自宅の駐車場にはカーポートを設置している家庭も多いのではないだろうか。
そこまで多額の金額を払わずとも手軽に設置することができ、大切な愛車を雨や直射日光、黄砂などの影響から守ってくれるカーポートは、一戸建ての建築を考える上でなくてはならないものなのかもしれない。
日本では特に7~9月頃まで台風シーズンと言われている。台風に伴う大雨や強風の影響を受けて、自宅の大切な資産が破損してしまうという痛い経験をしたことのある人は意外と多いかもしれない。常に雨ざらしの状態になっているカーポートも例外ではない。
そこで今回の記事では、カーポートの屋根が飛ばされないようにする台風対策について詳細に解説するとともに、火災保険や雑損控除を利用することによって、修理費用を削減するノウハウについて大公開していこう。
この記事読むことで理解できること
台風によるカーポートの被害とは
国土交通省の台風統計記録1981〜2010年の30年平均によると、日本の台風発生数は年間25.6回、台風の接近数が11.4回、上陸数が2.7回になる。台風の上陸数が多い都道府県は1951〜2019年までの統計によると1位:鹿児島県2位:高知県3位:和歌山県だ。
台風によって受ける住宅の被害は、屋根が風に飛ばされる、雨樋の破損、雨漏り、強風による飛散物での破損など多岐にわたる。
カーポートも同様に屋根が飛ばされてしまうなどの被害があるが、これは台風だけに限ったことではない。台風は上陸していなくても日本に接近しているだけで十分に影響が出てくる。その影響で顕著なのは風の強さだ。これは人によって感じ方が異なるが、風の強さが7mを超えてくると体感として風の強さが伝わってくるのではないだろうか。
風は下から上へと巻き上がるように吹く。その風が下から突き上げてくるように吹くため、カーポートの屋根が風の強さに耐えられないと割れてしまったり屋根が飛ばされてしまったりするなどの被害が起きる。
【被害にあうとどうなる?】
台風や強風によってカーポートの屋根が飛ばされたり割れてしまったりするなどの被害が起きた場合、一番心配なのが近隣への被害だ。飛ばされた屋根が近隣の車に当たって傷をつけてしまう、人に当たって怪我をさせてしまうなどが起こる可能性がある。もちろん自分のカーポートを修理する費用も必要になる。
条件によっては保険で修理できることもあるが、一番いいのが被害を出さないことだ。そのためにも前もって対策を講じることや定期的なメンテナンスをすることが大切だ。普段から天気予報を気にして、風が強い日や台風が近づいている時は早めに対処しよう。
耐風圧強度とは?
カーポートには耐風圧強度というものがある。これはどれくらいの風の強さまで耐えられるかというものでカーポートの種類によって値が違う。台風の風速は強いもので風速33m/秒、平成24年の台風17号は最大風速50m/秒になる。
一般的なカーポートの耐風圧強度は風速38m/秒だ。つまり風速の平均38m/秒耐えられるカーポートということになる。しかし、この耐風圧強度はメーカー独自の試験の結果であり保証値ではない。そのため風によって屋根が飛ばされてもメーカー保証にならないので注意していただきたい。
しかし、耐風圧強度の数値よりも弱い風で屋根が飛ばされてしまうこともある。なぜ数値以下なのにカーポートの屋根が飛ばされてしまうのかと思われるかもしれない。それは様々な要因があるが、原因として挙げられるのが施工不良によるものだ。
カーポートの屋根は、屋根板を止める押縁をビス留めして固定している。このビスがしっかりと止められていないなどの強度不足によって屋根が飛ばされてしまう被害が起きる。また、カーポートの屋根板は本体の負担を減らすために屋根が飛ばされやすい仕組みにもなっている。この仕組みについて下記で具体的にお伝えしていく。
カーポートは実は壊れやすい様に出来ていた!
日本に住んでいる以上、地域によって程度の差はあれど台風の影響とは切っても切れない関係となる。したがって、家づくりやリフォームを今現在検討している方にとっては、「いかにして家の大切な資産を台風から守っていくのか」という問題は極めて重要な要素と言える。
カーポートを自宅駐車場に設置する場合、できることなら「台風の影響を一切受けない」「頑丈な」カーポートを設置したいと考えている方も多いことだろう。しかしながら、カーポートに関しては、
「あえて壊れやすい様にできている」
ということをご存じだろうか?
なぜ壊れやすい様にできているのか
「壊れやすい」と言っても、支柱などが軟弱にできており、何かの衝撃を受けるたびに倒壊するような脆さを持っているという意味ではない。屋根部分に採用されている屋根板が強風などの影響で比較的容易に外れるようにできているのだ。
台風通過時には通常生活している時からは考えられないような強風に見舞われることがある。このような場合に、カーポートの屋根部分が外れにくい様に堅固に設計されていては、カーポート自体が大きなダメージを受けてしまう危険性があるからだ。
この措置は、カーポートが倒壊してその下にある大切な車両を守るためのものであり、「飛んで行ってしまいやすいから」と言って屋根板を無理に固定するのは避けた方が良いだろう。
飛ばされた屋根板は危険
台風に伴う強風の影響により屋根板が飛ばされてしまうと、周囲の家屋や人に重大な被害をもたらしてしまうリスクがあることは想像に難くない。万が一歩いている人に当たってしまったりしたら、大けがを負わせてしまうことも考えられる。
したがって、いくらカーポート全体の倒壊を防ぐために屋根材が飛ばされやすい様にできているとは言っても、何らかの対策を講じることが求められる。
台風からカーポートを守るための対策とは?
では、台風からカーポートを守り、強風の影響によって屋根板が飛ばされて周囲に被害をもたらすことを防ぐにはどのような対策を講じればいいのだろうか。少し考えてみたい。
台風上陸前に屋根板を取り外す
そもそも飛ばされるべき屋根がなければ、非常に強い風が吹き荒れたとしても周囲に被害をもたらすことはない。
しかも、前述したように屋根板は外れやすい様にできているため、人の手によって取り外す作業自体はそこまで難易度の高い物ではない。特に既存のカーポートの屋根が波板の場合は、パネルよりも強風によって飛ばされる可能性が高いので事前に外しておくことをおすすめする。
ただし、カーポートの上に登って作業をする以上、落下防止に対する意識を高く持ち、命綱付ける等の対策を講じなければならない点は肝に銘じるべきである。
支柱を補強・追加
カーポートの倒壊を防ぐためには、強い力が加わっても影響を受けないような構造にする必要がある。そのために、支柱を補強、または追加する方法は有効である。ただし、この方法だけでは強風によって飛ばされた屋根板が周囲に被害を与えることを防ぎきれない場合があるため、屋根板が飛ばされないための対策と併せて行う必要がある。
DIYで可能!ロープと飛散防止用ネットで覆う
カーポートの屋根板が台風で飛ばされないための対策として、屋根板自体を目の粗いネットで覆ってしまい、強風の影響によって屋根板が外れてしまうのを防ぐことも考えるべきである。
こうすることによって、仮に強風の影響によって屋根板が飛ばされてしまっても、近隣の住戸や車、歩行者などへの被害を食い止めることができる。ただしネットを展開するときには、強風の影響によりネット自体が外れて飛ばされてしまわないようにしっかりと設置する必要があることは認識しておく必要がある。
また、両支持タイプ(柱が両端に付いているカーポート)は、ネットで覆った後にカーポート本体をロープでしっかりと固定することを忘れずに行おう。なぜなら、屋根をネットで覆うとカーポート本体の負担が大きくなるためだ。片支持タイプ(柱が片方側に付いているカーポート)は本体強度が足りないため、ロープで固定してしまうと支柱が折れる可能性があるのでロープの固定は避けていただきたい。
屋根板を外す場合と同様に、飛散防止用ネットの展開作業は高所作業になるため、落下防止策を万全に講じるとともに、決して一人では作業をしないように気を付ける必要がある。
屋根材ホルダーで補強する
屋根材ホルダーはLIXIL(建材総合メーカー)が提供するカーポートの屋根を補強する部材だ。屋根材ホルダーはLIXIL製品に対応し、他のメーカーでの使用は基本的にできないので注意が必要だ。
また、屋根材ホルダーの補強は両支持タイプに対応し、屋根が片面の片支持タイプでの使用は避けていただきたい。
その理由は、屋根の強度が上がるかわりに支柱への負担が大きく耐えられない可能性があるからだ。この屋根材ホルダーは強風によって屋根が飛ぶのを抑える効果がある。ただし、設置したから絶対に飛ばないかというとそうではないので気をつけていただきたい。
屋根材ホルダーはアルミ製の細長い形状をしている。これをカーポートの押縁と直交する方向にビスで固定する。屋根片面に2列設置するので、両面のカーポートは屋根材ホルダーを4列設置することになる。
屋根材ホルダーを取り付けることで風に煽られる屋根のばたつきを抑えることができる。施工も簡単なので、LIXIL製の両支持タイプのカーポートを設置する時に検討してみてはどうだろうか。
台風に強いカーポートの設置方法を徹底解説!
これから一戸建ての購入を検討している方や、カーポートを自宅に設置しようとしている方は、台風に強いカーポートを設置することをおすすめする。
「台風に強いカーポート」と一口に言ってもあまりピンとこないかもしれないが、要するに
・強風にあおられても倒壊しない強度を持っている
・飛ばされにくい屋根材を用いている
・強風に煽られにくい位置に設置している
という3つの要素を満たすカーポートを積極的に選択するべきである。少々施工費やその他の費用は高くつくかもしれないが、台風にあおられてカーポートが倒壊し、大切な愛車や家が傷ついてしまうことを思えば、有効な投資であると考えることができる。
・強風にあおられても倒壊しない強度を持っている
「強風にあおられても倒壊しない強度を持っている」カーポートとはどのようなものなのか、想像できるだろうか。カーポートには大きく分けて2種類ある。「片支持タイプ」と「両支持タイプ」である。
「片支持タイプ」は読んで字の如く、片側にしか支柱のないタイプである。支柱が少ない分、比較的楽に車を駐車することができる他、予算的にもリーズナブルにカーポートを持つことができる。しかしながら支柱が少ない分、外部からの強風などの影響には弱いことが難点である。
「両支持タイプ」とは、カーポートの両側に支柱が有るタイプである。支柱が両側にあるため駐車の難易度は片支持タイプと比べると高くなるが、強風への耐久性は高い。その分、やはり施工金額などは高くなる傾向にある。
強度の強いカーポートを選ぶのであれば、「両支持タイプ」のものを選ぶのが賢明である。
・飛ばされにくい部材を用いている
「飛ばされにくい屋根材を用いている」というのは、どういうカーポートの事を指すのだろうか。
カーポートの屋根材には様々な部材が用いられており、それぞれに特徴がある。今回は、カーポートの屋根材に頻繁に用いられる「ポリカーボネート材」と「セッパン」の2つの部材を比較してみよう。
「ポリカーボネート材」は強化プラスチックの一つで、通常のプラスチックに比べると強度は勝るが、軽量のため飛ばされやすい性質がある。もちろん強度の面でも、重量物などが衝突すれば破損するリスクもある。
一方で、「セッパン」とは鋼材の一種で、重く衝撃に強いことが特徴として挙げられる。重量がポリカーボネート材に比べて重いため、両支持タイプとしなければ屋根材を支えきれない等の制限はあるが、災害への強さはポリカ―ボネート材を大きく上回っている。
台風の影響を受けにくいカーポートを設置したいと考えるなら、「セッパン」を屋根材に用いたものを選択するべきである。また、積雪量の多い地域でも十分対応することができる。
・強風に煽られにくい位置に設置している
続いて大切なのがカーポートの設置位置だ。台風の被害を出さないためにも、なるべく風に煽られない場所にカーポートを設置することが重要だが、ではどんな場所が適しているかというと、まず強く風が吹く場所は設置を避けることだ。
崖上は下から上へと風が吹き上げてくる。もし屋根が崖側に向いていると、崖下から吹き上げてくる風を直に受けてしまうためカーポートが破損してしまう恐れがある。崖上や大きく開けた場所に設置する時は、屋根を家の壁側に向けると風に煽られにくく破損や倒壊のリスクが軽減できる。
次にカーポートの倒壊で家を傷つけないようになるべく離して設置することだ。カーポートの屋根が飛んだり、カーポートが倒れて家の壁を傷つけてしまったりすると修理費用もその分かかる。被害を大きくしないためにもカーポートは家から離して設置することをおすすめする。
カーポートの修理費用相場と専門業者選び
ここではカーポートの修理にかかる費用相場と業者選びについてお伝えしていく。
まず、カーポートの修理にかかる費用相場は下記になる。
・カーポート屋根の張り替え(1〜2枚):約2〜3万円
・カーポート屋根の張り替え(3枚以上):約5万円〜
・カーポートの支柱交換:約7〜9万円
・カーポートの交換:約30万円〜
台風の被害でカーポート修理にかかる費用相場は約2〜10万円になる。もしカーポート全体を交換する場合は約30万円〜と高額な費用がかかるため、なるべく被害は最小限に抑えたい。
【カーポート屋根の張り替え】は張り替える枚数や屋根材によって費用が変わる。カーポート屋根は1枚から張り替え可能だが、ほとんどが人件費で取られてしまい工事費用は割高になるので注意していただきたい。
複数枚張り替えるのなら1日で張り替え可能な枚数を依頼した方がお得に工事ができる。カーポートの大きさが5mほどだと使用する屋根材は6枚ほどになる。使用する屋根材の種類によって異なるが、全て張り替える場合はおよそ10万円が相場だ。
【カーポート屋根の種類】は【波板】と【パネル】の2種類がある。現在のカーポート屋根の素材は波板とパネルのどちらもポリカーボネートでできていて頑丈だ。では、何が違うのかというと、まず見た目が違い【波板】は言葉の通り板が波状になっている。張り方は波板用のフックをカーポートの垂木の溝に引っ掛けて固定する。
パネルは平らな板状で熱線吸収タイプや熱線遮断タイプなど機能性を持ったものもある。張り方はカーポートの部材である押縁で屋根材を挟みビス留めして固定している。ビスで固定されたパネルタイプの方が風にあおられても屋根材が浮きにくく飛ばされにくい。
しかし、通常は押縁にパッキンが付いていて水の侵入を防いでいるが、劣化すると水が侵入し固定しているビスを錆びさせてしまう。ビスが錆びてしまうと屋根を固定している強度も落ちるので、このような状態になる前に対処する必要がある。
続いて【カーポートの支柱交換】だが、これは既存のカーポートの屋根の取り外しや基礎の解体を行う必要がある。工事の工程は下記の通りだ。
1.既存カーポートの屋根材を外す
2.既存カーポートの構成部材をばらし支柱だけにする
3.支柱が埋まっている基礎をはつり解体する
4.柱を抜いて新しい支柱を設置する
5.設置した支柱の基礎に新しくコンクリートを打って固定する
6.ばらした部材を復旧
7.既存の屋根材を復旧
支柱の交換は既存のカーポートに対応するものでなければ取り付けはできない。もし、対応する支柱がない場合は交換が不可能だ。
また、既存の屋根材の劣化具合によっては取り外す時に割れてしまう可能性がある。その時は屋根材の全交換が必要になる。支柱の交換をする時の費用相場は約7〜9万円になる。
【カーポートの交換】
既存カーポートの部材が廃盤してしまったり、支柱が破損してしまったりするなどでカーポート全てを交換しなければいけない場合もある。カーポートを交換するとなると解体工事や処分費もかかるため修理よりも高い金額になる。工事は下記の手順で行われる。
1.既存カーポート・基礎土間の解体
2.新規支柱の設置+基礎土間コンクリート打ち
3.コンクリート養生 ※乾燥期間(約1日)
4.新規カーポート組み立て
5.新規カーポート屋根設置
6.完成
カーポート交換の工事期間は約2日間で完了となる。ただし、外工事のため雨が降ると作業は中止となり完成が遅れることだけ踏まえておいてほしい。
カーポート交換にかかる費用相場は設置する製品のグレードによって異なるが、工事費含めて約30万円〜となる。
カーポートの耐用年数は10〜20年ほどで紫外線による支柱の劣化が起きる。屋根材の劣化であれば張り替えで解消されるが、支柱や他のアルミ素材の劣化の場合はカーポート本体の交換をおすすめする。
【カーポート工事の業者選び】
続いてカーポート工事の業者を選ぶ時はどんな基準で選ぶべきかお伝えしていく。
まず下記のポイントをチェックして欲しい。
1.業者の種類を把握
2.複数の業者に見積もりを頼む
3.施工事例などを参考に実績をチェック
4.保証をチェック
【業者の種類】は大きく分けると
・ハウスメーカー系列のリフォーム業者
・リフォーム専門店
・エクステリア専門店(外構工事店)
の3種類だ。
【ハウスメーカー系列のリフォーム業者】
名前の通りハウスメーカーの子会社として行うリフォーム事業だ。ハウスメーカーに建ててもらった場合、リフォームも同じ系列の子会社に依頼すると工事がスムーズに進む。デメリットとしては、他のリフォーム専門店やエクステリア専門店よりも費用が高いということだろう。
【リフォーム専門店】
様々なリフォームを事業として行なっている業者だ。対応する工事項目が多いほど実績も多く、いろんな角度からアドバイスをもらうことができる。また、信頼が持てる業者と出会えれば他のリフォームをする時も安心して依頼することができ、長く付き合えるメリットがある。
デメリットは、リフォーム業は資格を持たずにできる仕事なので悪質な業者も存在するという点だ。いい加減な工事をしたり、高い費用を請求されたりするなどトラブルがあるので注意していただきたい。
【エクステリア専門店(外構工事店)】
エクステリア工事を専門にして行う業者だ。エクステリア工事は、門扉工事やフェンス工事、カーポート工事、サンルーム工事、ウッドデッキ工事など外構に関する工事を行う。
メリットは外構を専門として行なっているためリフォーム業者よりも安い費用で工事ができることだ。また、外構工事の知識や実績が豊富である。
デメリットは外構以外の工事は専門外のため他の職人を呼ぶなどの対応が必要になる。また、外構以外の工事についてアドバイスをもらうのも難しい。
【複数の業者に見積もりを頼む】
リフォームを行う際はどんな工事でも複数の業者に見積もり(相見積もり)を頼むことが重要だ。特に初めてリフォーム業者に依頼するとなると必ず守って欲しい。最初は複数の業者に見積もりを頼み、実際に工事をお願いして業者の質を確かめることが大切だ。そこで信頼が持てれば次からはその業者のみに依頼するといい。
複数の業者に見積もりを頼む理由は、工事内容の確認と工事費用の相場だ。工事の知識と実績が豊富な業者は、見積もりの説明時にきっちりとどんな作業を行うか詳しく話してくれる。もし、知識や実績が少ないと曖昧な説明が多くこちらの質問も答えてくれないことが多い。
また、工事にかかる費用の比較も重要だ。リフォームには相場というものがある。あまりに高かったり、安すぎたりする場合は注意が必要だ。工事は製品代と人件費がかかるため、どうしても必要な金額というものがある。提示された金額が曖昧な場合は見積もりもいい加減なことが多いので、根拠を示してくれる業者を選ぶようにしよう。
【施工事例などを参考に実績をチェック】
業者選びをする時にチェックしてもらいたいのが施工事例と業者の実績だ。どんなに安い金額でも工事がいい加減では後々不具合が起きて損をしてしまう。きっちりと工事を行なってくれる業者の方が耐用年数も長く結果的に費用もかからないのだ。業者の実績や施工事例は、業者が運営するホームページでチェックすることができる。実績が豊富な業者は必ず施工事例を載せているので、ぜひチェックしてもらいたい。
【保証をチェック】
続いて大切なのが工事保証だ。施工不良が起きた時に保証してくれるか必ず確認し、どこまでの保証かを具体的に説明してもらおう。全てを保証してもらうのは難しいが、数年後に不具合が起きても親切に対応してくれる業者を選ぶことが大切だ。
カーポートの修理で適用できる保険や控除
台風からいかにしてカーポートを守るべきなのか、考えるべきポイントを解説してきた。しかしながら、どれだけ対策をしていても、カーポートが倒壊したり、何らかの形で破損したりするリスクはゼロにすることはできない。そのことは強く認識しておく必要がある。
ここで、火災保険の出番となる。誰しもが万が一の場面を想定して火災保険に加入するものであるが、火災保険の使い方を知らない人が意外と多い。
むしろ火災保険は「火事になって家が燃えてしまったときに保険金がおりる」程度の認識しかない人も中にはいるのだ。
この記事を読んだ人の中にそのような認識の人はいないかと思うが、もしいたならば、今日以降その認識は改めて頂きたい。
火災保険の風災保証で修理(申請から工事までの流れ)
今現在火災保険に加入している人は、加入する際に、数パターンから補償内容を提案された方も多いのではないだろうか。当然保険料を多く支払えば、より広い補償範囲をカバーできることは誰しもが理解しているはずだ。
しかしながらその検討の際、風災補償についてどの程度思いを致したのか、記憶しているだろうか。残念ながら、このあたりの認識が足りていない人が多いのが事実である。結論から言うと、火災保険における風災補償は、どの形態のプランを選択しても付帯されている補償である。つまり、標準補償ということになる。
加えて、カーポートは自宅の火災保険の補償対象となる場合が一般的なため、カーポートが台風で何かしらの損傷を受けた場合には、問題なく火災保険金の支払い対象となるのだ。
【保険金申請に際しての考え方】
まずは専門業者による現地調査を行うこととなる。確かに台風によるカーポートの損傷は火災保険金の支払い対象事故であるが、保険会社への申請の仕方によっては、保険金支払いを否認されたり、減額されたりするケースもある。
火災保険金の支払いは保険会社にとっては大きな出費であり、できる事なら最小限の金額に留めたいと考えるのはどこの保険会社も共通事項である。
したがって、火災保険金を活用した住宅やカーポートの修理を多く経験している専門業者に依頼することが保険金の受取への近道であることは説明不要である。こうした専門業者は、
・保険会社が必要とする情報
・鑑定人が保険事故認定するために必要な情報
・確実に台風による損傷であるという客観的かつ的確な資料
をまとめたり、作成したりすることに長けていることが多い。このフローに慣れていない専門業者が対応すると、せっかく保険金支払いの対象となる事故であっても、保険金を減額されたり保険金支払いを否認されたりするリスクがあるのだ。この点には十分注意する必要がある。
【実際の申請方法は?】
保険会社への火災保険金申請には、以下の2つの書類が必要不可欠である。
・現地調査報告書
・工事見積書
火災保険金を活用した住宅補修の経験が豊富な工事業者であれば、こうした資料の作成に際しては、保険会社や鑑定人を納得させるためにあらゆる角度から客観的な情報を盛り込み、説得力十分な資料を作成する能力がある。
また、保険会社に事故報告の電話を掛ける前に、一旦専門業者に相談することを強くおすすめする。保険会社への説明方法や、与えるべき情報について具体的なアドバイスを受けた方が、スムーズな保険金支払いを可能となるのだ。
【保険金支払いが承認されたら工事をするだけ】
晴れて保険金支払いが保険会社によって承認され、保険金支払いがスムーズに行われれば、あとは工事を行って損傷した部分を補修するだけである。通常、台風により損傷したカーポートの修理の場合は数十万円の工事費用が必要になるケースが多いが、火災保険金を活用することによって、大幅に自己負担額を削減するか、あるいは無料で工事を行うことができるのである。
修理費用は確定申告で雑損控除の対象となる
カーポートの修理は火災保険以外にも確定申告で雑損控除できる優遇措置がある。震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害に適用され、下記の条件で控除額が決まる。
1.(差引損失額)−(総所得金額等)×10%
2.(差引損失額のうち災害関連支出の金額)−5万円
上記2つのうちいずれか多い方の金額が適用される。
差引損失額は下記の計算で求めることができる。
A.損害金額+災害などに関連した止むを得ない支出の金額―保険金などにより補填される金額=差引損失額
例:所得金額450万円、カーポートの時価60万円、災害関連による支出30万円、保険金10万円の場合
A.60万円(カーポート時価)+30万円(災害関連の支出)−10万円(保険金)=80万円(差引損失額)
1. 80万円(差引損失額)−450万円(総所得金額)×10%=35万円
2. 30万円(災害関連の支出)−5万円=25万円
上記の計算から1番の35万円が控除される。損失額が大きくその年の所得金額から控除しきれない場合は翌年以後に繰り越して控除することができる。
ただし、雑損控除は上記の計算式でマイナスの金額が出た場合は控除されない。計算式を見ての通り5万円を超えなければいけないので注意していただきたい。
雑損控除の手続きは、支払った修理費用の明細や領収書などを添付して確定申告時に提出することになる。また、給与所得者は給与所得の源泉徴収票も添付する必要がある。
被害を与えてしまった場合は個人賠償保険で弁済
台風によって屋根が飛んでしまい近隣の車や家に被害を与えてしまった場合はどうなるか心配される人も多いのではないだろうか。先に言ってしまうと自然災害による被害は不可抗力で責任が発生しないのが一般的だ。
ただし、例外もある。家の管理状態が悪く劣化を放置している場合や危険だと予想できる場合などは法理上の責任が問われる可能性がある。もし、賠償義務が発生した場合、火災保険では保証できないこともある。そんな時は個人賠償で弁償することができる。
個人賠償は単独で加入するよりも自動車保険や火災保険、損害保険などの特約で加入していることが多い。他人に被害を与えてしまった場合に適用されるので自分が個人賠償保険に入っているか確認しておこう。
自動車保険の車両保険が適用されるケース
台風によって他人の車を傷つけてしまった場合は、自動車保険の車両保険で修理代を弁償することができる。ただし、上記でお伝えした通り自然災害での賠償責任は発生しにくいので必ず弁償をしないといけないわけではない。
また、保険を使えば等級が下がり支払う保険金も高くなるので注意していただきたい。損害賠償については近所関係のトラブルにもなりやすいので事態が大きくならないように配慮することが大切だ。
まとめ
カーポートは、雨や風の影響を受けやすい箇所に設置される場合が多いため、台風上陸時には何かしらの損害を受けるリスクが高い。しかしながら、その損傷が台風の影響によるものであれば、火災保険金や雑損控除を活用すれば何ら問題なく破損個所を補修することが可能になるのだ。
問題は、その事実を知っているか知らないか、というだけの違いである。幸いなことにこの記事の読者は、このノウハウを知ることができた。
もし台風や強風の影響によってカーポートが損傷したという事例がある人は、今すぐにでも火災保険金や雑損控除を活用した補修を検討するべきである。
もちろん今そうした事例がなくとも、これから発生する台風による損傷にも、火災保険金を活用することで、自己負担額を限りなく抑えつつ、補修ができるということを、頭の片隅にでも入れておいてもらいたい。
株式会社アーキバンク代表取締役/一級建築士
一級建築士としての経験を活かした収益物件開発、不動産投資家向けのコンサルティング事業、及びWEBサイトを複数運営。建築・不動産業界に新たな価値を提供する活動を行う。