、過去の災害の記録が残されていることが多いので、市町村等の保有する記録のチェックは必須だ。
④近隣の地形や施設の確認 意識して居住地の地形をチェックしょう。谷地や崖を背負う場所等はリスクが高いが、意識して近隣を散策しないと記憶に残らない。また、近隣に神社があれば災害リスクの低い場所だ。
⑤住人からの聴取 転居した場合には、古くからの住人に災害の有無を聴くのも役立つ。市町村の情報がマクロ情報とすると古くからの住人の情報はミクロの情報で臨場感がある情報で役立つ。
火災保険の適用条件
火災保険は火災のみを補償する保険ではないことを前述した。では、どんな災害に適用するか下記にまとめる。
・火災
・落雷
・風災
・雹災
・雪災
・集団行動に伴う暴力行為
火災保険は上記のような自然災害や人的な被害が対象だ。保険の契約内容によって対象が異なるため、利用する場合は契約内容を確認してもらいたい。注意が必要になるのが劣化による破損は補償が受けられないということだ。
また、保険を利用するには鑑定人による審査も必要となるため必ず保険金が受けられるとは限らないことを理解しておこう。
しかし、自然災害による破損であるなら保険が適用される可能性もあるため、何もしないよりは保険が適用できるか依頼だけでもしておくことをおすすめする。
下記では様々な保険適用事例を紹介している。一例として強風によりカーポート屋根が一部破損した事例では、屋根材の補修に対して保険金が約21万円下り、自己負担なしで工事ができている。
【カーポート屋根補修 保険適用事例】
https://shufukulabo.com/jirei21
カーポートの他にもフェンスや雨樋、瓦の損傷などの事例もあるため、良ければ参考にしていただきたい。
【保険適用事例】
https://shufukulabo.com/category/jirei
車の傷の保険は?
カーポートは車を駐車する場所に設置しているため、破損すると駐車する車にも損害を与えてしまうことがある。このような場合、車にも火災保険は適用できるかについてだが、答えは「適用できない」だ。
火災保険が補償する対象はあくまでも家屋や家財となるため車は対象とならないのだ。では、自然災害などによって車が傷ついてしまった場合に使える保険というと、それは車両保険となる。家屋や家財は火災保険、車は車両保険ということを覚えておこう。
火災保険の申請時の注意点
火災保険の申請書への記入自体は、手間を要する内容ではないが、添付資料の作成や被災日の特定で注意しなければならない。以下に注意しなければならない点を示すので参考にして欲しい。
(a)補償内容のチェック 20万円以下の被災は免責(保険金が支払われない)となるフランチャイズ方式が採用されている場合が多い。また、保険内容によっては台風がサポートされていない場合があるので加入している保険のチェックは必須だ。
(b)保険契約者及び物件所有者のチェック 単独名義か複数名義の確認は必須だ。名義人が複数の場合には、単独で申請(捺印した方)しても却下されて再度記名・捺印が必要となる。
(c)被災日の特定 被災日の特定は重要事項だ。保険会社は対象となる地区の被災日の気象情報をチェックしている。実際に被災した日付を申請書に記載すれば良いのだが、時を経るに従い、記憶が消えていくので被災日はメモに残すようにしよう。
(d)証拠写真の準備 被災状況を説明する資料として被災の証拠写真は必須だ。また、原状復帰のために施工会社に工事を依頼することになるが、破損の原因として見積書に台風や落雷等の災害で被災した旨を記載してもらうことをお忘れなく。
(e)見積 原状回復費用となる工事の見積書を施工会社から提出してもらうことになるが、ダメージを受けた場所の原状回復に要する費用を細目別に記載することになる。その際に、ダメージの原因として台風等の災厄を記載してもらうことをお忘れなく。
業者の注意点
火災保険を利用して修理を行う場合は依頼する業者に注意しなければいけない。なぜなら火災保険を口実に騙そうとする悪徳業者が存在するからだ。悪徳業者による被害は多く、自治体でも悪徳業者に騙されないように呼びかけている。
悪徳業者の手口は「必ず保険が下りる」など甘い言葉を使って契約を結ぼうとするやり方だ。まだ、保険が下りていないうちに契約をしてしまうと、いつまでも修理を行わなかったり、保険が下りなくて契約を破棄しようとしても高い違約金の請求をしてきたりするのだ。
このような悪徳業者に騙されないためにも、保険が下りないうちは絶対に契約をしてはいけない。さらに工事代金の前払いは絶対に避けるべきだ。
では、どんな業者に依頼するかというと、火災保険を利用した工事の経験が豊富で実績のある業者を選ぶことだ。火災保険が適用できるか判断するには専門的な知識と実績が必要になる。
実際に保険が下りるか審査するのは鑑定人によるが、事前に見てもらいアドバイスをもらうためにも実績のある業者に見てもらった方が信頼度も高く保険が下りるまでの流れもスムーズだ。
まとめ
備えあれば憂い無し、の諺があるが、気候変動による自然災害リスクが高まる時代では正鵠を射る諺だ。日頃から、災害に備えた準備を行ないたいものだ。ただ、何事もコストのバランスには注意して無駄金を使わないようして欲しい。
その点、火災保険は適用される災害を選択すれば、コストパフォーマンスに優れたリスクファイナンスとなるので、住居地域の特性に合わせた保険を作り上げることだ。また、事後でも点検を行い必要な修理を実施すれば被害の拡大を防止できる。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。